2006年3月院長より

また、寒暖の差が激しく、風邪を引きやすいばかりでなく、自律神経失調症状や精神・神経症状が悪化しやすい時期となってきました。くれぐれも無理をせず、心身の変調を感じた場合は早めに受診し、ご相談ください。
 この四月には2年ぶりの診療報酬改訂がありますし、介護保険制度の変更、障害者自立支援法に伴う制度変更等多数の変更が行われます。あまりにも変更点が多いため、まだ一部混乱している部分がありますが、スタッフ一同日々勉強しておりますので、皆様も何かご不明な点などがございましたら、遠慮なくご質問ください。
 また新年度より医師会関連の仕事が今まで以上に増えることが予想され、そのため、診療開始時間が少し遅れることや、臨時休診をしなければならないことなどが増えるかも知れません。なるべく皆様にご迷惑をおかけしないよう配慮をしますが、皆様にもなるべく診療の予約を取ってくださるようお願い
いたします。将来的には診療予約システムの導入も検討いたします。皆様に最良の医療を提供するべく、その方策をいつも探ってはおりますが、皆様のご希望も是非お知らせください。よろしくお願いいたします。

 今年、大流行はしませんでしたが、インフルエンザに関する情報提供をしたいと思います。新聞等でご存じだと思いますが、インフルエンザの治療薬でタミフルという薬があります。このタミフルとの関係ははっきりしていませんが、タミフルを服用中にお亡くなりになった方がいらっしゃいます。タミフルを服用すると、しないよりも多少早く症状は改善しますが、症状が治まっても他者に移さないために外出は控えることが必要ですし、それなら下手に症状を抑えることは止めた方が良いという考え方があります。またタミフルを服用して、インフルエンザの重大な症状であるインフルエンザ脳症を予防できるという保証はありません。そして何よりタミフルを使えば使うほど耐性という心配があります。世界の70%のタミフルを日本で使ってしまっていることで、この日本でタミフルに耐性のあるインフルエンザウイルスを生み出してしまうことを心配しております。インフルエンザにかかってタミフルを服用するよりは、ワクチン接種やうがい、手洗いの励行などで予防し、身体の免疫力を高めて、ウイルスが身体に入ってきても発症しないような体質にしていくことの方が大事だと思いますので、是非実行してください。

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2006年3月心理室より

流行(fashion)
 以前、流言という現象について取り上げましたが、今日はそれと同じような連鎖的伝達過程をもつ社会現象である流行(fashion)についてお話していきたいと思います。

 流行とは、ある社会の中で、それまでとは異なる新奇な行動様式が爆発的に広まり、比較的短期間に消失する社会現象です。また、流行は、服装や食べ物、髪型などの有形なものから、歌や言葉、思想のような無形なものまで、広範囲にわたってみられる現象です。しかし、その規模と対象によってそれぞれニュアンスが若干異なり、用いられる用語にも次のようなものがあります。

① ファッション(fashion):本来、「職人の地味な手作り」を意味したものが、今日では普通、衣服の流行に用いられています。
② ブーム(boom):「財テクブーム」とか「海外旅行ブーム」のように、経済現象や社会現象としてみられる「にわか」流行を意味します。
③ モード(mode):これもファッション同様、服装の流行を意味しますが、特に洗練性が強調される場合の流行を表します。
④ クレイズ(craze):衣服や音楽にみられる一時的、熱狂的な流行のことで、社会的に広範囲に広がります。たとえば、「ミニスカート」の流行などがこれにあたります。
⑤ ヴォギュ(vogue):「ブランド物志向」のように、特定商品の人気や評判の流行を意味します。

 また、このような流行には、一般に3つの特徴があげられます。
① 受けての広がりに一定の範囲がある。
② 流行が続く期間としての寿命がある。
③ 流行には周期(サイクル)がある。
③の特徴は、男性のズボンの太さ、ネクタイの幅、女性のスカートの長さなどのように、特に服飾について顕著にみられます。

 次に、流行のプロセスについてみていきましょう。たとえば、数年前に女子中・高生の間で流行した「ルーズソックス」を思い出してみてください。女子中・高生のうち、過半数を超える人がそれを着用しているとしましょう。すると、まだそれを取り入れていない生徒にとっては、たとえそのスタイルが少し変だと思えたとしても、それに抗するのはかなり勇気がいることです。それどころか、それが素敵だと思えることのほうが多いのではないかと思います。

 この例のように、流行現象においては、多数の他者がしていることが正しいと思えること(たとえば、その商品は優れているに違いないと思うこと:情報的影響)と、流行に従えば他者から好意的に見られると思うこと(逆にいえば、流行に乗らないと疎外されると思うこと:規範的影響)の2つの要因が働くと言われています。流行の比較的初期の段階では、情報的影響のほうがより強く作用しますが、いったん流行に「火がつく」と真の情報はどうでもよくなり、規範的影響がより強く作用して「乗り遅れたくない」思いが流行をいっそうあおるのです。

 最近はマスコミの発達にともない、流行の普及速度は速く、範囲も拡大されてきています。商業資本
が意図的に操作するという面があり、流行は作られるという特徴もあります。このような流行を取り入れ
ることも大切ですが、自分に合ったものを選び、自分らしくいることが何よりも大切なのかもしれません。

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2006年3月

さくら
 まだまだ寒い日が続いており、ちょっと気が早いかもしれませんが、今回は春を代表する花である「桜」についてのお話です。

【桜は何科?】
 桜は植物学上、バラ科、サクラ亜科、サクラ属の落葉高木または低木の樹木です。サクラ属はサクラ、ウワミズサクラ、スモモ、モモ、ウメ、ニワウメの6亜属に分けられます。

