2002年11月

リウマチ・膠原病 2   
前回は膠原病とはどんな病気かをお話ししました。今回は膠原病に含まれる病気についてお話ししましょう。

【慢性関節リウマチ】
 慢性関節リウマチは、全身の関節に炎症が起こることが知られていますが、初期の頃には、倦怠感、食欲不振、体重減少、発熱といったものがみられます。 その後、朝の手足のこわばり、手指関節の炎症が現れ、さらには全身の関節痛、腫れ、こわばり、しびれなども現れてきます。 「リウマチ」というと”おじいちゃんおばあちゃんの病気”というイメージがありますが自己免疫に起因する難病なのです。

【全身性エリテマトーデス】
 典型的な症状に顔面の蝶形紅斑があります。紅斑は全身どこにでもみられますが、特に顔、胸、手足に多く出現します。また、皮膚の病変だけでなく内臓の病変もみられます。よく侵される臓器 は、腎臓、脳、心臓、肺などですが、これらが全て同時に必ず侵されるわけではありません。1つだけのこともありますし、2つ以上侵されることもあります。 また、時期を異にして程度の違った内臓の病変がみられることもあります。

【強皮症】
強皮症とは字のごとく皮膚が硬くなる病気です。手や指がこわばり、つっぱり、曲がって、物がつかめなくなります。 また、少しの傷がなかなか治らない、レイノー現象(手指の色が白色や紫色になる)おこる、顔の皮膚がつっぱり硬くなり表情がなくなる、お腹などの皮膚が硬くなるとや腸や食道や肺や腎臓などにも硬化(機能障害)の症状が現れることもあります。

【多発性筋炎(皮膚筋炎)】
  身体の多数の骨格筋に原因不明の炎症が生じ、これに伴い筋肉の力が低下し たり、 筋肉痛を起こす病気です。同時に皮膚症状を伴うと皮膚筋炎と呼ばれます。 病状が進行すると日常生活に際して寝返りや起きあがり動作、歩行、階段昇降などが困難になってきます。

【結節性多発性動脈炎】
 中型の動脈と小型の動脈に炎症が生じる疾患で、全身の諸臓器に分布す る血管に 動脈炎を生じることから、多彩な症状を呈する疾患です。症状としては、高熱(38℃以上)、体重減少、関節痛、紫斑、皮膚潰瘍などがあり、重篤なときは、腎機能悪化、脳出血、腸出血、肺出血の症状が現れるこ ともあります。

 膠原病には共通性を持ちながらも疾患ごとに様々な症状の違いがあります。さらに、同一の病名でもその症状や経過には患者さんそれぞれに違いがあります。早期に発見し治療するためには、ちょっとした症状の変化を見逃さず、また、定期的な診察と検査を受けることが大切です。

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2002年9月院長より

先回お話しした健康保険に関する法律の改悪案が成立してしまいました。また一歩、世界に誇っていた我が国の保健医療が後退させられてしまいました。今年10月から変更になる点は老人保健制度の対象年齢が5歳引き上げられ、75歳以上となったことと70歳以上の方の一部負担金負担割合が1割(一定以上の所得がある方は2割)になりました。患者さんが負担する自己負担の限度額も変更となり、名古屋市の福祉制度もこれらにあわせて変更されると聞いております。他にもいろいろ変更点があり、またまだ詳細が決定していない部分もあるようです。当院ではなるべく最新情報を入手し、職員一同勉強するよう心がけておりますので、疑問点等がございましたら、説明させていただきますので、ご遠慮なくお聞きください。

 先日いつもは患者さん側の代理人として医療訴訟の場に登場されている弁護士さんとお会いする機会があり、情報交換を行いましたが、その席上医師と患者との信頼関係がだんだんとなくなってきているという話が出ました。いつも私がお話ししているように医師を信頼して来院することが、良くなる第一歩であり、信頼関係がなければお互いにとって不幸な結果になるかもしれません。万人と信頼関係が結べることに超したことはありませんが、残念ながら不可能になってきた場合はすぐ他の医師を紹介させていただきますので、ご自身のためにも申し出てください。そして私どもは信頼していただけた場合には最大限の努力で答えていますし、それを続ける努力を続けていきます。
 よろしくお願いいたします。        

