2010年7月

前立腺がん検診がはじまりました!
本年度から、名古屋市在住の50歳以上の男性(本年度中に50歳になる方も含む)を対象に前立腺がんの検診がはじまりました。本年度の実施期間は6月1日~来年3月末までとなります。検診料は50歳~69歳までの方が500円、70歳以上(本年度中に70歳になる方も含む)の方は無料で受けることができます。なお、生活保護世帯の方や医療助成を受けている方等も無料の対象になりますので、名古屋市のホームページや医療機関の窓口で一度確認をしてみてください。前立腺がん検診では、簡単な問診と採血による前立腺特異抗原(PSA)検査を行います。では、PSAとはどんな物質なのか、前立腺がんとはどんな病気なのかここで簡単に説明をしたいと思います。

前立腺がんとは
前立腺(外腺)に発生するがんの一種で、最近急増傾向にある病気です。前立腺がんの発生には男性ホルモンが関与しており、加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているものと考えられています。中高年の男性において、前立腺肥大症とともに注意すべき前立腺の病気のひとつです。
ほかの臓器のがんとは異なり、ゆっくりと進行するため、早期に発見できれば、ほかのがんに比べて治りやすいがんであるといえますが、前立腺がんには特有の症状というものはほとんどなく、特に初期のがんでは自覚症状がほとんど無い為、あったとしても他の病気と区別するのが難しいといわれています。また、進行すると最終的には骨やほかの臓器にまで転移することがあるため、早期に発見し、適切な治療を行うことが大切になります。

PSAとは
前立腺から分泌される物質で、前立腺がんになると血液中に増加する物質です。そのため、PSA値が高いほど前立腺がんが疑われます。しかし、PSA値が高ければ、必ずがんであるというわけではありませんし、逆にPSA値が正常の場合でも前立腺がんが発生していないということにもなりません。あくまでも、前立腺がんを発見するきっかけとなる一つの指標です。

特別な症状がなければ、泌尿器科受診はなかなかしないものです。今まで大きな病気をしたことがない方であればなおのことです。検査の為に病院受診をするのは面倒という方も、年に一度の健康診断と一緒に検診を受けてみてはいかがですか。

**補足
前立腺がんと並んで注意しなくてはいけない前立腺肥大症。
簡単なチェックシートを掲載しておきますので、ここ一ヶ月の排尿状態を思い出してみて、まずはセルフチェックから始めてみませんか?

<国際前立腺症状スコアの判定>
尿路の症状には複数の要素が関係しているため、この点数だけで完全な判定はできませんが、一般的には0~8が軽症、9~20が中等症、20以上が重症の前立腺肥大症と考えられています。

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2010年5月

4月に2年に一度の診療報酬制度の改定が行われました。加速度的に進行している医療崩壊に歯止めをかけるために、いわゆる先進国の平均程度まで医療費を増額させると公約していた民主党政権の元で行われた最初の制度改定となったわけですが、その結果は3月号でも書きましたように、公約違反とも言える惨憺たるものでした。4月から始まるのに大筋が決まるのが2月末、細かな点数設定が決まるのが3月はじめ、さらに運用詳細は4月になってからも変更されるというお粗末なものでしたが、4月末になって分かってきた大きな問題点があります。それは入院中の患者さんの診療に関わる制度の変更です。変更になった点は原則、入院中の患者さんの薬は入院中の医療機関で出さなくてはいけなくなりました。中小病院に入院中でも、かかりつけの眼科、耳鼻咽喉科、精神科等専門医療機関で投薬を受けていて、外出、外泊をした際にその医療機関を受診することや家族に代わって薬をもらってきてもらう、などということはよくあることですが、これらが原則不可となったということです。大きな病院ならいざしらず、中小病院で全科に渡る薬剤を持つことは困難で、経営を圧迫することになりますし、患者さんの側から見ても専門的治療の継続を阻害されることになり、不利益の大きな制度改悪です。今私たちに出来ることはこの制度改悪を変更するよう政府に求めることと、自衛のために、入院中に他医療機関を受診する際には必ず入院中の医療機関の主治医にそれを伝え、情報提供書を発行してもらうことを忘れないことです。