【桜の分布】
 桜は主として北半球の温帯に広く分布していますが、美しい花の咲く種類はアジアに多いそうです。その中心は日本列島で、多くの種類が集中しています。また、中国や朝鮮半島にもかなりの種類があり、日本と共通の種類もあります。その他、中国の奥地やヒマラヤ地方などには、日本のものと種類は異なりますが、ヒマラヤ桜のように美しい花の咲く種類が分布しています。反対にヨ-ロッパには、日本の桜のように花の美しい種類はなく、サクランボ、いわゆるミザクラの類になるそうです。

【木の大きさと樹形】
 桜には、ミネザクラ、チシマザクラのように、高さが2m前後の低木から、ヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンのように20m以上の高木になるものまであります。一般には、丸い平らな樹冠を作り、主な枝は斜上する樹形のものが多いそうです。しかし、枝の垂れるシダレザクラや枝が横に
広がる染井吉野、普賢象、箒状となる天の川、泰山府君など樹形に特徴のあるものもあります。
桜の語源・由来
 桜の語源は、動詞「咲く(さく)」に接尾語「ら」が付き、名詞になったものとされます。桜は奈良時代から栽植されましたが、当時は田の神が来臨する花として、「信仰」「占い」のために植えられることが多かったそうです。そのため、桜の「さ」は耕作を意味する古語「さ」、もしくは「神霊」を意味する「さ」を表し、桜の「くら」は「座」を表すといった説もあるそうですが、あまり有力とされていないそうです。

【桜の季節を代表する食べ物?!】
桜の季節には、塩漬けの葉で包まれた「桜餅」が登場します。

【桜餅にも地域差が!】
 関東の桜餅といえば、小麦粉を原料とした生地を薄くのばして焼き、こしあんをくるんだ反物風のものが主流です。一方、関西では少しつぶつぶのある生地であんをくるんだ「道明寺」とよばれる菓子をさすのが一般的です。                  

【桜餅の起源】
 その昔、大阪の道明寺という寺で作られていた*1干飯(ほしい)がその起源といわれています。道明寺粉とは、もち米を蒸してから乾燥させ、粉砕して粉にしたもので、他の粉より粒子が荒いのが大きな特徴です。この粉を水に漬け、もどしてから蒸すとつぶつぶの食感を残したままやわらかな生地となります。 *1 その昔、武士が戦に携帯したご飯のこと。
 
【桜餅の葉は食べる?それとも食べない?】          
 甘党には大人気の桜餅ですが、さてあなたは、桜餅に巻いてある桜の葉を食べますか?それとも食べませんか?どうしても食べなければいけないというものではありませんが、塩漬けしてあるやわらかい桜の葉は甘いあんにピッタリです。是非一緒に食べてみましょう。

【桜餅の葉について】
 桜餅に巻いてある葉は何の桜の葉でしょうか?桜の葉ならばなんでもOKかというと、実はそうではありません。桜餅に使う桜の葉は、オオシマザクラのやわらかい新葉です。オオシマザクラ以外の葉は使用しません。ソメイヨシノの葉はだめなのかという声も聞こえてきそうですが、ダメなんだそうです。残念ながら、ソメイヨシノには香りがほとんどありません。反対に、オオシマザクラには、弱いですが桜独得の甘い香りがあります。ですから、オオシマザクラの伸び始めたばかりのやわらかい葉を塩づけにして、甘い香りをはっきりさせて使用しているんだそうです。
 ちなみに同じようにもちに葉を巻く柏餅の葉はかたくて食べられませんので、ご注意下さい。

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2006年3月

五十肩の体操法と予防法
 五十肩は普段からあまり身体を動かしていない人や、長時間同じ姿勢をとるデスクワークの人などが比較的かかりやすいと言われています。腕と肩を動かすことである程度は五十肩の発症を予防できます。毎日できるラジオ体操などの運動を続けていくといいでしょう。お風呂にゆっくり入って肩を回したり、腕を上下する運動を行ってみましょう。

 五十肩は自然に治ると言われていますが、放置しておくと、痛みは和らいでも肩の動きは元通りになりません。医師の指導に従って運動療法を積極的に行うことで早い回復が期待できます。また、眠ることもできない程の激しい痛みや、肩に力が入らない症状が数ヶ月にわたって続く場合は、別の病気の可能性もありますので、放置せずに整形外科で診察を受けるようにしましょう。

【五十肩体操】
 五十肩は特別な治療をしなくても半年から一年ぐらいで自然に痛みは治まってきますが、その間、肩を動かしていないと筋肉の拘縮が起き、肩が思うように動かなくなってしまいます。特に肩を普段あまり使わない人は拘縮が起こりやすく、再発もしやすいので意識して肩を動かす心がけが大切です。痛みの起こりはじめや激しい痛みのある間は安静にしておくべきですが症状が安定してきたら、体操をしてみましょう。痛みの軽減、肩関節の可動範囲の改善、再発防止に効果があります。少し痛い位を目安に、毎日行う事で効果が出てきます。

 五十肩は、ある程度の年齢に達したら誰にでもおこる可能性のある病気です。しかし、だからと言って症状を軽く考え、初期のうちに治療を怠ると、長期間の痛みや運動障害に悩まされます。痛みがあったり腕が思うように動かせないと、日常生活に不便を感じます。治療によってかなり改善されるので、「年だからしょうがない…」とあきらめず、なかなか良くならないと悲観せず、気長に治療を続けましょう。五十肩は治療より予防が大切です。日頃から肩の運動だけでなく、適度の全身運動を心がけましょう。

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