2009年11月

ハローワークの障害者窓口
 ハローワークでは、障害者専門の職員・職業相談員がケースワーク方式により、その人の障害の状態や適性、希望職種等に応じ、きめ細かな職業相談、職業紹介、職場適応指導を実施しています。働きたいけどどうしたらいいか分からない人や、相談したいことがある人は、まずは障害者手帳を持ってハローワークに登録に行ってみましょう。

○障害者窓口で求職登録をする際に伝えることは、

①自分の今の状態(どれぐらい働ける状態なのか、働く上で気をつけなければいけないところがあるか等)
②今までの経験や適正からどんな職種を希望するか
③どういう働き方をしたいか(就業時間や休日等)

○他にも気になることはなるべく詳しく伝えましょう。

 医師の意見書を書いてくるよう言われて用紙を渡されると思うので、それを主治医に書いてもらい、ハローワークに提出すれば、求人に応募することができるようになります。

窓口で話が進んでくると、相談員がその人にあった支援方法を提案してくれます。一例を挙げると、
○障害者合同就職面接会
障害者向けの求人を出している会社が集まった合同面接会です。
○トライアル雇用
3ヶ月の期間限定雇用で、期間中にお互いが適正を判断し、雇用期間終了後にお互いの合意があれば正社員に移行出来る制度です。
○ジョブコーチ支援
ジョブコーチは、いきなり一人で働くのが不安な障害者の方の職場に同行して、職場適応と定着を支援する職員です。
○障害者向け公共職業訓練
  一般向けとは別に障害者向け職業訓練もあります。

 他にも色々な支援の方法があるので、ハローワークの窓口で聞いてみてください。ハローワークから応募先の会社に、本人が望まない情報を伝えることはありませんが、疑問なことはしっかり聞いておきましょう。ハローワークの窓口で聞きにくいことや、求職活動をどうやって進めていったらいいか等不安なことがあったら、当院のワーカーも相談に乗りますので、気軽に声をかけてみてください。求職をするということは、とてもエネルギーが必要な活動です。焦らず、自分に合ったやり方で求職活動を進めていきましょう。

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2009年9月

今年は暑い夏の始まりが遅く、あっという間に涼しい風が吹く日も出てきて、熱帯夜がかなり少ない記録的な年になったようです。不安定な気候は身体のバランスも崩しますので皆様ご自愛くださいますようお願いいたします。

記録的といえば、今、衆議院議員選挙速報を見ながら、この原稿を記載しておりますが、すごいことになりました。小選挙区制度の利点でもあり、欠点でもあるかと思いますが、吹く風でガラッとメンバーが替わってしまうことが如実に表れた選挙結果でした。民主党というだけで政治経験のほとんどない方まで代議士となり、大臣や党の代表を務めている実績のある方まで落選してしまいました。一方政権を手放した党の方の談話でも、マニュフェストをきちんと守ってくれるか、注目して見守りますというものから、政権政党であった責任をきちんと政権委譲できるよう努力することで果たしていきたいという責任感あふれるものまで様々でした。二大政党時代が来たのかどうかは後になって分かることだと思いますが、それぞれの党が、党益ではなく、日本という国のために議論し、正しく政局運営をしていただくことを希望いたします。小泉政権時代、衆議院での過半数を超える議席を力として、強引な手法で
議論もろくにせず、様々な重要法案を決めていったことで、随所でその弊害が起こり、その結果が今回の敗北に繋がったことを、民主党の方々は忘れず、数を頼みの強引な選挙運営を止めていただき、きちんと議論をした上で決めていっていただきたいと思う次第です。

じわじわと感染が広がっているインフルエンザですが、学校が始まる9月以降、爆発的に感染が始まる可能性がありますが、感染力は強いですが、あくまで弱毒性のウイルスであることを忘れず、冷静な対応をお願いいたします。新型、従来の季節型どちらのワクチンをいつ摂取するのか、ご質問をいただ
くことが増えてきていますが、8月30日現在決まっておりません。季節型に関しては従来通り10月中旬からになりそうですが、いずれにしても決まり次第、院内掲示等で情報を開示しますし、気軽に職員にご質問ください。

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2009年9月

認知症
認知症は、脳や身体の疾患により記憶力や判断力が低下する病気で、普通の「物忘れ」とは異なります。一度獲得された知的機能が低下して社会生活や職業生活に支障をきたします。日本における発病年齢は65歳以上が多く、年間の発症率は65歳以上で1~2%と考えられ、80~84歳では8%と年齢とともに急激に増えるといわれています。近年では85歳以上の4人に1人が認知症患者とされており、私達にとってとても身近な問題となってきています。

【普通のもの忘れ(日常生活に支障はない)】
・体験の一部分を忘れる
・記名力(新しいことを覚えること)の低下が主で、想起障害(すでに覚えたり学習したことが思い出せない)は目立たない
・もの忘れを自覚している
・探し物も努力して見つけようとする
・見当識障害(時間や場所がわからなくなる等)はみられない
・作話(何とか辻褄を合わせようと事実とは違う話を作るなど)はみられない
・極めて徐々にしか進行しない

