2004年5月院長より

この4月は二年に一度の診療報酬改訂が行われましたが、当診療所に関わる部分ではあまり大きな変化はありませんでした。しかし夕方6時以降に受付をされた小児の初診が時間外初診の扱いになることになったため若干とまどう原因になるかと思います。ご不明な点がございましたら、遠慮なく職員までお問い合わせください。
 また4月から名古屋市の住民基本健診の一部変更があり、胸部レントゲン写真の直接撮影も行えることになりました。結果判定は呼吸器内科専門医と二重チェックを行いますので、少し余分にお時間はいただきますが、より正確な結果をお伝えできるかと思いますので、是非ご利用ください。その際、痰に血が混じっていたことがある方や、たばこを長期間吸っていた方は痰の検査も一緒に行うこともできます。詳細については当院職員までお問い合わせください。
 このゴールデンウィーク明けにも可決承認される見通しの年金問題についてですが、多くの閣僚や党首でさえ未納期間が発見されるなど、制度に欠陥のあることが明らかになってさえ、強引に採決まで持って行こうとする現政権の方針に大いに疑問を感じています。事務経費がかかりすぎている点、未納者が多すぎる点、また制度が複雑すぎて理解されないまま未納者となってしまっている点や世代間や職種により受け取れる年金額が違いすぎる点等々は明らかに制度上の欠陥です。これらを見直すための制度改革ではなく、とりあえず取れるところからもっと取って年金制度を支えてもらいましょうとする制度改革ですから賛成すること自体に無理があると思うのですが、与党が強引に可決してしまうと予想されています。
しかし、このようなとんでもない政治を許してしまっているのも私たち一人一人の責任です。選挙を通じてしか政治を変えていくことはできませんから、今年の参議院選挙は私たちの声を政治に届ける大事な場となります。是非一人一人が政治にも関心を持ち、将来の日本を作っていくためにより適した
人を選ぶために、お願いすることがあるかと思いますが、その節はよろしくご協力のほどお願いいたします。

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2004年5月心理室より

ライフサイクル
 一人の人間が生まれ、成長し、死に至るまでの一貫した流れと、それぞれの年代で“発達課題”を達成しながら心の成熟を遂げていく課程をいいます。人は成長と老化という変化、立場や役割の変化、入学、卒業、就職、結婚などの出来事や環境など様々な変化の中で生きています。誰もがたどる乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期、中年期、老年期とはどのような時期なのでしょうか。また、それぞれの年代で学び、達成していく課題とはどのようなのものなのでしょうか。

 今回は乳幼児期、学童期についてお話ししたいと思います。

●「乳幼児期」
 この時期に自分は母親とは異なった存在であることを自覚し、自己主張を始めます。親しみのある人とそうではない人とを区別する人見知りがあったり、母親や母親の代わりになる人から引き離される時に不安を示したりします。また、運動、言葉、認知など様々な発達とともに身辺処理の技術を身に
つける時期でもあります。技術を身につける方法は周囲の行動をまねすることが主となり、それによって自律が促され、基本的生活習慣が確立していきます。そして、養育者との良い相互関係が達成されることで、子供は他者への安心感や信頼感など基本的信頼を獲得すると言われており、子供の要求に養育者が適切に一貫して反応することがよりよい相互関係を作ると考えられています。

●「児童期」
 あたかも自分が親であるかのような振る舞いや、親の持っている特徴を自分も持っているように考えたり、感じたりすることを通して、自己概念を高めようと努める時期であり、幼児期までに獲得した自律性をもとに積極的に外界を探索することで達成されると言われています。幼児に特徴的な自己中心的な考え方ではなくなっていき、今まで家族が中心的だった対人関係が、家族外の友達関係が中心になっていきます。そしてその友達関係が発達に重要な意味を持つと言われています。仲間が遊びの関係から精神的な共感をともにする関係へと変わり、集団の中でルールを受け入れ、役割を担い、環境の中での“自分”をとらえられるようになり、自分自身についての考えが確立していく時期なのです。また読み、書き、計算などの勤勉的な態度を身につけるようになり、一方ではそれらがうまくいかないと、自分を否定的にとらえてしまい劣等感を持ってしまうということも考えられます。

 次回は引き続き、思春期、青年期についてお話したいと思います。

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2004年5月

食べて綺麗な肌になろう
 窓の外を見ると初夏の日差しが降り注ぎ、紫外線が気になる季節になりました。紫外線というと気になるのがシミやそばかすです。そもそも、シミやそばかすはどうして生じるのでしょうか?

