血液検査

年末の忘年会やお正月、新年会等楽しいイベントが続く季節ではありますが、食べ過ぎや飲みすぎになってはいないでしょうか?食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎで体調を崩される方もみえるかと思います。そんな時期だからこそ生活習慣を見直し、血液検査等で自身の体と向き合ってみるのもいい機会です。血液検査では、肝機能、脂質、血糖等調べることが出来ます。血液検査を行ってもどの項目がどの臓器に影響を与える数値かわかりにくいという方もみえるかもしれません。今回は、血液検査の項目、基準値、気をつけていただきたいことについてです。

〈肝機能〉     基準値
AST(GOT)     13-33
ALT(GPT)     男6-30 女6-27
γ‐GT(γ‐GTP)   10-47

肝臓の病気の原因となるのは、糖尿病、肥満、アルコール等です。肝臓の機能低下を放置すると肝硬変や肝癌に至る危険もあります。肝臓は病気になっても自覚症状がほとんど出ないため「沈黙の臓器」とも言われています。アルコールを飲まれる方は休肝日を作る、飲酒の際にタンパク質とビタミン(A・C・E)をとる等しましょう。また、お酒を飲まない方も糖質は穀物からとるようにしたり、運動、ストレス解消等するよう心がけてください。

〈血糖〉         基準値
空腹時血糖        70-109
ヘモグロビンA1c(HbA1c) 4.6-6.2

血糖値を上げる原因となるのは、長年の食べ過ぎ、飲みすぎ・肥満・運動不足・ストレス等です。
☆糖尿病として診断される基準
初回検査時にA空腹時血糖126mg/dl以上、Bブドウ糖負荷後2時間値が200mg/dl以上、C随時血糖値が200mg/dl以上、DヘモグロビンA1cが6.5%以上
A~Cのいずれかであれば糖尿病型、A~CのいずれかとDであれば、糖尿病となります。
また、血糖値(A~C)のみ糖尿病型であり、糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)や確実な糖尿病網膜症の存在が確認されていれば、初回検査のみでも糖尿病となります。
血糖値のみ(A~C)やヘモグロビンA1c(D)のみが糖尿病型の方は、再検査となります。
再検査で別の日で再び糖尿病型を示すと、糖尿病と診断されます。

規則正しい生活を心がけ、運動をし、間食は控えましょう。なるべく階段を使うように心がけたり、野菜や食物繊維を多くとるようにするとよいです。カロリーを意識することも大切です。ラーメンをざるそばに 変えたり、カツ丼を親子丼にするなど置き換えをし、カロリーをコントロールしてみてください。

〈脂質〉             基準値
中性脂肪(トリグリセライド、TG) 30-149
HDLコレステロール(善玉)     40-96
LDLコレステロール(悪玉)     70-139

脂質異常症の原因となるのは、脂質、糖質、コレステロールの摂り過ぎや、運動不足等です。血中脂質が増加すると脂質異常症となり、そのままの生活を続けていると動脈硬化となる危険性もあります。1日のコレステロール摂取量を300mg以下にする、中性脂肪を燃やす為に週に3回以上、少し息の切れるスピードで1回20分以上を目標に歩くよう運動を行いましょう。

