認知症
認知症は、脳や身体の疾患により記憶力や判断力が低下する病気で、普通の「物忘れ」とは異なります。一度獲得された知的機能が低下して社会生活や職業生活に支障をきたします。日本における発病年齢は65歳以上が多く、年間の発症率は65歳以上で1~2%と考えられ、80~84歳では8%と年齢とともに急激に増えるといわれています。近年では85歳以上の4人に1人が認知症患者とされており、私達にとってとても身近な問題となってきています。
【普通のもの忘れ(日常生活に支障はない)】
・体験の一部分を忘れる
・記名力(新しいことを覚えること)の低下が主で、想起障害(すでに覚えたり学習したことが思い出せない)は目立たない
・もの忘れを自覚している
・探し物も努力して見つけようとする
・見当識障害(時間や場所がわからなくなる等)はみられない
・作話(何とか辻褄を合わせようと事実とは違う話を作るなど)はみられない
・極めて徐々にしか進行しない
【認知症のもの忘れ(日常生活に支障をきたす)】
・全体を忘れる
・記名力障害とともに想起障害もみられる
・もの忘れの自覚に乏しい
・探し物も誰かが盗ったなどと言うことがある
・見当識障害がみられる
・しばしば作話がみられる
・幻覚(あるはずのないものが見えたり、聞こえたりする)、妄想(誰かにお金を盗まれた等という)、徘徊(目的もなく歩き回る)など
・進行が早い
認知症を引き起こす疾患はいくつか種類があり、主なものは以下のとおりです。
○アルツハイマー型認知症
徐々に悪化していくことが特徴的で、病率は女性が男性の2~3倍といわれ、認知症の60%を占めるともいわれています。記憶障害や時間についての認識や計画を立てたり、段取りをつけたりする機能も障害され、怒りっぽくなったり、今まで興味のあったことを一切やらなくなるなどの人格変化もみられることがあります。
○脳血管性認知症
運動や感覚障害を合併していることが多いです。認知症全体の15%程度の割合を占めるといわれています。症状は血管障害を起こした脳の部位によって異なり、人格変化は少ないとされています。
○その他
アルコールによるもの、物質中毒によるもの、ピック病など様々な認知症がみられます。認知症に罹った本人にとっても記憶力・判断力が低下していく中で「何かおかしい」「何をしたらよいかわからない」といった漠然とした不安があるここと思います。さらに身近な家族や介護者にとっては体力的にも精神的にも相当な負担がかかります。そのため、「虐待」や「介護疲れ」が社会的問題にもなってきています。まずは、一人で考え込まずにいつでもお気軽にご相談ください。