2010年5月

4月に2年に一度の診療報酬制度の改定が行われました。加速度的に進行している医療崩壊に歯止めをかけるために、いわゆる先進国の平均程度まで医療費を増額させると公約していた民主党政権の元で行われた最初の制度改定となったわけですが、その結果は3月号でも書きましたように、公約違反とも言える惨憺たるものでした。4月から始まるのに大筋が決まるのが2月末、細かな点数設定が決まるのが3月はじめ、さらに運用詳細は4月になってからも変更されるというお粗末なものでしたが、4月末になって分かってきた大きな問題点があります。それは入院中の患者さんの診療に関わる制度の変更です。変更になった点は原則、入院中の患者さんの薬は入院中の医療機関で出さなくてはいけなくなりました。中小病院に入院中でも、かかりつけの眼科、耳鼻咽喉科、精神科等専門医療機関で投薬を受けていて、外出、外泊をした際にその医療機関を受診することや家族に代わって薬をもらってきてもらう、などということはよくあることですが、これらが原則不可となったということです。大きな病院ならいざしらず、中小病院で全科に渡る薬剤を持つことは困難で、経営を圧迫することになりますし、患者さんの側から見ても専門的治療の継続を阻害されることになり、不利益の大きな制度改悪です。今私たちに出来ることはこの制度改悪を変更するよう政府に求めることと、自衛のために、入院中に他医療機関を受診する際には必ず入院中の医療機関の主治医にそれを伝え、情報提供書を発行してもらうことを忘れないことです。

 目を名古屋市に向けてみると、圧倒的な人気で市長となった方が、自分の主張を簡単に通さない議会を解散に追い込む行動や、新党を作り、自分に賛成する意見を持つもので議会を固め、思うとおりに名古屋市を操ろうとしています。その行動は歴史の時間に習った第二次世界大戦前のドイツの独裁者であり、殺戮者として有名なヒトラーとそっくりだといわれています。彼も耳あたりの良い言葉で人気を得て、民主主義の名の下に議会政治を我がものとすべくナチス党を作り、政権を奪い、独裁者となっていったようです。どうです、毎日、新聞紙面に出る市長の発言、行動とうり二つではないでしょうか。

 医療制度改悪の変更を求めるにも、ヒトラーのような独裁者を作らないためにも、我々の出来る大事な行動は選挙に行き、票を正しく投じることです。良識ある行動をお願いいたします。
 

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