院長より

 例年より一ヶ月も早く始まった梅雨もまだまだ終わりません。この時期は急に発達した積乱雲によって、局所的に大雨をもたらし、大きな被害が出るので心配です。またこの時期は寒暖の差が大きいので、自律神経のバランスが乱れやすく、精神的にも不安定になりやすいので、身体や心の不調をお感じになった際にはご相談ください。

 コロナ禍で延期となり、いよいよ今年7月末に開催される東京オリンピックですが、この原稿を準備している6月末には、東京で感染者数が増加し、第五波の到来が疑われています。観客も大幅に制限されての開催となるのか、はたまた無観客となるのか、再抽選となったチケットも払い戻し不可とも言われている中、どうなるのか。ノベルティグッズも大量に売れ残ることが予想されているなど暗い話ばかりが聞こえてきます。一度やると決めたらどんなことをしてでもやる、撤退はしないという今度のオリンピック騒動で改めて見えた国の姿勢ですが、戦争突入時やダム建設や原子力発電推進などの場合と重ね合わせて見えてしまいます。立ち止まって再考することがなぜできないのでしょうか。

 65歳以上の国民の半数程度にコロナワクチン接種が行われたそうです。この先順次対象年齢が下がり8月末までには接種券の発送が終わり、年内には対象年齢の方へのワクチン接種が一段落するそうです。当院でもワクチン接種を行っておりますが、少人数にしか対応できないなど制限があります。その一歩で大規模接種会場では予約の枠が埋まらないなど偏在が見られるようです。なるべく多くの方がワクチン接種を受けることで集団免疫が作られ、感染拡大に歯止めをかけることができるようになります。皆でコロナに立ち向かいましょう。

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認知症の方への接し方

 先月7日、アルツハイマー型認知症の病理に作用する唯一の治療薬として、アデュカヌマブが米国食品医薬品局により承認されたことはご存知でしょうか。それまでアルツハイマー型認知症への治療薬は根本的な治療を行うものは承認されておらず、薬で症状の進行を遅らせるという治療が行われてきました。また、アルツハイマー型認知症の新薬がアメリカで承認されたのは18年ぶりであり、認知症患者やその家族にとって、とても嬉しいニュースとなりました。しかし、日本では現時点では未承認の為、私たちがアデュカヌマブを使用できるようになるには、まだ時間がかかってしまいそうです。

 厚生労働省によると、2015年1月の時点で日本の認知症患者数は約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。また、2025年には約700万人、64歳以上の約5人に1人を占めることになるのではないかと言われています。 

 認知症の方に対して、一緒に過ごす時間の長い人ほどストレスを強く感じてしまうことが多くあります。病気のせいとわかっていても酷くイライラしてしまったり疲弊してしまったりするかと思います。家族が認知症を受け入れるまでに4つの心理ステップがあります。

1.戸惑い、否定

2.混乱、怒り、拒絶

3.あきらめる、割り切り 

4.受容

 はじめは家族が認知症になったことに戸惑い、それを否定したいと思ってしまいます。そのうちに症状が強くなってくると混乱し、認知症患者に対して怒りを抱くことが多くあります。時間はかかりますが、「認知症だから仕方ない」と次第に諦めや割り切る気持ちが現れ、徐々に受容できるよう になっていきます。

 認知症の方と接する場合、どのようにコミュニケーションをとったら良いのか、不安に感じてしまうことも多いと思います。

○否定したり叱ったりしない

 認知症が進むと、それまで出来ていたことができなくなったり、記憶力が低下してほんの少し前のこともわすれてしまったりすることが出てきます。事実と違うことを主張することもあるかもしれませんが、それは本人にとっては事実なのです。それをこちらが否定し続けてしまうと、認知症の方を傷つけてしまいます。ただ否定するだけではなく、話を聞いてあげるようにしましょう。