【認知症のもの忘れ(日常生活に支障をきたす)】
・全体を忘れる
・記名力障害とともに想起障害もみられる
・もの忘れの自覚に乏しい
・探し物も誰かが盗ったなどと言うことがある
・見当識障害がみられる
・しばしば作話がみられる
・幻覚(あるはずのないものが見えたり、聞こえたりする)、妄想(誰かにお金を盗まれた等という)、徘徊(目的もなく歩き回る)など
・進行が早い

認知症を引き起こす疾患はいくつか種類があり、主なものは以下のとおりです。
○アルツハイマー型認知症
徐々に悪化していくことが特徴的で、病率は女性が男性の2~3倍といわれ、認知症の60%を占めるともいわれています。記憶障害や時間についての認識や計画を立てたり、段取りをつけたりする機能も障害され、怒りっぽくなったり、今まで興味のあったことを一切やらなくなるなどの人格変化もみられることがあります。
○脳血管性認知症
運動や感覚障害を合併していることが多いです。認知症全体の15%程度の割合を占めるといわれています。症状は血管障害を起こした脳の部位によって異なり、人格変化は少ないとされています。
○その他
アルコールによるもの、物質中毒によるもの、ピック病など様々な認知症がみられます。認知症に罹った本人にとっても記憶力・判断力が低下していく中で「何かおかしい」「何をしたらよいかわからない」といった漠然とした不安があるここと思います。さらに身近な家族や介護者にとっては体力的にも精神的にも相当な負担がかかります。そのため、「虐待」や「介護疲れ」が社会的問題にもなってきています。まずは、一人で考え込まずにいつでもお気軽にご相談ください。

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2009年9月

新しい日本脳炎
 平成21年6月2日より、新しい日本脳炎ワクチンが実施可能となったのをご存じですか? 新しいワクチンは従来のマウスの脳を使って作られるワクチンとは異なり、Vero細胞という細胞を使って作られているものです。気になる副反応については、今後使用実績が積み重ねられていく中で明らかになっていくものの為、現段階では新しいワクチンが従来のワクチンに比べ安全かどうかは判断がつかない状況です。
 そして、実施可能といっても本年度においては充分な供給量が確保されないことが予想されている為、新ワクチンの接種対象者については当分の間、第1期に限られており、第2期は対象となりません。第1期では、初回免疫2回・追加免疫1回の接種が必要とされていますが、供給量に限りがある
事と新ワクチンであることから、第1期の中でも、追加免疫の方より一度も接種を受けていない初回免疫の方が優先されます。 

【予防接種法に基づく、現行の定期予防接種スケジュール】  
○1期(3回 初回接種(2回):生後6ヶ月以上90ヶ月未満(標準として3歳
  追加接種(1回):初回接種後概ね1年後(標準として4歳)
○2期(1回)9歳以上13歳未満の者(標準として9歳)
 ※なお、日本脳炎は定期の予防接種の対象疾患となっていますが、その発生状況等を検討して、予防接種を行う必要がないと認められる地域を都道府県知事が指定することができます。その為、北海道のほとんどの地域では、日本脳炎の予防接種は実施されていません。

 次に、日本脳炎とはどういう病気なのか、それを簡単に説明したいと思います。
 日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスの感染によっておこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患です。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタ等の動物の体内でウイルスが増殖された後、そのブタを刺したコガタアカイエカ(水田等に発生する蚊の一種)などがヒトを刺すことによって感染します。東アジア・南アジアにかけて広く分布する病気です。

 症状としては、6~16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐等で発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識がなくなる等の意識障害、痙攣等の中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。大多数の方は、無症状に終わるのですが、脳炎を発症した場合20~40%が死亡に至る病気と言われており、幼少児や高齢者では死亡の危険性は高くなっています。

 では、何故新しいワクチンの接種は積極的に推奨されていないのでしょうか。その理由としては、専門家が検討した結果、今般承認されたワクチンについては、上記にて触れたように今夏までの供給予定量が定期接種対象者全員の必要量にみたないことが予想されており、なおかつ安全性の確認等
における観点から、現時点においては積極的に推奨する段階に至っていないからだとされています。

 しかし、定期の予防接種の対象者で、日本脳炎のワクチンの接種を一度も受けていない現在3~7歳の子どものうち、日本国内においてブタにおける抗体保有率の高い地域(九州・沖縄地方及び、中国・四国地方)や近年日本脳炎患者発生が多く認められている地域では、積極的に接種をした方が良いと考えられています。

 国立感染症研究所感染情報センターや愛知県小児科医会のホームページにも、日本脳炎の予防接種に説明や関する詳しい情報、Q&Aが掲載されています。もちろん、わからないことなどがあれば主治医の先生に相談するのも良いと思います。予防接種は子どもたちを感染症から守るために行われるものです。正しい知識でこどもたちの健康を守りましょう。

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