2009年5月

市長選も終わり、苦しい財政事情の中でも医療福祉に関わる予算を増やしてくれていた前松原市長の後継者とされる候補は落選してしまいました。当選された河村氏は、市民税減税という達成困難な公約を掲げ、当選が決まってすぐの会見でも、絶対に行うと宣言されています。税収が落ちている中、無理に減税し、その結果弱者のための医療福祉関連予算が減らされるのではたまったものではありません。そんなことが起こらないよう市議会議員の皆さんに働きかけ、横暴を阻止できるよう、皆様のお力をお貸しください。

 この4月末から、大変な騒ぎとなっております。新型インフルエンザの話題です。4月30日現在WHOはフェーズ5に警戒レベルを引き上げました。多数の国で多くの患者が発生しており、世界的大流行の一歩手前の状況となっております。
 このようなときに大事なことは、まず冷静に情報を集めること、不要不急の外出はできるだけ控え、短時間で用を済ますようにすること、人混みは避けること、やむを得ず外出するときはマスクをし、帰宅したら、水でかまわないので、うがいをし、手洗いをすること。

 もし感染者がいる国への渡航歴にある方と接触してしまい、咳、鼻水等呼吸器感染症状と38度を超える熱があるときは、直接医療機関に行くのではなく、最寄りの保健所(北保健所917-6552、名古屋市健康福祉局972-2631)あるいは夜間、休日等は中保健所(251-4522)に電話をし、対応方法を確認し、指示された医療機関に行くようにしてください。
 他の方への感染拡大を防ぐために、これら注意事項を是非お守りください。
 
 今回の便りのテーマともなっておりますが、よく自分は医療機関に定期的に通院しているからガンやそのほかの病気も見つけてもらえるだろうから大丈夫だと誤解されている方がいらっしゃいます。私どもは患者さんが訴えられる疾患の診察や治療を行いますが、訴えがない疾患まで診察を行うことや、検査することはできません。現在の保険診療の制度で認められてもおりません。ガンや糖尿病、高血圧など、患者さんが症状を自覚していないうちに病気が密かに進行していることもあります。これらを特定の疾患の治療する過程で発見、診断することは困難です。患者の皆様が積極的に健診、検診や人間ドック等々で、何を受ければどんな病気が見つかるかを調べ、適切なものを選択し、自己管理をしてくださいますようお願いいたします。何を受けて良いのか分からないと思われる方にはわれわれスタッフがお手伝いしますので、気楽にお声をおかけください。
くれぐれもお大事に。     

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2009年5月

不登校
○不登校とは 
 文部科学省の定義では「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間に30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」とされています。

 不登校を主な理由として30日以上欠席している児童・生徒は年々増えていましたが、平成13年度からは横ばい状態です。小学校と中学校を比較してみると、平成18年度では小学校の不登校の児童数は23,824人で302人に1人の割合です。一方、中学校は同じ年に102,940人で35人に1人となっています(文部科学省の調査による)。

 不登校の児童・生徒の大部分は(1)怠けているとか、学校が嫌いなのではない、(2)自分では登校したいと思っているのだけれど、どうしても行けない、(3)無理に登校しても、頭痛や嘔吐などの身体症状が出て、学校にいられなくなるというような状態です。また、不登校の理由も様々で、子ども達が訴える理由が解消されても、登校できないことも多々あります。
   
○不登校と身体症状 
 不登校の子の多くは身体症状を伴っています。代表的な症状は、①頭痛、②腹痛、③吐き気、④めまい、の4つです。これらの症状は、実際に不登校になる前から出現していることが多く、身体症状は不登校の前兆ともいえます。

 自分の内面を言葉で上手に表現できない子どもたちは、言葉の替わりに体で訴えているのです。つまり、身体症状は子ども達の心の声と言えます。体調不良を訴える子どもたちのはなしをじっくりと聞いてあげること、子ども達が心の中を言葉で表現することができ、それをわかってくれる大人が
いれば、身体症状は自然と落ち着いてくると考えられます。           

○中学校の不登校  
 中学生の不登校には、思春期の発達課題が深く関わっていることが多くなってきます。発達課題とは、人間が健全で幸福な発達をとげるために各発達段階で達成しておかなければならない課題のことですが、中学生の時期における課題は、自分とは何かをみつけることです。この課題に取り組む為
には、心のエネルギーをたくさん使わなければなりません。そのためには、内にこもる必要があります。外から見ると活動性が乏しくなったようにみえますが、内側では活発にいろんなことを考えているのです。
 思春期はサナギのような状態なので、学校へ行かせようと無理に引っ張り出してしまうのではなく、周りの大人にはじっと待つということが求められます。思春期の不登校に対しては、まずはその状態を尊重して待つことがとても大切で、期が熟す前に学校へ連れ出そうとすることは、サナギを破いてしまうことに等しいと言えます。