様々な生活習慣病は、悪い生活習慣を正すことからはじめましょう。
気になることがありましたら、ご相談ください。
参照 名古屋市医師会 健康指導シリーズ

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院長より

 10月になっても複数個の台風が発生し、各地に甚大な被害を及ぼすなど、大変な月となりました。被害に遭われた方には、心からお見舞い申し上げ、一刻も早く復興できるようご祈念いたします。
このような時、気圧や天候の変化が著しくなりますが、このような変化により、自律神経のバランスが乱れやすくなり、心身に様々な症状をおこします。心身の不調をお感じになったら、受診のうえご相談下さい。
 さて政府が年内成立を目指す特定秘密保護法案には、市民を監視する権力を既に持っているにもかかわらず政府の秘密性がさらに強まり、歯止めが利かなくなる恐れがあります。識者は「メンツにこだわり政府文書と認めず、責任を取らない。特定秘密保護法でそんな姿勢が強まり、情報が流出したら、関係者の名誉や被害の回復が、進まなくなる恐れがある」と危惧しています。今まででも、歴史上の大きな謎がアメリカの公文書の公開によって、ようやく真実が明らかになったという事例が多数ありました。この法案が成立することで、我が国の政府の暴走を自国の資料では全く解明できないという事態に陥りかねません。そもそも国民の過半数が反対する法案を何故強引に成立させようとするのか理解できません。
 さらに現在、精神科疾患をお持ちの方々には苦痛となる新たな法案が審議されています。自動車免許に関わる法律で、成立した場合精神科疾患をお持ちの方の免許取得、継続がはなはだ困難になりうる法案です。社会復帰や自立した生活維持や通院を著しく阻害する要因となりえます。何とか成立を阻止するよう働きかけを行って参りますので、ご協力をお願いいたします。

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インフルエンザ予防接種

平成25年度のインフルエンザ予防接種が始まりました。
予防接種を受けてから免疫ができるまでは1ヶ月ほどかかりますので、インフルエンザが流行する前の12月中旬までに接種を受けておくとより効果的です。
☆予防接種1回 3000円
※12歳までは抗体ができにくいこともあり、2回の接種が必要です。(2回目は2000円)

特に高齢の方がインフルエンザにかかった場合は、肺炎の併発による重症化や死亡する可能性が高まる為、65歳以上の方を対象に、名古屋市からの助成があります。
☆実施期間
平成25年10月15日から平成26年1月31日まで
☆予防接種1回 1000円(65歳以上の方) 
※接種を希望する際は、健康保険証等、年齢、住所が確認できるものをご持参ください。

高齢者肺炎球菌ワクチン
上記にもありますが、高齢者がインフルエンザにかかると肺炎の併発が心配されます。また、今までは3大疾患というと癌、心疾患、脳血管疾患でしたが、昨年の統計では肺炎が第3位となり、65歳以上では年間約10万人が肺炎により亡くなっています。そのなかでも、肺炎の原因として最も多いのが、肺炎球菌です。肺炎球菌ワクチンはその感染を予防する効果があります。特に、糖尿病や腎臓病、その他の持病などにより免疫が低下している人は肺炎にかかりやすく、重症化しやすいので、接種をおすすめします。
予防接種の効果は5年程と言われていますので、効果がなくなる前に再び予防接種をうける必要があります。
名古屋市では市内にお住まいの65歳以上の高齢者の方々に助成があり、自己負担金4000円で接種が可能です。
☆助成対象者
次の(1)から(3)を満たす方
(1)名古屋市に住民登録または外国人登録のある方
(2)65歳以上の方
(3)過去5年以内に肺炎球菌の予防接種を受けていない方
☆予防接種1回4,000円
肺炎球菌ワクチンはインフルエンザ予防接種と同時接種が可能です。接種を希望される方は、お気軽に職員にお尋ねください。
尚、5年以内に肺炎球菌ワクチンを接種された方は対象外です。

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認知症とは

1.認知症とは?
 脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
 認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態を指します。また、認知症を引き起こす病気のうち、最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー型認知症、前頭・側頭型認知症、レビー小体型認知症などがこの「変性疾患」にあたります。続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

2.認知症の症状-中核症状と行動・心理症状
 脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるものです。これらの中核症状のため周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って、うつ状態や妄想のような精神症状や、日常生活への適応を困難にする行動上の問題が起こってきます。
 認知症にはその原因となる病気によって多少の違いはありますが、様々な身体的な症状もでてきます。特に血管性認知症の一部では、早い時期から麻痺などの身体症状が合併することもあります。アルツハイマー型認知症でも、進行すると歩行が拙くなり、終末期まで進行すれば寝たきりになってしまう人も少なくありません。