 目を名古屋市に向けてみると、圧倒的な人気で市長となった方が、自分の主張を簡単に通さない議会を解散に追い込む行動や、新党を作り、自分に賛成する意見を持つもので議会を固め、思うとおりに名古屋市を操ろうとしています。その行動は歴史の時間に習った第二次世界大戦前のドイツの独裁者であり、殺戮者として有名なヒトラーとそっくりだといわれています。彼も耳あたりの良い言葉で人気を得て、民主主義の名の下に議会政治を我がものとすべくナチス党を作り、政権を奪い、独裁者となっていったようです。どうです、毎日、新聞紙面に出る市長の発言、行動とうり二つではないでしょうか。

 医療制度改悪の変更を求めるにも、ヒトラーのような独裁者を作らないためにも、我々の出来る大事な行動は選挙に行き、票を正しく投じることです。良識ある行動をお願いいたします。
 

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2010年5月

リラクセーション法
  春がきました・・・しかし、最近の寒暖の差はあまりに激しく、身体がついていくのも大変です。
気候が不安定になると、体調を崩される方が多いのではないでしょうか。寒くなるとどうしても身体が縮こまってしまい、肩こりや頭痛の原因となってしまうこともしばしばあります。そこで、今回は、頭痛を緩和する方法のひとつとして呼吸の仕方に注目したリラクセーション法をご紹介します。

【緊張性頭痛を緩和するためのリラクセーション法】
① まずは、楽な姿勢をとります。ゆったりと椅子に腰掛けて下さい。
② 右手(利き手で結構です)の人差し指と中指の2本の指を額に軽くあてます。
③ 2のまま、次に右手親指で軽く右鼻をおさえて下さい。
④ ゆっくりと音をたてないように左鼻から息を吸って下さい。
⑤ 右手親指をはずし、今度は薬指、小指の2本の指で左鼻をおさえて下さい。力を入れすぎないよう注意して下さい。
⑥ ゆっくりと音をたてないように右鼻から息をはいて下さい。また、そのままの状態で、右鼻から息を吸って下さい。
⑦ 次に右鼻を親指でおさえて、薬指と小指を左鼻からはずして息をはいて下さい。また、そのままの状態で、左鼻から息を吸って下さい。

この呼吸法を最初は5回程度繰り返し、徐々に回数を増やして1度に20回くらい行います。

これはあくまでもリラクセーション法なので、酷い頭痛や慢性的な頭痛の方は診察の際にご相談下さい。

【参考】
 五十嵐透子:リラクセーション法の理論と実際~ヘルスケア・ワーカーのための行動療法入門~
 医歯薬出版株式会社

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2010年5月

精神保健福祉手帳
 今回は、精神保健福祉手帳についてお話したいと思います。
 精神保健福祉手帳(以下、手帳)とは、一定の障害の状態であることを証明するもので、手帳を取得することでいろいろな福祉サービスを受けることができるようになります。この福祉サービスの提供を通して、精神障害者の社会復帰や社会参加を目的としています。手帳には、障害の程度によって重度の状態から順に1級、2級、3級と分けられています。等級によって受けられるサービスが変わってくるので、どの等級でどのようなサービスを受けることが出来るのか確認することが必要です。
 以下に、受けられる優遇措置についていくつかあげてみました。

○税制の優遇措置
所得税・市県民税、相続税、自動車・軽自動車税・自動車取得税などで控除が受けることができます。控除額は等級によって異なります。他に、市営駐車場使用料の減額や市民公共施設の無料入場など公共料金の減免もあります。

○医療の優遇措置
自立支援医療の給付、障害等級1、2級に該当する方は障害者医療費の助成も受けることができます。 

○生活保護の障害者加算
障害等級が1、2級に該当する障害者手帳の交付を受けられた生活保護受給者で、初診から1年6ヶ月を経過している方のうち、生活保護の障害者加算が受けられる場合があります。

○その他優遇措置
携帯電話基本使用料の割引、ゴミの排出支援(なごやか収集)、福祉特別乗車券の交付、福祉バスの運行など。

 他にも名古屋市では、手帳によって、障害者スポーツセンター、市営プール、東山公園や名古屋城の入場割引など、他にも様々な施設での減免措置や駐車場、有料自転車駐車場での減免もあります。
 
 ここに載せた福祉サービスはごく一部ですが、手帳で受けられるサービスについて少し理解いただけたでしょうか。今回紹介した中には、所得制限や自己負担のあるものもあります。知的障害や身体障害の手帳に比べればまだまだ優遇される措置は少ない手帳ですが、興味のある方はお気軽に職員にお尋ね下さい。

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