2003年1月

リウマチ・膠原病 3
今回は治療法についてお話していきます。

 治療は、慢性関節リウマチとその他の膠原病で異なります。慢性関節リウマチでは、基礎療法・リハビリ運動療法・薬物療法・手術療法が行われます。薬としては、痛みを止める非ステロイド性抗炎症剤、リウマチの病気の基を抑える抗リウマチ剤が主として使われ時に少量のステロイド剤や免疫抑制剤が使われます。その他の膠原病ではステロイド剤が主体となり、活発な自己免疫状態を抑えるのに十分な量が使われます。時に免疫抑制剤も一緒に使われます。
 

慢性関節リウマチ
1.基礎療法・・・日常生活での注意点、全身および精神的な安静、適度な運動、保温、栄養管理、患者さんを始め家族や周囲の人々への正しい知識の普及などが含まれます。

2.薬物療法・・・薬剤によってリウマチの炎症と痛みを抑えこみます。内科治療の中心となるものです。非ステロイド性消炎鎮痛剤、免疫調節剤、ステロイド剤、免疫抑制剤などが用いられ、通常2~3種類の薬剤を組み合わせ寛解(リウマチの活動性がやむこと)へ導入していきます。

3.安静と運動療法・・・症状に応じた安静と運動のバランスが大切です。痛みの強いときは安静を第一に考えてください。徐々に運動量を増やすわけですが、その目安は3時間以上にわたる疲労を残さないことです。

4.手術療法・・・関節が破壊される前に炎症を阻止する滑膜切除術、破壊された関節におこなう関節機能再建術などがあります。

シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスに関しては、未だ原因療法は見出されていません。シェーグレン症候群の乾燥症状に対しては点眼薬が有用となり、その他に有効とされている薬はありますが、まだ日本では発売されていません。全身性エリテマトーデスは、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン、免疫抑制剤、血漿交換療法等、これらの治療を組み合わせて治療計画を立てていきます。日常生活上での注意点は、強い日光を避け、再燃の誘引となり得る感染や外傷に注意することも必要です。

 リウマチや膠原病は原因のはっきりしない慢性の病気ですが、うまく薬で押さえ込んで再発させないようにすることができます。従って、ご自分の病気や現在の治療について薬の副作用も含めて正しく理解して下さい。再発症状に注意し、また自分勝手に薬を止めないようにしましょう。風邪や過労などの増悪因子を避けることも必要です。リウマチや膠原病は痛みなどで行動が制限され、患者さんにとっては大変な苦労があります。しかし、気持ちの持ち方で病状はいくらでも左右されます。「生涯病気に付き合っていこう」というくらいの気持ちを持って下さい。

カテゴリー: 200301, 病気・治療 | 2003年1月 はコメントを受け付けていません

2002年11月院長より

本年10月の法律変更に伴う受診時の負担割合の変更等はかなり分かり難い制度変更でしたが、皆様お分かりになりましたでしょうか。もしご不明な点等ございましたら、ご遠慮なく職員にお尋ねください。
 さて幸い当院では該当患者さんはお見えになりませんでしたが、負担割合が上がってしまったために今までのようには在宅医療を受けられなくなった方がいらっしゃると聞き、びっくりすると同時に必要な医療を削ってしまって、一体どうなってしまうのかを心配しております。
また一部に勘違いをされている方もいらっしゃいますが、皆様方の支払いの増えた分が我々医療機関の増収となったわけではありません。小泉首相は三方一両損と評しましたが、我々医療機関も大幅に減収となっています。医療機関の減収分と皆様方の負担の増加分は政府の負担分と相殺させられたのです。我々医療機関の減収への対策は人件費の抑制しかありませんから、今のところ何とか踏ん張ってはおりますが、厳しい岐路に立たされているのは確かです。更なる皆様方のお力添えをよろしくお願いいたします。
平成14年10月23日、とんでもないニュースが飛び込んで参りました。米国通商代表部が発表した対日要望書に、米国製品をもっと使用するよう医療制度を改革しなさいとの要求が入っているというものです。小泉政権は米国の傀儡政権であるとの論評はありましたが、このような内政干渉とも取れる要求を平気でしてくるところに米国の驕りが見えますし、抗議も行わない政府に怒りを感じます。WHOの評価でも我が国の医療制度の評価は世界一です。他国の優れた医療制度を壊しても自国製品を売りつけようとする米国に対し、抗議をしたいと思います。

カテゴリー: 200211, 院長より | 2002年11月院長より はコメントを受け付けていません

2002年11月

乾燥肌    
 風も冷たくなり、いよいよ冬の季節の到来です。この季節になると肌の乾燥や荒れが目立ってくるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は肌の乾燥についてお話しします。