この「待つ」ということはとても難しいことですが、ここでしっかりサナギを守ることで、やがて子どもはふ化し、成熟した大人へと成長していくのです。

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2009年5月

健診と検診
 新年度も始まりようやく一ヶ月が過ぎました!新しい職場に入られた方、新しい学年、新しい学校に進まれた方等今までとは違う環境に変わった方は多いと思います。

 学生の方は4月の入学・進学当初にもう済ませたという方も多いかもしれませんが、春は健康診断の季節です。新入社員の方でも、入社前に健康診断をもう受けられた方もいるかもしれませんね。さて、その健康診断ですが、よく略して健診といっているのを耳にしたり、目にしたことはありま
せんか?文字で見れば一目瞭然ですが、音は同じ『検診』という言葉も知っていらっしゃる方は多いと思います。その『健診』と『検診』何が違うのか、皆さんはご存知ですか?今回はその健診と検診の違いを簡単にお話したいと思います。

○健診
 健康診断を略して、健診と呼ばれることも多くありますが、これは診察や各種検査(血液検査等)で健康状態を調べるもので、健康の維持や病気の早期発見、早期治療を目的としたものです。入社時や配置換えの時等に行う雇入時健康診断や、常時雇用している労働者を対象に年一回行う定期健康診断、学校保健法に定められている児童を対象とした定期的な健康診断など様々な健診があります。
 種類は多いですが、健診の目的は先ほど述べた通りのもので、簡単に言えば、特定の疾患について
調べるのではなく基準にある項目をザッと調べるものです。

○検診
 それに対し検診は特定の疾患の発見を目的としています。肺がん検診、大腸がん検診、乳がん検診、骨粗しょう症検診等など、傷病名が頭についているのが検診の特徴です。 この疾患についての検査ですよ、というのが名前をみて一目瞭然になっていますよね。

 健康状態を調べるといえば、人間ドックもそうです。ただし、人間ドックは保険で行う健診とは違って全て自費診療です。その為、保険では全てを網羅することのできない細かい項目まで調べることができます。ネックといえば、自費診療の為、細かく調べると結構な高額になってしまうということ。しかし、調子が芳しくないがどこが悪いのかよく分からないといった状態の時に、全身をくまなくチェックできる人間ドックは多少高額になってしまっても、やっておいて損はない検査です。
 早期発見、早期治療、これは健康を維持していく為にはとても重要な2本柱です。

○補足
 名古屋市民の40歳以上の国民健康保険加入者の方は、21年度の特定健康診査が今年も始まります。去年とは違い、検査を受ける受診期間が今年は40歳~74歳(その年に74歳の誕生日を迎える人も含む)の方が6月~3月末まで、後期高齢者の方が6月~2月までと変わっています。特定健診を受けた後、結果によっては特定保健指導を受けるよう通知される方もいますので、期限ギリギリになって健診を受けるのではなく余裕を持って受診するよう心がけてください。
他ならぬ自分の健康の為です、健康診断はしっかりと受けましょう!
 

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2009年3月

寒暖の差が激しい時期です。風邪も引きやすく、自律神経失調症状が出やすい時期ですから、くれぐれもご自愛くださいますようお願いいたします。

 さていよいよ市長選が近づいて参りました。100年に一度とも言われている金融不安に襲われている中、名古屋市では新年度より妊婦検診の回数が増えたり、後期高齢者医療制度対象者の健診制度が改善されたり、名古屋市民の福祉制度は若干ではありますが、向上する予定と聞いております。これらは市長や市会議員の方々の大英断があったからこそ起こった変化です。このような改定には費用がかかります。今回の市長選の候補者のお一人は市民税減税の公約をあげていらっしゃるようですが、もし市民税などの税収が減り、それを上回る増収の手段が見つからなければ、せっかく改善した皆様方の福祉制度も水泡に帰してしまいます。低負担だけど低福祉の名古屋市で良いのか、ある程度の負担はしてもよりよい福祉制度を提供してくれる名古屋市が良いのか、今後の名古屋市の行く末を決める大事な選挙となりそうです。口当たりの良さそうな毒まんじゅうを食べるのか、良薬だけど苦いものを選ぶのか、良くお考えになって選挙に臨んでくださいますようお願いいたします。

 市長選に限らず、今後しばらくの間、選挙の際の判断基準は低負担低福祉か中負担中福祉かの選択になりそうですから、財源をどうするのか、少なくとも減税を口にしない政治家、もっと言えば増税をはっきり口に出せる政治家を選ばないと今後の日本は大変なことになることをご理解ください。
 私たちと一緒に名古屋市の医療・福祉制度を良くしていただく活動をしていただくことを切にお願いいたします。

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