2003年7月

循環器疾患【虚血性心疾患】

【心臓】
 心臓は心筋と呼ばれる筋肉からできており、血液をすみずみまで送り出すポンプの働きをしています。血液は身体をまわりながら酸素や栄養を運ぶ役目をしています。

 心臓も働くためには酸素や栄養素が必要です。それらを心臓の筋肉へ運ぶ血管が冠状動脈です。冠状動脈には、太い三本の枝があり、心臓の周りを王冠のようにめぐっています。動脈硬化や血栓などで心臓の血管が細くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。

 急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素・栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。これが虚血性心疾患の症状です。

【高血圧と心臓病】
 高血圧は心臓病の危険因子です。心臓は血圧が高くなる分だけ余計な仕事が増え、全身に血液を送るポンプである左室の筋肉の壁が厚くなる左室肥大が生じます。その一方で高血圧は動脈硬化を起こすことが知られていますが、心臓の筋肉(心筋)を養う動脈である冠動脈に動脈硬化が生じ、血管の内腔が狭くなり、心臓肥大のため心臓への血液要求が増えるにもかかわらず、血液の供給が減るため、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が起きやすくなります。

 また、心臓肥大で高血圧の分だけ余計な仕事をし続けた結果、心筋が疲れ果てて心不全になりやすくなります。

 心臓病の発症率は増加する傾向にあり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の発症原因として高血圧のみならず、喫煙、高脂血症、肥満、糖尿病などの動脈硬化の危険因子を持つ人が増加しつつあるからです。

 これらの危険因子は食習慣や運動、また喫煙やストレスなど、生活習慣に起因することが少なくないため生活習慣病と称され、危険因子の数だけ虚血性心疾患が起きやすくなります。普段からこれらの危険因子を減らす生活上の注意や治療が心臓病の予防に大切です。

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