2003年7月院長より

イラク戦争と並んで世界の衆目を集めていましたSARS(重症急性呼吸器症候群)も患者数の推移から見ると
落ち着いてきたようで、ほっとしています。しかし現時点では根本的治療薬がないことには変わりなく、今年の冬の
インフルエンザの流行時期と重なった時の対応策に今から頭を悩ませています。

 本年4月3日、日本医師会は都道府県医師会に対し、該当者から電話連絡を受けた場合、
 1)診察の順番を繰り上げるなどして該当者の待合時間を可能な限り短縮する、
 2)一般の外来患者とは別の部屋で待機させる、
 3)マスクを着用させる、
などの対応を講じるよう、会員医療機関に周知することを求めました。

 私どももこのような指針を元に感染拡大を最小限に抑える努力をしていきますが、個人個人が衛生に気をつけ、手洗いを
頻回にすること等の予防がもっとも重要です。

 具体的に気をつけることを列記いたしますと
○自分の健康状態を知り、衛生に気をつける。
○くしゃみや咳のときにはティッシュで鼻や口をカバーし、液状石けんで即座に手洗いをする。
○気道感染のある人やその世話しているひとはマスクをつけるようにする。
○自宅などでは換気を充分に行う。
○帰宅した時など随時手洗いとうがいを行う。
○症状が現れたらすぐに医療機関を受診するが、まず医療機関に電話連絡を行う。

その他、不明な点がございましたら、遠慮なくお尋ねください。

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2003年7月心理室より

 はげまし技法

 今回は、カウンセリングの諸技法の一つである「はげまし技法」について、紹介したいと思います。「はげまし技法」はカウンセリング諸技法の中の、どの流派にも共通する基本的な技法です。カウンセリングの技法と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。しかし普段日常生活でも充分に用いることのできる技法ですし、もうすでに自然と実践している人もいるかもしれません。
具体的には、以下の通りです。

【受容】
 相手の気持ちを批判せず許容的に聴き、「はい」「ええ」「うん」と相づちを打つこと
【単語の繰り返し】
 相手の話の中の重要語句(キーワード)を相手が息継ぎをしたときに入れること
【うながし】
 相手の話に「それで?」「それから?」など、話のさきをうながすこと
【おどろき】
 相手の話に対して「ほう」「へえ」「なるほど」とおどろくような反応をすること
【日本的文化の中のはげまし】
 日本的な風土の中では、謙譲や尊敬的な言い回しが存在します。ときには「いやー」「い いえ」のような否定的な相づちを入れないと文脈がおかしくなることがあります。例えば、「あなたの今日の服、とても素敵ですね」と言われた場合、「いえいえ。ありがとうございます。」などと答えるのがそうです。

 どうでしょうか。カウンセリングの技法とはいえ、意外と普段の会話の中でも自然に用いることができそうではありませんか?
この技法を用いると、話している相手に「あなたの話をきちんと聞いていますよ」というメッセージを送ることが出来ます。ただ、あまりに頻繁に用いすぎると、大げさで不自然な印象を与えてしまいますので、注意して下さい。

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2003年7月

夏のお風呂特集

 いよいよ『夏』本番です!夏は汗をかくため、シャワーを浴びたり、お風呂に入ったりする回数が増えるのではないでしょうか。嫌なことは水に流すという言葉があるように、お風呂には汗の他にも多くのことを水に流す効果があります。今回は暑い夏に合ういろいろなお風呂の入浴方法をご紹介します。

【夏のお風呂の効果】
 エアコンの効いた室内と直射日光ギラギラの屋外との温度差や高い湿度による不快感のためストレスがたまりやすい夏は、ぜひお風呂でリフレッシュして下さい。お風呂に入ると緊張した心と体がリラックスし、皮膚の分泌機能が調節されます。また、お風呂に入ると1㎞走ったことと同じ熱量を使うためダイエット効果も期待できます。お湯の温度によっても入浴効果は違ってきます。例えば、38~39℃のぬるめのお湯は神経を刺激し、精神的なストレス解消効果があります。42℃の熱めのお湯は血液循環をよくし、筋肉にたまっている疲労物質を体外に出し疲労回復に効果があると言われています。

【効果抜群のお風呂法】
入浴前に
お風呂に入る時はまず、ぬるめのお湯で膝下、膝の上、腰、腹など心臓より低い所から洗います。急にお湯に入ると血管が収縮して血圧が大きく上がります。そのため、血圧が高い人は特に注意が必要です。

【入浴時間】
1回の入浴時間は熱いお湯で5~10分ぐらいです。ぬるいお湯の場合でも30分を越えないようにしましょう。夏でも体が弱い人や血圧が高い人は熱いお湯や冷たい水は避けた方がよいでしょう。

