2009年11月

季節性うつ病
 正式名称は季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder)といい、その名の通り、季節に関係するうつ病のことです。主に、10月から12月にかけて症状が現れ、春先の3月頃になると回復する「冬季うつ病」が有名となっていますが、希に、夏に発症する「夏季うつ病という病気もあります。ただ、うつ病という名称がついてはいますが、季節性のもので、精神的に問題を抱えている訳ではないでの、一般のうつ病とはかなり状況が異なります。

【冬季うつ病の症状】  
 10月頃から調子が悪くなる
 抑うつ気分(気分の落ち込み)、焦燥感(イライラ)、意欲減退(やる気 がしない)
 過眠(睡眠時間は長くなっているのに日中も眠気がある)
 体重増加(食事が炭水化物や甘いものに偏り、過食傾向になる)

冬季うつ病は、一度発症すると毎年繰り返す傾向があり、男女比では、女性が圧倒的に多く男性の4倍近くいると言われています。冬季うつ病精神疾患や多忙さや近親者の死などの社会的心理的な原因(ストレス)が見られないことも特徴で、うつ症状そのものは比較的軽く、自分はうつ病と気づかなかったり、春になると回復するので我慢している人も多いようです。また、冬季うつ病とまではいかなくても、冬になるといつもより睡眠時間が長くなったり、食欲が増すということもあります。これは、冬という厳しい季節に立ち向かうために、体がいつもより休息を必要としたり、エネルギーを蓄えようとする自然な活動と考えられます。

【冬季うつ病の原因】 
 冬場の日照時間不足
 曇りがちな天気

 冬季うつ病は、日照時間が不足する冬場に発症すること、緯度が高いほど冬季うつ病の発症率が高いことから、日照時間の短さに起因すると言われています。

【冬季うつ病の発症のメカニズム】  
日照時間が短くなると、通常よりも光の刺激が減り、それが原因で神経伝達物質のセロトニンが減って脳の活動が低下してしまう
目に入る光の量が少なくなると、体内時計をつかさどる脳の松果体からメラトニンの分泌されてる
タイミングが遅れたり、分泌量が増えたりして、体内時計が狂う

上記のような説がありますが、いずれの場合も、光の不足により、概日リズム(昼と夜のリズム)、深部体温リズム、メラトニンリズムが乱れ、全体として生体リズムが崩れて症状が発生しているものと考えられているようです。

【冬季うつ病の治療】
 冬季うつ病の治療は、医学的に光療法が第一選択とされています。投薬より効果が高い、あるいは投薬の効果が薄いことが明言されています。光療法により、2500ルクスから10000ルクスの光を浴びる事で、仮説によりますが、セロトニンの量が増えて脳が活性化したり、ホルモンの分泌や体温のリズムが調整されて症状が回復すると言われています。

 冬季うつ病の患者に光療法を実施した結果、約70%の人に何らかの効果が認められており、早い人の場合1週間居ないに効果が現れると報告されています。

【双極性障害と季節性感情障害】  
 最近では、冬場がうつ状態、夏場が躁状態をなり、年間を通じて、「躁」と「うつ」を繰り返す症状を呈する人もいるようです。

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2009年11月

ハローワークの障害者窓口
 ハローワークでは、障害者専門の職員・職業相談員がケースワーク方式により、その人の障害の状態や適性、希望職種等に応じ、きめ細かな職業相談、職業紹介、職場適応指導を実施しています。働きたいけどどうしたらいいか分からない人や、相談したいことがある人は、まずは障害者手帳を持ってハローワークに登録に行ってみましょう。

○障害者窓口で求職登録をする際に伝えることは、

①自分の今の状態(どれぐらい働ける状態なのか、働く上で気をつけなければいけないところがあるか等)
②今までの経験や適正からどんな職種を希望するか
③どういう働き方をしたいか(就業時間や休日等)

○他にも気になることはなるべく詳しく伝えましょう。

 医師の意見書を書いてくるよう言われて用紙を渡されると思うので、それを主治医に書いてもらい、ハローワークに提出すれば、求人に応募することができるようになります。

窓口で話が進んでくると、相談員がその人にあった支援方法を提案してくれます。一例を挙げると、
○障害者合同就職面接会
障害者向けの求人を出している会社が集まった合同面接会です。
○トライアル雇用
3ヶ月の期間限定雇用で、期間中にお互いが適正を判断し、雇用期間終了後にお互いの合意があれば正社員に移行出来る制度です。
○ジョブコーチ支援
ジョブコーチは、いきなり一人で働くのが不安な障害者の方の職場に同行して、職場適応と定着を支援する職員です。
○障害者向け公共職業訓練
  一般向けとは別に障害者向け職業訓練もあります。