【シミ、そばかすの正体は?】
 シミ、そばかすの正体はともにメラニンの色素沈着です。シミは紫外線を浴びることが一番の原因ですが、妊娠中、生理中といった女性ホルモンのバランスの変化やストレスによってもできます。25歳をすぎるとできやすくなり、女性に多いのが特徴です。そばかすは、遺伝的要素も強く、シミと違い老年になるにつれ薄くなる傾向があります。
 紫外線を浴びると表皮中の基底膜にあるメラノサイトと呼ばれる所で作られたメラニンが表皮の細胞の中に送り込まれます。肌のターンオーバー(肌が周期的に新しく生まれ変わること)にしたがって肌の表面に近づいても、細胞の中のメラニン色素が黒く残ったままの状態で、肌の新陳代謝によってメラニンが排出されない状態になっています。外からは、この色素が黒くシミやそばかすに見えます。

【食べ物によって美白効果を得よう!】
●その:1
 肌が黒くなるのを予防する代表的な栄養素としてビダミンCが挙げられます。ビタミンCには抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を阻害してシミやそばかす、肌のくすみを予防する働きがあります。ビタミンCを多く含む食品としては、ブロッコリー、パセリ、レモン、グレープフルーツ、キウイ、ピーナッツなどがあります。
 ただ、ビタミンCの摂取方法によっては逆効果になることもあるので注意が必要です。ビタミンCを含む食品にはソラレンという紫外線に反応しやすい性質を持つ成分が含まれていることが多く、これが肌にいきわたった状態で紫外線を浴びるとメラノサイトが刺激され肌が黒くなることもあるそうです。そのため、ビタミンCが多い食品は朝摂取するよりも夜摂取した方がよいそうです。

●その:2
 肌成分の80%はコラーゲンでできており、肌にハリを与えています。体内でコラーゲンを合成するには、ビタミンCの他にタンパク質が必要です。良質のコラーゲンを作るのにビタミンCと相性の良いタンパク質は、ささみ、卵、牛乳などがあります。

●その:3
 トマトに美白成分の高い成分が含まれていることが、化粧品会社の研究で明らかになったそうです。トマトには、癌や動脈硬化を防ぐとされるリコピンなど様々な成分が含まれていますが、美容の効果もあることがわかったそうです。
 『皮膚は紫外線に当たると細胞内のメラニン色素が増え日焼けをする。研究チームがメラニン色素が異常に増えているマウスの細胞にトマトの絞り汁を振りかけたところ、液の濃度が高いほど細胞内のメラニン色素量が低下し、美白効果があることがわかった』(読売新聞)ということです。これからの季節は、トマトが多く出回りますので、皆さんの食卓にのぼることも多いのではないでしょうか。

●その:4
 同じ食べ物をとるにしても旬のものは温室栽培のものに比べて栄養分が多く健康にもいいことが知られています。さらに、旬のものは大量に出回りますのでお値段も安く、一石二鳥です。スーパーに行った際には、季節の野菜に目を向けてみて下さい。

●「その:5
 食べる時の咀嚼にも美白効果があることをご存じですか?食べ物を口に入れ噛むことにより、唾液が分泌されますが、その際にEGF(上皮成長因子)という物質が分泌されるそうです。噛む回数を増やし、梅干しなどの酸味の強い食べ物を食べると唾液腺が刺激され、EGFもより多く分泌して、結果的に新しい白い肌を手に入れやすくなるそうです。昔から言われていることですが、食べる時は、しっかりよく噛んで食べるように心がけると良いですね。

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2004年5月

【糖尿病と診断された時、どうすればいいのでしょう。】
 自覚症状がないので、何か不都合がでてから対応すればいいのでしょうか?その時の対応が将来の人生を大きく左右すると言ってもいいでしょう。恐ろしい合併症が出る前に、適切な対応をすることで、糖尿病を持たない人とほぼ同じような生活をすることができます。糖尿病を克服するために必要なことは、まず糖尿病に対する知識を持つことです。そして、それまでの生活習慣を改善することが大切です。糖尿病は慢性の病気で、薬を飲めば治るというわけではありません。生活習慣そのものを改善し、一生糖尿病と付き合う覚悟が必要です。治療として、1に食事療法。2に運動療法。そして、それでも改善が見られない場合には薬物療法を行います。

