2001年11月心理室より

心理室より PTSD   

 今回は心的外傷後ストレス障害(PTSD)についてお話します。
 1995年に起きた阪神・淡路大震災はまだ記憶に新しい出来事だと思います。日本では、この時の被災者の方々への心のケアを考える中で、PTSDという疾患名が次第に知られるようになりました。

【心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは】

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、自分や身近な人が、あまりにも強烈なショックを受ける出来事を体験したことにより生じる病気です。阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件、テロなどの出来事がその実例となります。その時に受けた心の傷をトラウマといい、死に直面するかまたは重症を負うような出来事、自分や他の人の身体の存在に関わる危険な出来事を経験することや目撃(トラウマ体験)を原因として、いろいろな症状が続きます。
 トラウマ体験を思い出したくもないのに何度も繰り返し思い出してしまったり、まるで過去の出来事を、同じように体験しているかのように感じたりすることもあります。不眠やイライラもみられます。また、トラウマ体験に似た状況があると、それは昔のことだから今は安全だと思っていても、胸がドキドキしたり、震えなどの症状が出ることもあります。

【PTSDを発病するようなトラウマ】

1. 人間の生命あるいは体に対する深刻な脅威
2. 自分の子ども、配偶者、身近な親族、あるいは友達に対する深刻な 脅威、あるいは害
3. 家庭あるいは共同体の突然の崩壊
4. 自分以外の人間が事故あるいは暴力のせいで重症を負った、あるいは殺害された場面を目撃した
5. 親友あるいは家族に対するひどい脅威や害、例えば、親友の子どもが誘拐された、拷問 にあった、あるいは殺害されたことを知った

【トラウマの種類】
<集団に関するのもの>
 災害:地震、津波、噴火、洪水、大規模な火災など
 事故:飛行機、船舶、列車、多数の自動車、工場、鉱山、スタジアム、劇場での事故
 戦争:戦闘、捕虜、強制収容所、拷問、被爆、難民

<個人に関するもの>・・・単発的な出来事
 事故:交通事故、火災、遭難
 犯罪被害:強姦、強盗、人質、傷害、誘拐、脅迫など
 事件・事故 犯罪の目撃:殺人など

<個人に関するもの>・・・繰り返す長期的な出来事
児童虐待(性的・身体的・精神的)、家庭内暴力、いじめ

 
*ただしこれらの出来事がすべてトラウマになるというわけではありません。
次回はPTSD特有の症状についてお話しします。

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2001年9月院長より

院長より   
 7月に行いました診療時間変更に関するアンケートに約400名の方がご協力してくださいました。ありがとうございました。さて、その結果では現状維持の回答が約7割で、午後4時から午後6時30分までの診療時間が良いという回答は約3割でした。現状維持の方の主なご意見は「午後8時までやっていると会社帰りにもゆっくり来られて良い」というもので、診療時間変更を希望された方の主なご意見は「夕方の診療時間がもう少し早いと帰宅した子供の調子が悪い時にすぐ診てもらえる、子供の生活リズムを変えなくてもすむ」といったようにお母様方のご意見が多かったです。また、多くの方が現状維持と回答されていますが、実際は午前診にしか来ないので、午後診はどちらでも良いと仰る方も多くいらっしゃいました。これらの結果から、当面は現状のまま午後6時から8時までの診療時間で行いますが、もう少し検討の余地があると考えますので、またご意見をお寄せください。

 今月は虐待をテーマの一つに挙げましたが、これには身体的な暴力だけでなく、心理的な暴力も含まれ、しつけとの違いなど、考えないといけない問題が多数あります。最近ようやく社会問題として認知され、専門化チームを含めた検討会が開かれるようになってきています。社会的弱者を地域で支えるためにはこういうシステム作りが不可欠なので、私も積極的に関与していこうと思っています。気になる点がございましたら、遠慮なくご相談ください。

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2001年9月心理室より

心理室より 児童虐待2    
 
今回も前回に引き続き、「児童虐待」についてお話します。虐待は密室で起こるため発見が難しいものですが、発覚したときには深刻な事態になっていることもあるので、早期に発見することが重要です。そこで、早期発見と援助のためにわたしたちができることをご紹介します。

【ちょっとしたサインを見逃さない】
発見のためのサインをいくつか挙げます。

・不自然な怪我や外傷がある
・人の顔色を伺い、いつもおどおどした態度でいる
・衣服や体がいつも汚れている
・いつも空腹でいる
・食欲がない
・夜遅くまで遊んでいる
・家に帰りたがらない
・暴力を振るう
・引きこもる
・入浴を嫌がる
・性行為に不自然な興味を示す
・浴室、特定の場所を怖がる
・行動や考えが実際の年齢よりかなり子どもっぽい

 これらのサインがすべて虐待につながるわけではありませんが、日ごろから注意を払うことが大切です。
もし虐待を感じたら、児童相談所に連絡をしてください。

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2001年9月

鉄欠乏性貧血 
【鉄欠乏性貧血解消のために、鉄分をたっぷりとりましょう。】
鉄分の中でも、魚や肉などの動物性食品に含まれるものを「ヘム鉄」、野菜や海藻など植物性食品に含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。 「ヘム鉄」は「非ヘム鉄」に比べて吸収率が数倍高く、また、動物性食品にはタンパク質もたっぷりです。貧血予防のためには、魚や肉などをしっかりとりましょう。ただ、「非ヘム鉄」も動物性タンパク質といっしょにとることで、吸収されやすくなります。

【ビタミンCは、鉄分を吸収しやすい形に変えくれる貧血解消の味方。「ヘム鉄」も「非ヘム鉄」も、ビタミンCと共に食卓へ。】
血液は、鉄分だけでなくタンパク質・ビタミンB6・ビタミンB12・ 葉酸・ビタミンC・銅などから作られています。これらを十分に取るには、いろいろなものを偏りなく食べることが大切です。貧血解消には、バランスの良い食事が必要です。食品中の鉄分やタンパク質などを、血液の材料になる栄養素が、効果的に利用されるために胃酸は大切な役割を果たしています。酢や香辛料、梅干などを使った料理は、胃粘膜を刺激し、胃酸の分泌を高め、鉄分の吸収も良くしてくれます。また、よくかんで食べることも、胃酸の分泌を促進します。

【食前・食後の緑茶、コーヒー、紅茶は貧血の敵】
これらに含まれるタンニンが鉄分の吸収を悪くします。どうしても飲みたい時は、ほうじ茶やウーロン茶にしましょう。

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