【入浴中】
人間の皮膚は皮膚に存在する様々な菌に負けないように弱酸性になっています。そのため、弱アルカリ性の石鹸を使うと皮膚のバランスが崩れます。お風呂やシャワーの時には弱酸性の石鹸もしくはボディーソープを使うことをおすすめします。

【注意点】
食前の入浴は食欲増進効果がありますが、お腹が非常にすいている時には疲労が増え、めまいが起こる可能性がありますから空腹時の入浴は注意しましょう。また、食後すぐの入浴は消化によくないため、食後1時間ほどたってから入浴しましょう。

急に熱いお湯に入ると血圧が上がったり、血管が収縮して血管にショックを与えます。お風呂に入る前には手足を洗い、暖かいお湯を浴び、体がお湯に慣れるようにしましょう。

お酒を飲んだ直後の入浴は避けましょう。お酒を飲むと血管が拡張しますので、熱いお湯に刺激され血管が切れ、脳卒中が起こりやすいといわれています。

激しい運動をしてたくさん汗を流した直後の入浴も避けましょう。このような状態では脱水症状を起こしやすいので、運動後はぬるめのシャワーを軽く浴びるか、少しだけお風呂に入るのがよいでしょう。

【お肌ツルツル・ピカピカのお風呂法】
清酒
 清酒は体を早く温めて疲労を解消させ熟睡へと導きます。また、皮膚をきれいにする効果にも優れています。暖かいお湯と清酒が皮膚の毛穴と毛細血管を大きくし、老廃物を排出させます。お風呂に入れる場合は、1回につき清酒1本がベストですが、コップ1杯程度でも十分です。ただし、リュウマチや皮膚炎、高血圧、心臓が弱い人は副作用の可能性があります
ので注意して下さい。


 塩が持つ浸透圧の効果で皮膚の老廃物の除去はもちろん、冷え性、血液循環、殺菌などの効果があると言われています。40℃以上の熱いお湯に天日塩を大さじ3~4ぐらい入れ、10~15分間程度入浴します。


 炭をお風呂に入れると炭の持つミネラルが放出され温泉の効果が出ると言われています。使った炭は乾かしてまた使用し、1ヶ月に1回は太陽の下で乾かします。3~4ヶ月くらい使用したら新しい炭と取り替えて下さい。

緑茶
 緑茶には殺菌効果があり皮膚のトラブルを解決します。緑茶をお風呂に入れて5分後に入浴します。お茶の葉をティーバックやガーゼの小袋に入れておくとバスタブが汚れません。

みかんの皮
 みかんの皮は皮膚に刺激を与え、毛細血管の血液循環を活発にさせます。また、みかんの皮にあるリモネンという成分は皮膚をきれいにする働きがあります。この成分は皮膚表面の水分の蒸発を防ぐ効果があります。みかんの皮は細長く切った後、風通しのよい日陰で十分乾燥させて使用します。お風呂に入れるときは、乾燥させたみかんの皮をガーゼなどの綿の袋に入れ、この袋をお湯の中でよくもんでから入浴します。

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2003年7月

循環器疾患【虚血性心疾患】

【心臓】
 心臓は心筋と呼ばれる筋肉からできており、血液をすみずみまで送り出すポンプの働きをしています。血液は身体をまわりながら酸素や栄養を運ぶ役目をしています。

 心臓も働くためには酸素や栄養素が必要です。それらを心臓の筋肉へ運ぶ血管が冠状動脈です。冠状動脈には、太い三本の枝があり、心臓の周りを王冠のようにめぐっています。動脈硬化や血栓などで心臓の血管が細くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。

 急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素・栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。これが虚血性心疾患の症状です。

【高血圧と心臓病】
 高血圧は心臓病の危険因子です。心臓は血圧が高くなる分だけ余計な仕事が増え、全身に血液を送るポンプである左室の筋肉の壁が厚くなる左室肥大が生じます。その一方で高血圧は動脈硬化を起こすことが知られていますが、心臓の筋肉(心筋)を養う動脈である冠動脈に動脈硬化が生じ、血管の内腔が狭くなり、心臓肥大のため心臓への血液要求が増えるにもかかわらず、血液の供給が減るため、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が起きやすくなります。

 また、心臓肥大で高血圧の分だけ余計な仕事をし続けた結果、心筋が疲れ果てて心不全になりやすくなります。

 心臓病の発症率は増加する傾向にあり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の発症原因として高血圧のみならず、喫煙、高脂血症、肥満、糖尿病などの動脈硬化の危険因子を持つ人が増加しつつあるからです。

 これらの危険因子は食習慣や運動、また喫煙やストレスなど、生活習慣に起因することが少なくないため生活習慣病と称され、危険因子の数だけ虚血性心疾患が起きやすくなります。普段からこれらの危険因子を減らす生活上の注意や治療が心臓病の予防に大切です。

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