2003年3月院長より

日増しに暖かくなっており、すごしやすい季節になってきましたが、花粉症の方にはつらい季節ですし、日中と夜間、そして一日一日の寒暖の差が激しいこの時期は精神的にも不安定になり易い季節です。そしてその影響はめまいや立ちくらみ、動悸などいろいろな症状という形で現れます。気になる症状がございましたら、遠慮なくおっしゃってください。
 まだ不安定なのは世界情勢も同様で、イラクや北朝鮮問題はどのような形で決着するのでしょうか。当分目が離せませんし、まだまだ暗いニュースが続きそうです。
 さて先回少しふれました名古屋市の予算編成がすすんでいるようです。各種健康診査の対象年齢の引き上げや自己負担金の導入やいくつかの検診の廃止などきわめて厳しいものとなっています。また福祉給付金制度の見直しも検討されており、名古屋市福祉制度の後退が危惧されます。
 今年2月28日になって一部制限付きながらも株式会社による医療機関経営が許可されるというニュースが飛び込んで参りました。従来医療機関はお金儲けより、まず第一に患者の事を考えて行動するようにと税金などに優遇措置があり、医師個人か医師を理事長とする医療法人しか医療機関を開設する事が出来ませんでした。それなのにお金儲けを第一の目的とする株式会社に医療機関の開設を許可したとなると、将来医療費はますます上がり、保険でカバーされない医療が増え、ますます患者負担が増えていくという図式が鮮明になってきました。また一つ大事なものが失われてしまったようで残念でなりません。

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2003年3月

パニック障害
今回からパニック障害についてお話ししたいと思います。最近、テレビや雑誌でパニック障害が取り上げられることもしばしばあるようですので、一度は耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、パニック障害とはいったいどんなものなのでしょう?

 パニック障害とは、かつて「不安神経症」といわれてきたもののうち、不安発作を 伴うものにあたり、多くの場合繰り返し起こるパニック発作を主な症状とします。パニック障害そのもののためだけでなく、予期不安と呼ばれる、また発作が起こるのではないかという強い心配のために日常生活に支障を来してくるのが特徴です 。

 では、パニック発作にはどんな症状があるのでしょうか。パニック発作とは、ある日突然、次に挙げる症状のうち4つ以上がほぼ同時に起こり、激しい恐怖感と不安感を伴うものです。その症状は10分以内にピークに達し、その後は30分以内に症状が消失することが多いようですが、中には半日以上も症状が持続するケースもあります。
 
○動悸・頻脈(心臓がドキドキする・心拍数が増加する・強く脈打つ)
○身体や手足の震え
○窒息感・息ぎれ(息がつまる・呼吸が早くなる)
○胸の痛みまたは不快感
○死への恐怖(死ぬのではないかという恐怖)  
○めまい・頭が軽くなる感じ・頭のふらつき
○非現実感(自分が自分でない感じ) 
○汗をかく
○吐き気・腹部の不快感
○しびれやうずき感
○寒気またはほてり 
○口の渇き
○発狂不安(常軌を逸する・狂うという心配)
○その他

 このように、激しく苦しい症状が起こるので、本人も周囲の人もビックリして救急車を呼んで病院にかけこむようなことも多いようですが、いざ心電図やレントゲンなどの検査をすると、何も異常は出ないのです。
 パニック発作が初めて起きてから次の発作が起るまでの期間は、1日であったり1ヶ月であったり様々ですが、一度発作が起きると続けて起こる事が多いようです。何の前触れもなく起こる場合もあれば、発作を繰り返すうちにある一定の状況下で起こるようになることもあるようですが、いずれにしても、パニック発作そのもので命を落とすようなことはありませんので、慌てず落ち着いて対処するようにしましょう。
 次回は予期不安についてお話したいと思います。

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2003年3月

日光湿疹・日光皮膚炎
まだまだ寒い日が続いていますが、暦の上では『春』を迎え、これから日増しに暖かくなっていきます。そして、春といえば、ポカポカ陽気ですが、春は紫外線量が増えてくる時期でもあります。そこで今回は、紫外線が増えてくるこれからの時期に注意が必要な「日光湿疹・日光皮膚炎」についてのお話です。

【日光湿疹・日光皮膚炎ってなに??】
 長時間の屋外でのスポーツ観戦や夏の海水浴に出かけた後で、皮膚が赤くなったり、ぶつぶつができてしまった!そんな経験はありませんか?
 日光湿疹・日光皮膚炎とは、顔や手足など衣服から露出した日光に当たる部分が赤くなったり、水ぶくれになったり、湿疹ができることをいいます。こういった症状は、長時間、太陽の光に当たった場合に起こると考えられています。冬の間、直射日光を浴びる機会が少なかった春のお肌は、紫外線に対して無防備な状態です。そのため、わずかな紫外線にも過剰に反応し、湿疹やかゆみなど皮膚のトラブルが起こりやすいと考えられます。紫外線の量は夏に多く冬に少ないのですが、3月頃からだんだんと増えていき、5月にピークを迎えます。そのため、これからの季節は、きちんとした紫外線対策が必要になってきます。

