心理室より PTSD
今回は心的外傷後ストレス障害(PTSD)についてお話します。
1995年に起きた阪神・淡路大震災はまだ記憶に新しい出来事だと思います。日本では、この時の被災者の方々への心のケアを考える中で、PTSDという疾患名が次第に知られるようになりました。
【心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、自分や身近な人が、あまりにも強烈なショックを受ける出来事を体験したことにより生じる病気です。阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件、テロなどの出来事がその実例となります。その時に受けた心の傷をトラウマといい、死に直面するかまたは重症を負うような出来事、自分や他の人の身体の存在に関わる危険な出来事を経験することや目撃(トラウマ体験)を原因として、いろいろな症状が続きます。
トラウマ体験を思い出したくもないのに何度も繰り返し思い出してしまったり、まるで過去の出来事を、同じように体験しているかのように感じたりすることもあります。不眠やイライラもみられます。また、トラウマ体験に似た状況があると、それは昔のことだから今は安全だと思っていても、胸がドキドキしたり、震えなどの症状が出ることもあります。
【PTSDを発病するようなトラウマ】
1. 人間の生命あるいは体に対する深刻な脅威
2. 自分の子ども、配偶者、身近な親族、あるいは友達に対する深刻な 脅威、あるいは害
3. 家庭あるいは共同体の突然の崩壊
4. 自分以外の人間が事故あるいは暴力のせいで重症を負った、あるいは殺害された場面を目撃した
5. 親友あるいは家族に対するひどい脅威や害、例えば、親友の子どもが誘拐された、拷問 にあった、あるいは殺害されたことを知った
【トラウマの種類】
<集団に関するのもの>
災害:地震、津波、噴火、洪水、大規模な火災など
事故:飛行機、船舶、列車、多数の自動車、工場、鉱山、スタジアム、劇場での事故
戦争:戦闘、捕虜、強制収容所、拷問、被爆、難民
<個人に関するもの>・・・単発的な出来事
事故:交通事故、火災、遭難
犯罪被害:強姦、強盗、人質、傷害、誘拐、脅迫など
事件・事故 犯罪の目撃:殺人など
<個人に関するもの>・・・繰り返す長期的な出来事
児童虐待(性的・身体的・精神的)、家庭内暴力、いじめ
*ただしこれらの出来事がすべてトラウマになるというわけではありません。
次回はPTSD特有の症状についてお話しします。