2004年7月

糖尿病
【運動療法】
 進行した合併症があったり、心筋梗塞などの心臓病があったり、運動をすることが適当でない何らかの理由がある方は別として、一般的に軽い糖尿病の場合は、適度な運動は非常に重要です。適度な運動をすると、筋肉の中のグリコーゲンが消費され、同時に血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれて血糖値が下がります。
 また、運動する事でインスリンの働きがよくなるので、ますます効果的にインスリンが働きます。さらに運動は、肥満の予防にも心肺機能の向上にも役立ちます。運動量は少ないと効果がなく、多すぎると体に悪影響をおよぼします。自分にあった適度な運動量を考えなければ行けません。

 運動療法は自分が最大に行える強さを100とすると、40~60位で行います。目安として、「少しキツイ」「少し息がはずむ」程度の強さが適当です。食後1時間から1時間半くらいの時間帯が運動をする理想的な時間といえます。この時間は食べたものが消化吸収され血糖値が高くなる時間帯でもあります。つまり、運動による低血糖症状を起こす心配があまりありません。とは言ってもこの時間帯に運動できる人は少ないかもしれません。

【まとまった時間が取れない人の運動の仕方】
1)通勤時間を利用して運動する
 サラリーマンの人はマイカー通勤を見直しましょう。2km以内なら歩いて通えます。3~5kmなら自転車がよいでしょう。また、公共の交通機関を利用すれば、駅やバス停までのウォーキングが可能になります。歩いて5分もかからないような場合は、一駅先まで歩いてみましょう。乗り換えのときの歩行や階段の昇降もよい運動になります。

2)買い物の時間を利用したウォーキング
 近所で買い物をするときは、外出したついでに少し遠回りをして、15分くらい歩いてからお店に行きましょう。

3)仕事で体を動かすことも、よい運動になることがあります
 身体を使って行う仕事は、場合によっては有効な運動療法になる事もあります。身体全体、特に脚を使って一定時間継続する仕事は運動療法として有効だと考えられます。

4)万歩計を利用し、1日1万歩を目標に
 一定の時間続けられなければ、こま切れ運動でも仕方がありません。運動の質はともかく運動量だけでも確保しましょう。万歩計をつけ、1日1万歩を目標に頑張ってください。

【薬物療法】
 薬物療法はあくまでも補助療法である。
 薬物療法には、大きく分けると経口糖尿病治療薬療法とインスリン療法の2つがあります。糖尿病の治療の中で薬物療法はあくまでも補助療法です。食事療法、運動療法で血糖のコントロールが不十分な場合に開始されます。

 ●経口糖尿病治療薬
 糖尿病は簡単にいえば、「インスリン足りない病」ですが、経口薬ではインスリンそのものを補充することは出来ません。経口薬の役割は、インスリンの分泌を促進する、糖の吸収を遅らせて食後の血糖値の上がり方をゆるめる、インスリンの効き目を良くする等、現状のインスリンを効率よく利用するために用います。

 ●インスリン療法
 インスリンは膵臓のβ細胞(インスリンを作る工場)から分泌され、血糖を下げてくれるホルモンです。食事療法、運動療法あるいは糖尿病治療薬の服用にもかかわらず血糖コントロール不十分な場合には、インスリン療法が必要になります。よく、「インスリン注射をするようになったら終わりだ」などと耳にしますが、そんなことは全くありません。糖尿病とは高血糖症候群であり、相対的にインスリンが不足した状態のことです。そのバランスをインスリン注射で補っているだけのことなのです。

 【薬局などでもらえるお薬手帳を活用しましょう】
 市販薬でも別の病院で処方された薬でも、飲み合わせをチェックしてもらえます。病院・薬局に行かれるときは常に持ち歩きましょう。
 

