2001年5月

気管支喘息       
【血液検査について】
 喘息やアトピー性皮膚炎で経過の長く症状の著しい患者さんには、アレルギーがどの程度のものか、その原因は何かを知るために血液検査を行うことがあります。また、特定の疾患のために内服薬をずっと続けておられる患者さんにも、定期的に血液の検査を行う場合もあります。お薬の副作用は実際は非常にまれですが、診察だけでは分からない副作用の出現を予防するためです。
 お子さんの場合、採血は大きな心理的負担をかけます。場合によっては幼いお子さんでも、ある程度は理解できるように説明してあげる方が良いでしょう。血液検査を予定されたら、あらかじめ「我慢するのは今日だけ」と十分に説明してあげてください。病院に行くたびに痛いことをされる、という間違った認識を育てないようにしましょう。
 「血液検査」と一口に言っても非常に多くの種類がありますが、アレルギー疾患の患者さんに行う血液検査としては、一般に次のようなものがあります

1.血液学的検査
 白血球の数や貧血の程度、また出血を止める働きのある血小板の数を測定する検査です。
 感染症を伴い発熱をしている時など白血球の数に変化が出ます。またその程度によって感染症の重度を考えます。
 白血球は更に細かく分類され、その中でも好酸球の数とアレルギーは非常に関係が深いとされています。
 好酸球の増加が見られたときには、喘鳴や湿疹の原因にアレルギーの関与を強く疑います。

2.免疫学的検査
 免疫とは、細菌やウイルスが体に進入してきた時に体を守る働きの事をいいます。
 体には様々な免疫反応があり、その多くは免疫を担当するたんぱく質である「免疫グロブリン.Ig」というものが関わっています。
 免疫グロブリンを細かく分けると、IgG、IgA、IgMそしてIgEなどに分けられます。

IgEについて
 免疫グロブリンは、免疫反応の種類によってそれぞれの働きがちがいます。
喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などでは、IgEの関与が重視されています。
 アレルギー疾患では、一般に罹患期間が長いほど上昇する傾向があるといわれています。
 しかし、高い数値を示しているから重症であるとは限りません。
 低値でも難治性の喘息の方もおられます。また年少時では低値でもアレルギーの関与を否定できない場合があります。

RAST(特異Ig検査)について
 RAST検査とは、例えば家のホコリやダニ、卵白、牛乳などの特定のアレルギーとなりうるものに反応するIgEがどれくらいある かを調べるものです。 一般にアレルギーの血液検査といえばこの検査を示している事が多いかと思います。例えば、喘鳴を繰り返すお子さんにこの検査を行い、ダニやホコリに反応するIgEが高ければ、喘鳴の原因は家のダニやホコリ も原因であろうと説明する事になります。調べられる項目は非常に多く、その他にもネコやイヌのフケ、花粉、カビ、ソバなどもあります。
 もしも日常生活でこれが原因ではと思われるものがありましたら、なんでも遠慮なくお話してください。

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2001年3月院長より

院長より   
 今年初めより待合室に意見箱を設置して、皆さまからのご意見を伺っておりますが、その内いくつかのご要望について検討させていただきました。まず、職員の名前が分からず、何と呼んで良いのか分からないと言うご意見に対しては【名札】を着用するようにいたしました。次に医療費控除を受けるために明細書を発行して欲しいというご意見がございましたが、医療費控除を受けるためなら領収書ですむこと、明細書発行のためにはコンピュータープログラムの手直しが必要なことなどの理由で、今回は見送らせていただきます。領収書は年末にまとめて発行することも、受信の度に発行することも行っておりますので、ご遠慮なくお申し出下さい。また現在各種クレジットカードも取り扱っておりますし、近々デビットカードの取り扱いも開始する予定ですので、ご利用下さい。
 最近インターネットでホームページをご覧になって来院された方が増えているようです。ホームページ上(www.itakura-med.com)では板倉医院便りの既発行分ほか様々な情報を発信しておりますので、是非ご覧になって下さい。
 また電子メール(mail@itakura-med.com)でもご意見を受け付けておりますのでこちらもご利用になって下さい。

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2001年3月

乾燥肌      
 
 皮膚は外から紫外線を受けたり、冷たい風に吹かれたり、環境の影響を直接受けやすいうえ、体内臓器にも反応しやすい特徴を持っています。健康状態を映す鏡とも言われます。もともと皮膚には、外からの刺激を防御するバリア機能があります。皮膚最上部の角質層が防波堤となり、外からの異物をシャットアウトしたり、皮膚表面を覆っている弱酸性の皮脂膜が最近の繁殖を抑えたりしています。この皮脂膜は、毛孔と呼ばれる毛穴から分泌される皮脂と汗腺から出てくる汗が混ざり合ってできている薄い皮膜で、皮膚に潤いを与えています。ところが何らかの原因で、このバリア機能が傷害されると皮膚からいろんな刺激が侵入しやすくなります。