【紫外線ってなに??】
 「紫外線」という言葉をよく耳にしますが、そもそも紫外線とは何なのでしょう?太陽光線のうち皮膚に被害を及ぼすのは紫外線です。紫外線はその波長の長さの違いにより次の3つに分けることができます。

  ① UV-A(長波)
  ② UV-B(中波)
  ③ UV-C(短波)

 UV-Cとは殺菌灯などに使われる紫外線で、生物にとっては有害ですが、そのほとんどがオゾン層で吸収され、地表に到達することはありません。そのため、UV-C対策は必要がないと考えられています。これに対し、UV-Bは、皮膚に炎症を起こす有害な紫外線で、強いUV-Bを浴びると3~6時間くらいで皮膚に赤みが生じ、24時間後くらいにそのピークを迎えると考えられています。UV-Aは、UV-Bに比べるとエネルギーが弱く、穏やかな日焼けをするものと考えればよいのですが、浴びすぎは皮膚のたるみ、シミのもとになります。そのため、紫外線対策という場合には、UV-A、UV-Bを皮膚に浴びないようにするということが大切です。

【対策法】 
 強い太陽光、すなわち紫外線を浴びることによってできる日光湿疹・日光皮膚炎は防ぐことができます。その対策方法としては、帽子、日傘、サングラス、紫外線防止生地でできた手袋、長袖シャツ、長ズボンなどで紫外線をカットする。

 太陽光に当たる皮膚には、市販されている日焼け止め剤を使用する。この時、SPF15以上の日焼け止めで、水にとれにくいウォータプルーフタイプのものを選ぶとよいでしょう。SPFとは、SPF=1で約20分間紫外線を防ぐと考えられているもので、その数値が高いほど紫外線を防ぐ時間が長いということになります。近所へ買い物へ出かける、海水浴へ出かける場合など用途に合わせて、自分にあったタイプの日焼け止めを選んでみましょう。女性の方なら、日焼け止めを塗った後、さらにクリームタイプのカバー力の強いファンデーションを顔に塗るとよいでしょう。

 ポカポカ陽気に誘われて、春は外出が増える時期ですが、紹介した紫外線対策や自分なりの対策をおこなって、素敵な春の過ごし方を考えてみてはいかがでしょうか? 

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2003年3月

帯状疱疹
帯状疱疹は神経の流れに沿って、帯状に赤い斑点や水ぶくれと痛みが生じる病気です。

幼い頃、ほとんどの人がかかったことのある病気、水ぼうそう。そのウイルスは、治った後も身体の中の神経節に潜んでいて、何かのきっかけで抵抗力が落ちると再活動を始め、神経を伝わって皮膚に現れます。帯状疱疹の多くが、痛みを伴うのはウイルスが神経を伝わってくるためです。
 

【発症から治癒まで】 
 最初は軽い発熱やチクチクした痛みが起り、しばらくするとその部分が赤くなり、やがて水ぶくれになっていきます。それが濁って黄色くなった後、黒褐色のカサブタになり、カサブタが取れて治っていきます。痛みが始まってから水ぶくれが治るまでの間は、通常、約3週間から1ヶ月です。
 
【できる場所に注意】
 水ぶくれの出来る場所は、人によって違います。胸から背中にできる人、顔や腕、足にできる人もいます。顔に出来た場合、目のそばに及ぶと眼球を傷つけたり、耳の近くにできると顔面麻痺を生じたりすることもありますので注意が必要です。

 この病気で最も困る症状は痛みです。個人差が極めて大きく、ほとんど痛みのないこともあれば、下着の摩擦だけで目を剥くような激しい痛みに悩まされることもあり、皮膚症状が治っても、数ヶ月以上にわたって痛みが続く場合もあります。特に発症年齢が高かったり、皮疹がひどくなった人、治療までに時間のかかった人などは、痛みが残りやすいようです。

   
【後遺症を残さないために早期治療を】
 帯状疱疹ウイルスは体内で活性化して増殖を始めたときから、神経を破壊していきます。そして破壊された神経は修復されません。従って、自然に治るのを待っていては、後に神経痛の後遺症が残る可能性が高くなります。神経の破壊を少なくするためには、出来るだけ早く治療を開始することが大切です。

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