【乾燥をひきおこすものは?】
 日本の冬は温度と湿度が低く、乾燥しやすい季節です。また、温度が低くなると皮脂や汗の分泌機能や皮膚の血行、新陳代謝も低下します。そのため、肌の表面の水分が奪われやすくなってしまいます。しかし、それ以外にも肌の乾燥を引き起こす要因はいくつか考えられます。

 ・冷たくて乾いた空気
 ・エアコンの影響(湿度の低い環境)
 ・肌の洗いすぎやこすりすぎ 
 ・化学繊維の使われた衣類での肌への刺激
 ・食生活や睡眠不足など

【どんな状態のことをいうの?】
 健康な肌では、肌のうるおいのバランスが保たれていますが、乾燥肌はこれらのバランスが崩れてしまい、またうまく生成されていないことが原因といわれています。乾燥によって肌のバリア機能が低下すると水分が失われ、さらに乾燥していくという悪循環を繰り返してしまいます。
 乾燥した肌は硬くなり、白く粉をふいたような状態になります。このような状態を“乾皮症”といい、強いかゆみがおこって、寝ている間など知らないうちにかいてしまい、炎症や湿疹を起こすこともあります。また、その部分に色素沈着などが起こることもありますので、美肌の面からも悪化させる前のケアが大切になってきます。 

【ふだんの生活で気をつけられることは?】
・長時間暖房器具にあたらない
電気毛布やこたつ、ストーブ、ファンヒーター等の局所暖房は、肌の水分の蒸発を早めることにもなりますのでほどほどがよいでしょう。
・お風呂で強くこすらない
こすりすぎは肌を傷める原因にもなります。また、熱すぎるお湯は皮脂が必要以上に奪われてしまったりかゆみを強くしてしまうこともあるので、乾燥肌の人にとってはぬるめのお湯がよいでしょう。保湿効果の高い入浴剤を使ったり、入浴後にローションやクリーム等で保湿しましょう。
・衣類をじょうずに着ましょう   
化繊やウールのものは直接着るのではなく、チクチクしない刺激の少ない綿等の下着の上から着るとよいでしょう。
・バランスのとれた食事と十分な睡眠をとりましょう

【ビタミンの力】
ビタミンA:皮脂腺や汗腺の働きをよくして新陳代謝を促す
ビタミンB:皮膚をなめらかにする
ビタミンC:皮膚のもとになるタンパク質を有効に働かせる

アルコール類や刺激物、香辛料、アクの強いものはかゆみを誘発することが多いといわれていますので、控えるのも一つの方法かもしれませんね。
 
 乾燥が気になるこれからの季節。まずは身近なところから工夫してみてはいかがでしょうか?しかし、症状がひどくならないうちのケアは必要です。

 ご心配な時はどうぞご相談ください。

カテゴリー: 200211, 病気・治療 | 2002年11月 はコメントを受け付けていません

2002年11月心理室より

心理室より 摂食障害2        
前回に引き続き摂食障害についてお話ししたいと思います。今回は摂食障害の発病状況についてお話します。過激なダイエットが引き金となることが多いようですが、その背景には様々な状況があることが考えられています。

【発病状況 】
 職場、学校、家庭などのストレス
 ・心身のストレスを過食という方法で解消しようとする。
 ・心身のストレスにより食欲低下状態になり、その経過中に拒食あるいは過食になる。

 美容や健康の理由上から意図的に食事を制限して食行動の変調をきたすもの
 ・ダイエットにより当初の減量目標を達成してもさらに減量を継続することにより発症する。
 ・食後に自発的に嘔吐して減量をはかる。

【食行動異常について】
  拒食症の場合
 

心身のストレスによる食欲低下、または、ダイエット
  ↓
意図して食べない(心理的)
  ↓
食べようにも食べられない(身体的)

 拒食症では、心理的要因から無月経や無食欲などの身体症状が引き起こされ、身体的変調が精神症状の出現を助けてしまうことにより、さらに食行動が悪化する悪循環が形成されると考えられます。
                                       

  過食症の場合

食べたい(強い衝動)
  ↓
短時間で大量の食べ物を摂取する(むちゃくちゃに詰め込む)
  ↓
不食、自己嘔吐・下剤乱用(浄化行動)

 過食の衝動は健康的な空腹感や食欲にもとづくのもではなく、これを自分で抑えようとすることは困難であると考えられます。過食症の多くの場合「なぜこのような行動を抑えられないのか」と自己嫌悪の気持ちを抱いていることが考えられ、自分の努力の限界を自覚していると思われます。
 ダイエットや精神的なショック、生活環境の変化など摂食障害の引き金となるものは様々であり、”ほんの些細なこと”と思われることでも引き金となる場合があると思われます。

 次回は体・心への影響についてお話ししたいと思います。

カテゴリー: 200211, 心理室より, 病気・治療 | 2002年11月心理室より はコメントを受け付けていません