【糖尿病治療で最も重要な食事療法】
 糖尿病と診断されたら、まず食事の改善を考えなくてはなりません。糖尿病の原因の多くが生活習慣が引き金になっています。そのため、糖尿病の患者さんの半数は食事療法をきちんと行えば、血糖のコントロールができると言われています。
 過食は、大量のインスリンを必要とするので、それだけ膵臓に負担がかかります。そこで、インスリンをできるだけ使わないで済むようにすること、つまり膵臓をできるだけ休ませてあげることが食事療法の最大の目的になります。但し、極端な食事制限をする必要はありません。糖尿病だからと言って、食べては行けないものもなく、過食を避け、バランスの取れた食事にすることです。
 バランスのとれた食事とは、糖質・蛋白質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を欠かすことなく摂取する事です。
 糖質・蛋白質・脂質は、私たちが活動していく源となる栄養素です。また、それらを体の中に取り込んだり、体の働きを円滑に行うためには、ビタミン・ミネラルが欠かせません。それらの栄養素をまんべんなく摂取するように心がけましょう。それに加えて、食物繊維を摂る事は、食後の血糖値が急激に上昇する事を防いでくれる働きがあり、合併症の予防に繋がります。食事の度に摂取を心がけましょう。  
 また、合併症である動脈硬化を予防するために、動物性の脂肪を制限し、植物性脂肪や魚油を摂る事も必要です。最近は、糖尿病から来る腎臓障害が増えてきています。腎臓への負担を軽くするためにも、蛋白質ばかりに偏りすぎる食事はなくしたいものです。

【食事療法のポイント】
①一日3食
 まとめ食いは一度にたくさんのインスリンが必要になり、膵臓に負担がかかるので注意しましょう。
②野菜は毎食
 生野菜なら両手に一杯程度。火を通したものなら片手に一杯。
③主食は適量に
 ご飯だけが血糖を上げるわけではありません。主食を減らしすぎるとおかずを食べ過ぎたり、間食が
増えたりしますので注意が必要です。
④副食(魚・肉・卵など)
 ご飯よりおかずを食べ過ぎている人が多いようです。副食は一食一皿にして種類を毎食変えましょう。
⑤牛乳・果物は摂りすぎないように
 一見軽そうでもカロリーは決して低くありません。また、食事と一緒に摂るより、間食として摂った方が、血糖値は上がりにくくなります。
⑥油を使った料理は一日2食まで
  油は非常に高カロリー。油料理の数を抑えて、摂りすぎを防ぎます。 

【外食での注意】 
 自分がよく食べる外食メニューがどのくらいのエネルギーで、どの食品が不足し、何が多すぎるのかを勉強しておく必要があります。1日の指示量を考えて、何をどれだけ食べ、何を残したらよいか素早く頭の中で計算しながら食べるようにします。多種類多量の料理が出た時には、食べて良いものと残すべきものとを選別できれば、外食であっても摂取エネルギーのコントロールが可能です。糖尿病世代は働き盛りでもあり、昼夜二回の食事を外食という生活をしている人がたくさんみえますが、健康のことを考えると、外食は何とか一日一回までに抑えて欲しいものです。一日一回であれば、あとの2食で訂正して、バランスを取ることもできます。できれば、外食のうちの一食は、手作り弁当持参などで野菜をたっぷりと摂り、塩分の調整を心がけたいものです。外食の多い人ほど、本気で外食の食べ方を勉強しなければ、糖尿病のコントロールは望めません。

【アルコールとおやつのとりかた】
 アルコールを飲んで良いのは、血糖値が落ち着いていて、重い合併症のない時です。
 一日に日本酒一合、ビール中ビン一本、ウイスキーはダブルで一杯程度が許容範囲とされています。仕事上の付き合いで酒席に出なければならない場合は、アルコールのエネルギーも一日の総エネルギーの中にはいる事を考えてコントロールしましょう。お酒を許可されている場合でも、食品交換表を参考に、一日二単位(160kcal)以内におさめましょう。
 男性のアルコールに対して女性の場合は、おやつや間食に問題がある場合が多く見られます。しかし、おやつにも利点があって、糖尿病の食事療法に取り組み始めた当初は空腹感が辛いのですが、おやつを食べる事で紛らわせる事ができます。食事の間隔が空きすぎる場合は、むしろ血糖をコントロールするために、軽く食べた方が良い事もあります。
 但し、おやつも間食も一日のエネルギーの中に含まれるので、100kcalを超えないようにしましょう。おやつは甘い物という考えを捨て、甘みの少ない果物、ヨーグルト、牛乳、手作りゼリーなどを食べるようにすればエネルギー量も抑えられます。 

【『食品交換表』は食事療法の虎の巻】
 一日に必要なエネルギー量をバランスよく食べるにあたって、何をどれだけ食べたらいいかわからないというのは一般の人には当たり前の事です。
 そこで、誰でも簡単に活用できるようにと考案されたのが、「糖尿病食事療法のための食品交換表」です。
 はじめは少し面倒かもしれませんが、使い慣れると、とても楽になるので、一冊手元にあると便利でしょう。

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