カテゴリー: 200407, 病気・治療 | 2004年7月 はコメントを受け付けていません

2004年5月院長より

この4月は二年に一度の診療報酬改訂が行われましたが、当診療所に関わる部分ではあまり大きな変化はありませんでした。しかし夕方6時以降に受付をされた小児の初診が時間外初診の扱いになることになったため若干とまどう原因になるかと思います。ご不明な点がございましたら、遠慮なく職員までお問い合わせください。
 また4月から名古屋市の住民基本健診の一部変更があり、胸部レントゲン写真の直接撮影も行えることになりました。結果判定は呼吸器内科専門医と二重チェックを行いますので、少し余分にお時間はいただきますが、より正確な結果をお伝えできるかと思いますので、是非ご利用ください。その際、痰に血が混じっていたことがある方や、たばこを長期間吸っていた方は痰の検査も一緒に行うこともできます。詳細については当院職員までお問い合わせください。
 このゴールデンウィーク明けにも可決承認される見通しの年金問題についてですが、多くの閣僚や党首でさえ未納期間が発見されるなど、制度に欠陥のあることが明らかになってさえ、強引に採決まで持って行こうとする現政権の方針に大いに疑問を感じています。事務経費がかかりすぎている点、未納者が多すぎる点、また制度が複雑すぎて理解されないまま未納者となってしまっている点や世代間や職種により受け取れる年金額が違いすぎる点等々は明らかに制度上の欠陥です。これらを見直すための制度改革ではなく、とりあえず取れるところからもっと取って年金制度を支えてもらいましょうとする制度改革ですから賛成すること自体に無理があると思うのですが、与党が強引に可決してしまうと予想されています。
しかし、このようなとんでもない政治を許してしまっているのも私たち一人一人の責任です。選挙を通じてしか政治を変えていくことはできませんから、今年の参議院選挙は私たちの声を政治に届ける大事な場となります。是非一人一人が政治にも関心を持ち、将来の日本を作っていくためにより適した
人を選ぶために、お願いすることがあるかと思いますが、その節はよろしくご協力のほどお願いいたします。

カテゴリー: 200405, 院長より | 2004年5月院長より はコメントを受け付けていません

2004年5月心理室より

ライフサイクル
 一人の人間が生まれ、成長し、死に至るまでの一貫した流れと、それぞれの年代で“発達課題”を達成しながら心の成熟を遂げていく課程をいいます。人は成長と老化という変化、立場や役割の変化、入学、卒業、就職、結婚などの出来事や環境など様々な変化の中で生きています。誰もがたどる乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期、中年期、老年期とはどのような時期なのでしょうか。また、それぞれの年代で学び、達成していく課題とはどのようなのものなのでしょうか。

 今回は乳幼児期、学童期についてお話ししたいと思います。

●「乳幼児期」
 この時期に自分は母親とは異なった存在であることを自覚し、自己主張を始めます。親しみのある人とそうではない人とを区別する人見知りがあったり、母親や母親の代わりになる人から引き離される時に不安を示したりします。また、運動、言葉、認知など様々な発達とともに身辺処理の技術を身に
つける時期でもあります。技術を身につける方法は周囲の行動をまねすることが主となり、それによって自律が促され、基本的生活習慣が確立していきます。そして、養育者との良い相互関係が達成されることで、子供は他者への安心感や信頼感など基本的信頼を獲得すると言われており、子供の要求に養育者が適切に一貫して反応することがよりよい相互関係を作ると考えられています。

●「児童期」
 あたかも自分が親であるかのような振る舞いや、親の持っている特徴を自分も持っているように考えたり、感じたりすることを通して、自己概念を高めようと努める時期であり、幼児期までに獲得した自律性をもとに積極的に外界を探索することで達成されると言われています。幼児に特徴的な自己中心的な考え方ではなくなっていき、今まで家族が中心的だった対人関係が、家族外の友達関係が中心になっていきます。そしてその友達関係が発達に重要な意味を持つと言われています。仲間が遊びの関係から精神的な共感をともにする関係へと変わり、集団の中でルールを受け入れ、役割を担い、環境の中での“自分”をとらえられるようになり、自分自身についての考えが確立していく時期なのです。また読み、書き、計算などの勤勉的な態度を身につけるようになり、一方ではそれらがうまくいかないと、自分を否定的にとらえてしまい劣等感を持ってしまうということも考えられます。

 次回は引き続き、思春期、青年期についてお話したいと思います。

カテゴリー: 200405, 心理室より | 2004年5月心理室より はコメントを受け付けていません

2004年5月

食べて綺麗な肌になろう
 窓の外を見ると初夏の日差しが降り注ぎ、紫外線が気になる季節になりました。紫外線というと気になるのがシミやそばかすです。そもそも、シミやそばかすはどうして生じるのでしょうか?

