2011年5月

当院職員一同、この度の東北地方太平洋沖地震により被災なされた方々に、心より哀悼とお見舞いを申し上げます。また院長が4月上旬、仙台市に医療救護に出向いた際にご迷惑をおかけしたことを改めておわびいたします。政令指定都市医師会間の協定に基づき、被災地医師会からの要請で必要な援助を行う活動の一つとして避難所での救護所運営を行ってきました。期間中避難所に身を寄せていた多くの方や仙台市医師会、仙台市行政の方々から支援への感謝の言葉をいただき、地域の方を守りたいと思い、医師になったのですが、その原点が思い出され、自分にとっても良い経験をさせていただきました。また滞在中の4月7日には震度6強というすさまじい余震も経験しました。ドーンという衝撃とともに激しい揺れがあり、ホテルの備品が部屋中に散乱し、トイレも水もあふれ、トイレ中水浸しとなっていました。このような思いを毎日のように経験されている現地の方々のご苦労、ご心配を思うと胸が締めつけられる思いです。一刻も早い復興を願います。
  大自然の力を前にすると人知の及ぶ範囲の狭さを思い、人は人知の及ばない大きな力によって生かされているのだと改めて思います。自分を信じ、精いっぱい生きることが大切ですが、それだけで十分で、その後のことはもっと大きな力に任せることになります。「生きているだけで丸儲け」なのだと思います。

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2011年5月

震災などの体験や目撃による心の理解とケアのために
 皆様もご存知のことと思いますが、H23年3月11日にとても大きな地震が起こりました。テレビや新聞、インターネット等で、繰り返し流れる地震の様子や負傷者・死者の多さ、頻繁に起こっている余震の多さに怖い思いや不安な思いを抱えられていることと思います。

 子どもも大人も、安全や安心を脅かす出来事を体験したり、衝撃的な事件を目撃することなどで、不安になったり、体調が崩れたりすることもあると思います。多くは一時的なもので、自然に落ち着いていきます。

○様々な反応の例を挙げておきます
・考えたり、怖がったり、不安になる。
・頭痛・腹痛などを感じる。
・寝つきが悪くなる、夜中に目を覚ます、怖い夢を見る。
・(子どもの場合)やたら甘えたり、親の側を離れようとしない。
・話をすることが億劫になったり、ボーっとする。
・外出が嫌になる。
・そわそわして落ち着かない感じがする。
・涙ぐんだり、泣き出したくなる。
 これらの反応は、不安な状況がもたらす心身の反応であり、怖い体験をすれば、異常なことでは
 ありません。周囲の人々が安心感を与えることで、多くは回復していきます。

○上記のような反応のある人と接する際に気をつけたいこと
・いつもと同じ自然な生活のリズムが基本です。
・話してきた時には、さえぎらず最後まで聞いてあげましょう。
・身体の不調を訴えた時には、無理強いせず、ゆっくり休ませましょう。
・怖い夢を見たり、夜中に突然目を覚ましたりした時は、周りの方が「大丈夫だよ」と言ってあげるなど、安心させてあげましょう。
・(子どもの場合)赤ちゃんがえりをした時は、叱らずに十分にスキンシップを与えましょう。

 大変な状況の中で、皆さんが心配や不安をもたれるのは当然のことです。安全という感覚が崩れてしまうような感覚をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。だいたいは一過性の症状ですが、ずっと続いていたり、不安や心配が過度であったりする場合は診察時にご相談下さい。

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2011年5月

傷病手当金
 今回は社会資源の一つである、傷病手当金についてご説明したいと思います。企業に勤めている人が病気やケガ等で長期に休職した場合、生活の保障として社会保険から傷病手当を受給することができます。ただし、受給するためには、条件全てを満たしていなければいけません。

○病気やケガで仕事をすることができないこと。
○病気、ケガの療養のために、4日以上欠勤していること(3日間休んだ後、4日目に退職した場合は該当外になります)
○欠勤して4日目以降の給料を受けていないこと。
○社会保険に加入していること(被扶養者や、国民健康保険の加入者は受給できません)

 休み始めて最初の3日は、公休や有給などで給料が発生していても大丈夫です。また、休職中にも給料が発生しても、傷病手当金の額よりも少なくなる場合、その差額が支払われます。