〇褒める、感謝する、相槌をうつ

 認知症の方と会話するときは、褒める、感謝する、相槌をうつの3つを心がけましょう。

〇放置するなど、ストレスを与えることはしない

 ストレスを与えられたり、放置されたりして不満が溜まってしまうと、大きな声を出す、暴力的になる等の行動がおこることがあります。

〇かけがえのない存在であることを認識してもらう

 それまでできていたことができなくなることは認知症の方にとっても、とても不安なことです。認知症になっても家族や周りの人の役に立つ存在であり、家事等で貢献していることを感謝とともに伝えるようにすると良いです。

  認知症の有無に問わず、加齢により聴力が衰えていきます。そのため、声をかけるときには、「耳元で大きく、ゆっくり話す」「目線を合わせて、目を見て話す」「可能な限り日常の障害を取り除く」ということに気を付けて声をかけるようにしましょう。

 では、実際の場面ではどのように対処したら良いのでしょうか。

〇「財布を盗られた」等の物盗られ妄想

 「誰も盗ってないよ」と事実を伝えても、疑いの気持ちが増すだけです。本人の怒りや不安な気持ちを共有しながら、一緒に探すようにしましょう。また、家族が見つけて手渡すと、「やっぱり隠してた」と思われてしまうこともあります。なるべく本人が自分で見つけることのできるように手助けをしてあげると良いです。また、見つかった時には一緒に喜ぶようにしましょう。

〇「あなたは誰?」等の人物誤認

 本人の両親や友人等、特定の人物と間違われた場合は、その人物になりきって返事をすると安心してもらえます。見ず知らずの他人と間違われたときには、あまり刺激をしないようにいったん目の前から去って落ち着くのを待ってみると良いです。

〇「帰り道がわからない」等の徘徊

 出かけようとしているのに気が付いた時は、できれば一緒にでけて、気が治まったら自宅に戻ると良いですが、実際には気づいたらいなくなっていたということも多いです。認知症徘徊感知機器やGPSを利用したり、連絡先を書いた紙をお守りに入れて身に着けてもらう等、一人で家を出てしまっても周囲の人が見つけてもらえるように予め対策をしておきましょう。

〇「今日は何月何日?」等の見当識障害

 見やすい場所に日付表示がついた時計を置き、一緒に見ながら確認するようにすると良いです。

〇「ご飯まだ?」等の物忘れ

 「さっき食べたよ」と伝えても納得してもらえません。認知症の方に合わせて、「用意してくるね」と伝え、少し時間を空けることで、食事を欲しがっていたことを忘れるのを待つのが良いでしょう。

〇失禁や便いじり等の問題行動

 厳しく叱っても本人が傷つくだけで、問題行動がなくなることはありません。失禁や便いじり等の問題行動が見られても、「濡れたから着替えようか」等、穏やかに対応してあげるようにしましょう。

〇攻撃的になり暴言や暴力をする等の性格変化

 認知症の方が攻撃的になると、家族等の周囲の人たちもヒートアップしてしまうことがあります。一緒にヒートアップせず、落ち着いて怒りの原因を探し共感してあげるようにしましょう。どうしても〇「誰かに狙われている」等の幻覚

 誰もいないのに何かがいると言うことはよくあります。「誰もいない」と否定してしまわずに、追い払う振りをしたり、一緒にその場を離れたりして、守ってあげようとする様子を見せてあげると良いです。