 他にも色々な支援の方法があるので、ハローワークの窓口で聞いてみてください。ハローワークから応募先の会社に、本人が望まない情報を伝えることはありませんが、疑問なことはしっかり聞いておきましょう。ハローワークの窓口で聞きにくいことや、求職活動をどうやって進めていったらいいか等不安なことがあったら、当院のワーカーも相談に乗りますので、気軽に声をかけてみてください。求職をするということは、とてもエネルギーが必要な活動です。焦らず、自分に合ったやり方で求職活動を進めていきましょう。

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2009年9月

今年は暑い夏の始まりが遅く、あっという間に涼しい風が吹く日も出てきて、熱帯夜がかなり少ない記録的な年になったようです。不安定な気候は身体のバランスも崩しますので皆様ご自愛くださいますようお願いいたします。

記録的といえば、今、衆議院議員選挙速報を見ながら、この原稿を記載しておりますが、すごいことになりました。小選挙区制度の利点でもあり、欠点でもあるかと思いますが、吹く風でガラッとメンバーが替わってしまうことが如実に表れた選挙結果でした。民主党というだけで政治経験のほとんどない方まで代議士となり、大臣や党の代表を務めている実績のある方まで落選してしまいました。一方政権を手放した党の方の談話でも、マニュフェストをきちんと守ってくれるか、注目して見守りますというものから、政権政党であった責任をきちんと政権委譲できるよう努力することで果たしていきたいという責任感あふれるものまで様々でした。二大政党時代が来たのかどうかは後になって分かることだと思いますが、それぞれの党が、党益ではなく、日本という国のために議論し、正しく政局運営をしていただくことを希望いたします。小泉政権時代、衆議院での過半数を超える議席を力として、強引な手法で
議論もろくにせず、様々な重要法案を決めていったことで、随所でその弊害が起こり、その結果が今回の敗北に繋がったことを、民主党の方々は忘れず、数を頼みの強引な選挙運営を止めていただき、きちんと議論をした上で決めていっていただきたいと思う次第です。

じわじわと感染が広がっているインフルエンザですが、学校が始まる9月以降、爆発的に感染が始まる可能性がありますが、感染力は強いですが、あくまで弱毒性のウイルスであることを忘れず、冷静な対応をお願いいたします。新型、従来の季節型どちらのワクチンをいつ摂取するのか、ご質問をいただ
くことが増えてきていますが、8月30日現在決まっておりません。季節型に関しては従来通り10月中旬からになりそうですが、いずれにしても決まり次第、院内掲示等で情報を開示しますし、気軽に職員にご質問ください。

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2009年9月

認知症
認知症は、脳や身体の疾患により記憶力や判断力が低下する病気で、普通の「物忘れ」とは異なります。一度獲得された知的機能が低下して社会生活や職業生活に支障をきたします。日本における発病年齢は65歳以上が多く、年間の発症率は65歳以上で1~2%と考えられ、80~84歳では8%と年齢とともに急激に増えるといわれています。近年では85歳以上の4人に1人が認知症患者とされており、私達にとってとても身近な問題となってきています。

【普通のもの忘れ(日常生活に支障はない)】
・体験の一部分を忘れる
・記名力(新しいことを覚えること)の低下が主で、想起障害(すでに覚えたり学習したことが思い出せない)は目立たない
・もの忘れを自覚している
・探し物も努力して見つけようとする
・見当識障害(時間や場所がわからなくなる等)はみられない
・作話(何とか辻褄を合わせようと事実とは違う話を作るなど)はみられない
・極めて徐々にしか進行しない

【認知症のもの忘れ(日常生活に支障をきたす)】
・全体を忘れる
・記名力障害とともに想起障害もみられる
・もの忘れの自覚に乏しい
・探し物も誰かが盗ったなどと言うことがある
・見当識障害がみられる
・しばしば作話がみられる
・幻覚(あるはずのないものが見えたり、聞こえたりする)、妄想(誰かにお金を盗まれた等という)、徘徊(目的もなく歩き回る)など
・進行が早い

認知症を引き起こす疾患はいくつか種類があり、主なものは以下のとおりです。
○アルツハイマー型認知症
徐々に悪化していくことが特徴的で、病率は女性が男性の2~3倍といわれ、認知症の60%を占めるともいわれています。記憶障害や時間についての認識や計画を立てたり、段取りをつけたりする機能も障害され、怒りっぽくなったり、今まで興味のあったことを一切やらなくなるなどの人格変化もみられることがあります。
○脳血管性認知症
運動や感覚障害を合併していることが多いです。認知症全体の15%程度の割合を占めるといわれています。症状は血管障害を起こした脳の部位によって異なり、人格変化は少ないとされています。
○その他
アルコールによるもの、物質中毒によるもの、ピック病など様々な認知症がみられます。認知症に罹った本人にとっても記憶力・判断力が低下していく中で「何かおかしい」「何をしたらよいかわからない」といった漠然とした不安があるここと思います。さらに身近な家族や介護者にとっては体力的にも精神的にも相当な負担がかかります。そのため、「虐待」や「介護疲れ」が社会的問題にもなってきています。まずは、一人で考え込まずにいつでもお気軽にご相談ください。

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