【シミ、そばかすの正体は?】
 シミ、そばかすの正体はともにメラニンの色素沈着です。シミは紫外線を浴びることが一番の原因ですが、妊娠中、生理中といった女性ホルモンのバランスの変化やストレスによってもできます。25歳をすぎるとできやすくなり、女性に多いのが特徴です。そばかすは、遺伝的要素も強く、シミと違い老年になるにつれ薄くなる傾向があります。
 紫外線を浴びると表皮中の基底膜にあるメラノサイトと呼ばれる所で作られたメラニンが表皮の細胞の中に送り込まれます。肌のターンオーバー(肌が周期的に新しく生まれ変わること)にしたがって肌の表面に近づいても、細胞の中のメラニン色素が黒く残ったままの状態で、肌の新陳代謝によってメラニンが排出されない状態になっています。外からは、この色素が黒くシミやそばかすに見えます。

【食べ物によって美白効果を得よう!】
●その:1
 肌が黒くなるのを予防する代表的な栄養素としてビダミンCが挙げられます。ビタミンCには抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を阻害してシミやそばかす、肌のくすみを予防する働きがあります。ビタミンCを多く含む食品としては、ブロッコリー、パセリ、レモン、グレープフルーツ、キウイ、ピーナッツなどがあります。
 ただ、ビタミンCの摂取方法によっては逆効果になることもあるので注意が必要です。ビタミンCを含む食品にはソラレンという紫外線に反応しやすい性質を持つ成分が含まれていることが多く、これが肌にいきわたった状態で紫外線を浴びるとメラノサイトが刺激され肌が黒くなることもあるそうです。そのため、ビタミンCが多い食品は朝摂取するよりも夜摂取した方がよいそうです。

●その:2
 肌成分の80%はコラーゲンでできており、肌にハリを与えています。体内でコラーゲンを合成するには、ビタミンCの他にタンパク質が必要です。良質のコラーゲンを作るのにビタミンCと相性の良いタンパク質は、ささみ、卵、牛乳などがあります。

●その:3
 トマトに美白成分の高い成分が含まれていることが、化粧品会社の研究で明らかになったそうです。トマトには、癌や動脈硬化を防ぐとされるリコピンなど様々な成分が含まれていますが、美容の効果もあることがわかったそうです。
 『皮膚は紫外線に当たると細胞内のメラニン色素が増え日焼けをする。研究チームがメラニン色素が異常に増えているマウスの細胞にトマトの絞り汁を振りかけたところ、液の濃度が高いほど細胞内のメラニン色素量が低下し、美白効果があることがわかった』(読売新聞)ということです。これからの季節は、トマトが多く出回りますので、皆さんの食卓にのぼることも多いのではないでしょうか。

●その:4
 同じ食べ物をとるにしても旬のものは温室栽培のものに比べて栄養分が多く健康にもいいことが知られています。さらに、旬のものは大量に出回りますのでお値段も安く、一石二鳥です。スーパーに行った際には、季節の野菜に目を向けてみて下さい。

●「その:5
 食べる時の咀嚼にも美白効果があることをご存じですか?食べ物を口に入れ噛むことにより、唾液が分泌されますが、その際にEGF(上皮成長因子)という物質が分泌されるそうです。噛む回数を増やし、梅干しなどの酸味の強い食べ物を食べると唾液腺が刺激され、EGFもより多く分泌して、結果的に新しい白い肌を手に入れやすくなるそうです。昔から言われていることですが、食べる時は、しっかりよく噛んで食べるように心がけると良いですね。

カテゴリー: 200405, その他 | 2004年5月 はコメントを受け付けていません