【皮膚のトラブル】
 皮膚が乾燥するのは季節の変化にも密接に関わっています。冬の乾燥(低湿度)した中では、皮脂膜を形成する皮脂や水分が体からどんどん出てしまって欠乏し、皮膚はとても乾きます。乾燥性皮膚炎つまり【ドライスキン】になりやすくなるのです。寒さのため末梢血管の血行が悪いこと、皮脂の分泌機能が悪くなる条件も重なります。ボディーブラシやタオルでごしごしこすってドライスキンになるケースもあります。角質層は必要なバリア機能を担っているので、必要以上に落とさないようにしましょう。肌が乾燥すると、衣類の刺激や温度の変化などちょっとした刺激でかゆみを感じやすくなります。かきむしると悪化しますので、早めにかゆみ止めの入った保湿剤を塗り、肌着は刺激の少ない木綿のものなどにしましょう。

  ・・・気をつけること・・・
・朝食を抜かず、好き嫌いはなくして栄養のあるものを食べましょう。豚肉や青い野菜を食べましょう。
・タバコは避け、コーヒーやお酒はほどほどにしましょう。
・睡眠は十分にとり、規則正しい生活をしましょう。
・冷房は軽く、暖房中は換気をしましょう。
・保湿剤を塗布しましょう。

*乾燥肌だと思われる方はお気軽に当医院にご相談下さい。

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2001年3月心理室より

心理室より  育児不安について1

「子供が夜泣きをして眠れないから疲れがとれない」「何をしても泣きやんでくれない」「発育が遅いんじゃないか」「育児書のとおりにならない」「ミルクを飲まない」など、初めて母親になった時は、いろんな事がわからず、パニックに陥りがちですね。また母親としてのプレッシャーがのしかかり、お母さんは1人で赤ちゃんの命を背負っているかのように感じてしまいます。その結果、ちょっとしたことでイライラしたり、落ち込んだり、かわいいはずの我が子がかわいく思えず手を挙げてしまったり、テレビのニュースで幼児虐待と聞くと自分もそうしているのではないかと不安になったり、とお母さんの情緒が不安定になる傾向が多いようです。このような状態は、いわゆる「育児ノイローゼ」と言われていたり、「マタニティーブルー」と言われているもので、多くのお母さんが経験されているのではないでしょうか。今回はこのような【育児不安】についてお話しします。

 妊娠中または産後直後から1ヶ月までのあいだに、母親は一過性のうつ状態になることがあります。これはあらゆるホルモンを分泌していた胎盤が出産で体外に出て、一時的にいろんな種類のホルモンが不足してしまう為です。また産後もしばらくはホルモンのバランスが崩れ、不安定になる為です。またも、慣れない育児への不安もありますので、精神的に多くのストレスを受けてしまいます。そのような状態が重なると気分的に落ち込んだり、情緒が不安定になってしまいがちです。これは特に初めての子供を出産したときや、きょうだいや友人の育児を見たことのない人、核家族で誰にも相談できずに昼間赤ちゃんと二人きりで過ごすお母さん、まじめな人や自信たっぷりの人、働いていた女性に多く見られます。なぜなら育児にはきちっとした仕上がりが見えないので、「これで合っているのかな?」と不安に思うのです。
 しかし、これはお母さん自身も一生懸命子供と向き合っている証拠ですし、良い母親になろうと頑張ってしまったあまり、イライラしたり、心身のバランスも崩れがちになってしまったのです。ですが、このようなストレス状態が長く続くと、様々な心の病に繋がっていったりするケースも少なくないので、お母さんには【ストレス】や 【不安】を解消することをお勧めします。
 それから赤ちゃんは自分とは別のリズムを持っていることに気付くのも大切です。また子供はパターン化して考えられないものですし、きょうだいであってもそれぞれの人間ですから、1日のリズムも変わってきて当然です。生活のリズムは赤ちゃんにとって大切なものですから、夜泣きも赤ちゃんにとって体内リズムの一つであると考えると大切なものなのです。大人の考えを押しつけないで、その子なりのリズムを満たしてあげるよう心掛けてみましょう。また家族の方にも協力してもらってください。家族の方へのアドバイスとしては、「頑張れ」などの強い言葉で励まさないこと。お母さんが涙ぐんでいたらスッキリするまで泣かせてあげて下さい。

 子育てはお母さんだけの仕事ではなく、家族の仕事でもあります。それぞれが適切な役割をとって、子育てを分担して協力していくのが育児不安を軽減する一番のコツといえます。かわいい我が子の成長を家族で喜んでいけるよう、お母さんもお父さんも心にゆとりを持って下さい。

 次回は育児不安の解決法についてお話ししたいと思います。 

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