 認知症により様々な症状が出現します。症状によっては服薬により改善されるものもあります。何か困っていることがあれば、主治医に相談してみてください。

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院長より

 ポカポカとした穏やかな晴れの日が続いたと思ったら、急に冷え込む日になったりと、寒暖の差の大きな時期が続いています。このような寒暖の差により自律神経のバランスが崩れやすくなりますのでお気をつけになってください。以前にもお伝えしましたが、同じように症状があっても、原因が理解できている方とそうでない方とでは困り方も直り方も違います。原因が自分なりに理解できている方は、そんなもんだと思えますし、いつごろ収まるとか、どの程度まで悪くなるかとかを予測できますので、不安要素が増えず、その結果、症状の改善が早まることが期待できます。ご自身の病気、症状を受け入れ、戦うべきところと戦わなくてもいいところの見極めができるようになると良いと思います。また、幸福感というのも自分が感じる感情であり、他人と比較するものではありません。人が羨むような生活をしていたとしても本人が幸福だと感じてなければ幸福ではないですし、その逆も然りです。幸せ探しをするのではなく、幸せだと思ってください。身近な些細なことを幸せだと感じることができれば、豊かな人生になっていくと思いませんか。
 先日市長選が終わりました。盛り上がりに欠け、投票率も低かったようですが、再選された市長の得票数の差は今までと比較すると僅差でした。愛知県知事のリコールを首謀しておきながら、応援しただけと言い逃れようとしていると非難され、強い逆風が吹く中での再選でした。これはもっと名古屋市を良くしてもらえるという市民の期待の現れなのでしょうか。その期待に答えてくれるのかどうか、注目していこうと思います。

 さてようやくコロナワクチン接種が始まります。4月中旬から中区の高齢者に限定して始まりましたが、他の区は5月から開始で、接種券も届き始め、どこで、いつ打とうか悩んでいらっしゃるかと思います。名古屋市の医療機関では個別接種を5月末から開始するよう言われていますが、どの程度ワクチンが入ってくるかなど詳細が不明です。当院でも準備でき次第予約受付を開始しますので、もうしばらくお待ち下さい。今回のコロナワクチンは全国民が摂取できる量が確保されていますので、早いもの勝ちではないことを理解し、落ち着いた行動を取ってください。予約の突然のキャンセル(いわゆるドタキャン)は貴重なワクチンの廃棄に繋がりかねない行為です。やむを得ない事情であったかもしれませんが、極力避けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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ヤングケアラー

 2020年4月12日、厚生労働省・文部科学省によって初めて全国で実施された「ヤングケアラーの実態調査」の結果が発表されました。

 ヤングケアラーとは、法令上の定義はありませんが一般に「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている児童」とされています。

 例えば…

●障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている。

●家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている。

●障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている

●目の離せない家族の見守りや声かけなどの気遣いをしている。

●障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている。

●日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳している。

●家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている。

●アルコール・薬物・ギャンブルなどの問題のある家族に対応している。

●がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている。

●障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている。

(一般社団法人日本ケアラー連盟より)

 そして今回の実態調査から中学生の約17人に1人(5.7%),高校生の約24人に1人(4.1%)が「世話をしている家族がいる」と答えています。単純計算してもクラスに1人か2人居ると考えると少し身近に感じるのではないでしょうか。

 ヤングケアラーの1割は1日に7時間以上を世話に費やしているとのことです。中には、勉強時間が十分に取れない、睡眠時間を十分に確保できないといった日常生活の困り感や進路を変更せざるおえない、学校に行きたくてもいけないといった将来に関わる困り感を抱えていることもあります。

 一方で「相談した経験がない」という生徒は中高生ともに6割を超え、その理由として「誰かに相談するほどの悩みではないから」「相談して状況が変わるとは思わない」という回答が続いています。

 介護や家事に追われ、勉強や友だちづきあいをする余裕がない子どもも少なくありません。また、大人になっても、幼いころからの考え方のクセは継続しやすく家族の世話が落ち着いた後も、抱え込むクセにより日常的に心に大きな負担がかかることもあります。

 ヤングケアラーの実態調査はまだ始まったばかりで、概念としても確かなものではありません。しかし、ヤングケアラーに限らず、「うちの家庭では当たり前だから」「つらいけど、相談するほどのことではないかな」と自分一人でどうにかしようとせず、つらいことがあったり、心身の異変を感じたりしたときは、1度周りの人に相談してみてはどうでしょうか?自分が思っているよりも、心や体は疲れきっているかもしれません。

 最近では、相談窓口や情報検索サービスも増えています。近くの人に相談しづらければ、医療機関や公的な相談窓口を頼ってみるのも一つの手段ですよ。

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