【傷病手当金受給の注意点】
 傷病手当金を申請する際、もし退職を視野にいれている場合でも、必ず在職中に手続きをとります。以前は退職後に任意継続の保険証へ切り替えた後も傷病手当金の受給ができましたが、現在は一定の条件を満たす方以外認められていない為、必ず在職中に手続きをとる必要があるからです。また、傷病手当金は一度受給を始めたら、一年半受給することができますが、途中で職場復帰をし、働ける期間ができたとしてもその働けた間の受給期間を止めて残しておくことはできません。 一度一ヶ月分だけ受給しそれ以降働けていたからといっても、一年半後に残りの一年五ヶ月分をもらうことはできないのです。
 傷病についても、1度うつ病を理由に傷病手当金の制度を受け、職場に復帰したとします。またうつ病が再発して、再び仕事を休むことになったとしても、同じ病気で傷病手当を受けることはできませんので注意が必要です。
 類似の傷病(不眠症、自律神経失調症、躁うつ病etc)も、精神科の傷病として同じ扱いとなる為、違う病名として傷病手当金を受給することはできません。ただし、一定期間(3~5年程度が目安)社会復帰ができており、一度寛解したとみなした場合は、再発した際にも同じ傷病で受給することができます。
 傷病手当金をもらいながら再就職をした場合も、注意が必要です。まだ受給期間が残っている状態で再就職をしたけれど病気が再発し、すぐ辞めてしまった場合、受給期間の残っていた傷病手当金をまた受給しなおすことはできません。一度働ける状態になった為、前の会社で申請した傷病手当金をもらいなおす資格がなくなったからです。ただし、この場合も新しい会社の保険でならまた傷病手当を受給することはできます。

【支給額について】
 支給額は、休み始めてから4日目以降、給料の3分の2が支給されます。詳しく説明すると、月単位の給料から計算されるのではなく、欠勤1日あたり『標準報酬日額』の3分の2が支給されることになります。自分の給料を日額に計算したものではなく、規定されている『標準報酬日額』があり、それぞれの給料に応じて日額が決められます。

標準報酬月額÷30=標準報酬日額
標準報酬日額×2/3=傷病手当金日額
傷病手当金日額×(休んだ日数-3日)=支給額

 またこの支給額から保険料等がひかれますので、実際手元に入ってくるのは給料の半分程度と考えてください。

【失業給付と傷病手当金】
 傷病手当金は病気や怪我で働けない状態の時に、雇用保険から支払われる手当です。なので、当然すぐに働くことができる状態にあるときにもらう失業給付とは一緒にはもらえません。失業給付は通常受給期間は一年間と定められていますが、病気で働けない方等は診断書を提出することで、受給期間を延長することができます。最長三年間延ばせるので、計四年間は受給資格が与えられることになります。
 退職後、失業給付の延長の手続きをしてまずは傷病手当金を受給し、その後失業給付を受給すれば、しばらくの間働けなくても収入が全くのゼロになってしまうことはありません。社会資源の活用で、治療する環境は大きく変わってきます。こういった社会資源を上手に活用しながら、ゆっくり治療をしていけるといいですね。

 利用したいがわからない時等は、当院職員にお気軽にお聞きください。

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2011年3月

寒い冬もそろそろ終わり、少しずつ暖かい日が多くなってきましたが、寒暖の差が激しいこの時期は自律神経のバランスが乱れやすく、精神的にも不安定になりやすい時期でもあります。身体やこころの不調をお感じになった際にはご相談ください。

 長引く不況のため、受診を控える傾向が広がっており、ある調査によると8割近い患者さんが症状があっても受診を控えたことがあると回答されたそうです。風邪など休養を取るだけで治る病気もありますが、治療開始が遅れたために重症化してしまい、命を落とす結果となったり、そうでなくても治療により長い時間と費用がかかってしまったということもまれではあれません。そのようなことにならないよう、症状が軽いうちに受診してくださいますようお願いいたします。

 さて、減税、議員報酬半減などの市長提案に賛成しないからと、市長自らがリコールを呼びかける暴挙を行った河村市長ですが、非常に多くの支持を得て、再選されました。リコールも成立し、市議会議員選挙が行われることになったわけですが、わずか二ヶ月足らずの任期を残すのみ議員の改選を二億円ものお金をかけて前倒しする意味が本当にあったのでしょうか。減税にしても、2000万円以上の減税を受ける人を含め、5万円以上の減税を受けている人が4%いますが、 減税額としてはおよそ30%にものぼります。大多数の60%弱の人にとっては年間1万円以下の減税に過ぎませんし、いっさい減税されない人が40%弱もいます。極く一部のお金持ちのためにしかなっていない減税をするためにこんな大騒ぎが必要だったのでしょうか。市会議員選挙、県会議員選挙の際にはブームの風に乗るのではなく、よくお考えになった上で投票に臨んでいただきたいと思います。

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