○ 中核症状
1 記憶障害
 人間には、目や耳が捕らえた情報の中から、関心のあるものを一時的に捕らえておく器官(海馬)と、重要な情報を頭の中に長期に保存する「記憶の壺」が脳の中にあると考えてください。いったん「記憶の壺」に入れば、普段は思い出さなくても、必要なときに必要な情報を取りだすことができます。しかし、年をとると海馬の力が衰え、一度にたくさんの情報を持っていることが出来なくなり、「壺」に移すのに手間取るようになります。「壺」の中から必要な情報を探しだすことも、時折失敗します。もの覚えが悪くなったり、ど忘れが増えるのはこのためですが、それでも、繰り返しているうち、大事な情報は「壺」に納まります。ところが、認知症になると、病的に衰えてしまうため「壺」に納めることができなくなります。新しいことを記憶できずに、さきほど聞いたことさえ思い出せないのです。さらに、病気が進行すれば、「壺」が溶け始め、覚えていたはずの記憶も失われていきます。

2 見当識障害
 見当識障害は、記憶障害と並んで早くから現われる障害です。見当識(けんとうしき)とは、現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握することです。まず、時間や季節感の感覚が薄れることから、時間に関する見当識が薄らぐと、長時間待つとか、予定に合わせて準備することができなくなります。もう少し進むと、時間感覚だけでなく日付や季節等におよび、何回も今日は何日かと質問する、季節感のない服を着る、自分の年がわからないなどが起こります。
 人間関係の見当識障害はかなり進行してから生じてきます。過去に獲得した記憶を失うという症状まで進行すると、自分の年齢や人の生死に関する記憶がなくなり周囲の人との関係がわからなくなります。
3 理解・判断力の障害
 認知症になると、ものを考えることにも障害が起こります。考えるスピードが遅くなり、2つ以上の事が重なると上手く処理が出来なくなり、長い指示や複数の意味を持つ指示が理解出来なくなります。また、些細な変化やいつもと違う出来事で不安になったり、混乱しやすくなったりします。また、「倹約は大切」と言いながら高価な不要な買い物をしたり、自動販売機や自動改札、銀行のATM等が上手く使用できなくなるといった、目に見えないメカニズムが理解出来なくなります。

4 実行機能障害
 健康な人は頭の中で計画を立て、予想外の変化にも適切に判断や対応をしてスムーズに進めることができます。認知症になると計画を立てたり、判断や対応をしたりできなくなり、日常生活がうまく進まなくなります。

5 感情表現の変化
 認知症になるとその場の状況が読みづらくなります。
 通常、自分の感情を表現した場合の周囲のリアクションは想像がつきます。私たちが育ってきた文化や環境、周囲の個性を学習して記憶しているからです。しかし、認知症の人は、時として周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示します。それは認知症による記憶障害や、見当識障害、理解・判断の障害のため、周囲からの刺激や情報に対して正しい解釈ができなくなっているからです。

○ 行動・心理症状とその支援
 認知症の初期にうつ状態を示すことがありますが、原因には「もの忘れなど認知機能の低下を自覚し、将来を悲観してうつ状態になる」という考え方と、「元気や、やる気がでないこと自体が脳の細胞が死んでしまった結果である」という考え方があります。
 認知症の症状が出てくると、周囲が気づく前から、本人は漠然と気がついています。意欲や気力が減退したように見えるので、うつ病とよく間違えられます。周囲からだらしなくなったと思われることもあるようで、すべてが面倒で、以前はおもしろかったことでも、興味がわかないと感じる場合も多いようです。
 周囲の対応としては、本人に恥をかかせないようにすることが大事です。「できることをやってもらう」ことは必要ですが、できたはずのことができなくなるという経験をさせ、本人の自信をなくすという結果になったのでは逆効果です。自分の能力が低下してしまったことを再認識させるようなことはますます自信を失わせます。それとなく手助けをして成功体験に結びつけることができれば少しでも笑顔が戻るようになるでしょう。うつ状態にあるときには周囲からの「がんばれ」が負担になるので注意が必要です。

 その人がその人らしく生活出来るよう、またその様に周囲が支えていけるよう、お気軽にご相談いただければと思います。

出典:認知症サポーター養成講座標準教材

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