2002年11月心理室より

心理室より 摂食障害2        
前回に引き続き摂食障害についてお話ししたいと思います。今回は摂食障害の発病状況についてお話します。過激なダイエットが引き金となることが多いようですが、その背景には様々な状況があることが考えられています。

【発病状況 】
 職場、学校、家庭などのストレス
 ・心身のストレスを過食という方法で解消しようとする。
 ・心身のストレスにより食欲低下状態になり、その経過中に拒食あるいは過食になる。

 美容や健康の理由上から意図的に食事を制限して食行動の変調をきたすもの
 ・ダイエットにより当初の減量目標を達成してもさらに減量を継続することにより発症する。
 ・食後に自発的に嘔吐して減量をはかる。

【食行動異常について】
  拒食症の場合
 

心身のストレスによる食欲低下、または、ダイエット
  ↓
意図して食べない(心理的)
  ↓
食べようにも食べられない(身体的)

 拒食症では、心理的要因から無月経や無食欲などの身体症状が引き起こされ、身体的変調が精神症状の出現を助けてしまうことにより、さらに食行動が悪化する悪循環が形成されると考えられます。
                                       

  過食症の場合

食べたい(強い衝動)
  ↓
短時間で大量の食べ物を摂取する(むちゃくちゃに詰め込む)
  ↓
不食、自己嘔吐・下剤乱用(浄化行動)

 過食の衝動は健康的な空腹感や食欲にもとづくのもではなく、これを自分で抑えようとすることは困難であると考えられます。過食症の多くの場合「なぜこのような行動を抑えられないのか」と自己嫌悪の気持ちを抱いていることが考えられ、自分の努力の限界を自覚していると思われます。
 ダイエットや精神的なショック、生活環境の変化など摂食障害の引き金となるものは様々であり、”ほんの些細なこと”と思われることでも引き金となる場合があると思われます。

 次回は体・心への影響についてお話ししたいと思います。

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