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2002年9月

乳酸菌    
最近スーパーマーケットやコンビニでヨーグルトなどを買うときに、パッケージに「LG21」「LGG菌」などアルファベットや数字がかかれているのを見かけませんか?
 これらパッケージに書かれているキーワードは、《プロバイオティクス》です。

【プロバイオティクスとは・・・】
生きたまま腸に届き、血行に良い作用をもたらす細菌のことで、ヨーロッパではすでに医学界に浸透し、日本でも近年注目されている、人体に良い影響を与える菌のといわれています。

 プロバイオティクスの条件
  1.安全であること
  2.腸内のフローラの一員であること
  3.胃液・胆液に対して耐性を有すること
  4.生きていること
  5.ヒトに対して有効であり、腸管に付着すること
  6.食品中に高い菌数を維持すること
  7.安価であること

【なぜ注目されている?】
 抗生物質(アンチバイオテクス)が、病原菌を殺すばかりでなく、からだの中にいる無害な細菌まで退治したり、もともと備わっている免疫を壊してしまうのに対し、プロバイオティクスは人間が本来持っている腸内の善玉菌の働きを利用するので、副作用もなく安全です。そのため、人間のからだで良い働きをする細菌を生きたまま腸内に取り込み、その力で病気を未然に防ぐという予防医学としての観点から、今、プロバイオティクスが注目されています。
 腸内に住み着いた乳酸菌は、乳糖やぶどう糖などの糖を利用して増殖し、大量の乳酸をつくります。そしてその乳酸が便通の改善、腸内の清浄化、悪玉菌の増殖抑制、ガン・感染症に対する抵抗力の増大など、人々の健康を守るうえで大切な役割を果たしているのです。

 乳酸菌を含む代表的な食べ物として、ヨーグルト、バター、チーズなどの乳製品があります。特にヨーグルトの中には、優れた働きをもったプロバイオティクス乳酸菌を利用した商品が次々と登場しており、積極的に乳酸菌やビフィズス菌などを多く含むヨーグルトや乳酸菌飲料を摂取して免疫力を高めていきたいものです。

 腸は健康のバロメーター。そしてその腸を守ってくれる乳酸菌。健康な生活を送るうえで、良質の生きた乳酸菌を取ることはかかせないですね!

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2002年9月心理室より

心理室より 摂食障害    
最近、ダイエットをした経験がある、または、ダイエットを考えているという人は多いのではないでしょうか?しかし、ダイエットが引き金となり病気になってしまうこともあるのです。特に、痩せたいと願う若い女性に摂食障害という病が急増しているといわれています。
 今回から数回に分け摂食障害についてお話ししたいと思います。

【摂食障害とは】
 自発的に食行動異常をきたすことであり、神経症性食欲不振症(拒食症)と神経症性過食症(過食症)があります。

【神経症性食欲不振症(拒食症)】
 10代、20代の若い女性に多く、強い痩せ願望や肥満に対する強い恐怖による意図的なダイエットの為に、極度の痩せ(標準体重の85%以下)をきたします。しかし、自分では拒食症であるという事に気付かず、落ち込むこともなく、痩せて体力がないにもかかわらず活発に活動することが考えられます。食欲がなく、無月経、自分はまだ太っていると考えることが特徴としてあげられます。

【神経症性過食症(過食症)】
 10代後半から20代の女性に多く、むちゃ食いを頻繁に繰りかえし、体重の増加を防ぐために嘔吐あるいは下剤などを乱用する行動がみられます。むちゃ食いをし嘔吐した後に、気分の落ち込みや、気力の低下があり、過食をやめようと思っていても食欲のコントロールができない状態にあり、自分で異常だと自覚していることもあるようです。

 拒食症と過食症は正反対のようにも思われますが、拒食症だった人が数ヶ月後に過食症症状へ変わったり、逆に過食症の人にも拒食症のような症状が現れることがあります。

 無理なダイエットで食べなかったり、過食をしたりという繰り返しをしていると、脳の満腹中枢、空腹中枢がおかしくなり、それによって満腹感、空腹感を感じなくなり、脳による食欲のコントロールが正常にできなくなります。人間にとって食べるということ、食欲は、基本的な欲求です。それを無理におさえつけようとすることで体だけではなく、こころにも大きな影響があるのです。

 次回は発病状況についてお話ししたいと思います。

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