なぐり描き法

非言語的な表現方法を用いる芸術療法の1つに、ドナルド・ウィニコットが提唱したスクイグル法 (squiggle) があります。これは、画用紙にサインペン等でなぐり描きをすることを指示し、2人が相互になぐり描きをして見えたものを絵にする方法です。
また、なぐり描きと描画をひとりで行うスクリブル法 (scribble) もあり、他者がなぐり描きした後、描かれたものが何に見えるかを問い、見つけ出したものに彩色する方法のことをいいます。

<やり方>
初めにどちらか一方の人が自由になぐり描くことが促され、行われます。自由になぐり描くこの段階は、描線段階と呼ばれることがあり、特に制限等はなく、どんな形でもかまいません。鉛筆・パステル・サインペンなどの画材を自由に紙にこすらせます。波線でもいいですし、直線や丸、四角でもかまいません。その際、テーマなどは特に決めずに、一方が描いたものを相手が受け取り、何に見えるかを想像し、それに線などを描き加えて絵を完成させることを繰り返すというものです。終わったら、今度は役割を交代して(絵を描いた人が線を描き、線を描いた人がそれを使って絵を描く)、同じことを繰り返す、という方法です。

芸術療法の一つとされていますが、コミュニケーションのツールとして用いることも可能です。比較的小さなお子さんでも、施行可能であり、用いる道具も少ない事から、気軽に体験する事が出来ます。また、その日の気分や状況、心の状態によっても見えるものは大きく異なるので、とても興味深いものです。ご家庭、友人との団らんや語らいのひとときに、試してみてはどうでしょうか?

例)なぐり描き

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花粉症

まだまだ寒さの厳しい日が続いていますが、そろそろ外出するとなんとなく目が痒い、くしゃみが出るといった症状が出ている方も増えてきたのではないでしょうか。
そんな折、環境省から2月3日より北海道を除く地域の今シーズンの花粉飛散状況の提供が始まりました。環境省には花粉症状の軽減など国民の健康維持に資するため、花粉観測システム(愛称:はなこさん)というシステムも導入されています。このシステムにより、スギ花粉の少ない沖縄県を除く全国において花粉飛散状況が把握できる体制となりました。花粉飛散状況を地図と表、グラフで見ることができ、そのデータは観測地点から自動送信にて毎時35分頃に更新されています。
こういった花粉飛散状況の情報提供は、他にも様々な場所でされています。身近なところでいえば、朝のニュース等、その日の花粉情報を取り上げているのを見てから通勤や通学される方は多いのではないでしょうか。
また、インターネットが広く普及している現在では、花粉症ナビといった花粉症の症状に悩む人達の情報サイトも立ち上げられています。ここでは、花粉症の基礎知識や目と鼻の症状と治療について、また近くの病院を探すツールだったり、自分でできる花粉症対策や薬の知識についても紹介されています。大人だけでなく、花粉症はこどもにもありえる疾患です。そういったこどもの花粉症についても大人との症状の違いやお母さんへのアドバイス等も紹介されています。他にも花粉予報だったり、様々な情報が提供されていますが、その中でも今回は症状のセルフチェックの紹介をしたいと思います。初めて花粉症になった方にとって、その症状は風邪と見分けがつきにくい箇所もあるかと思います。もしかして自分は花粉症かもと思う方はぜひ一度チェックをしてみてください。

◆症状セルフチェック/監修:日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部感覚器科学分野 教授 大久保公裕先生

Q1鼻水やくしゃみが続けて出る。 □はい   □いいえ

Q2鼻水が透明でサラサラしている。 □はい   □いいえ(鼻水は出ていない)

Q3発熱している。        □はい   □いいえ

Q4目がかゆくなる。       □はい   □いいえ

Q5毎年、同じ時期に症状が出る。 □はい   □いいえ

A
全て【いいえ】だった方……花粉症や風邪の可能性は低いと思われます。
全てが【はい】だった方、もしくはQ3以外が一つでも【はい】だった方……花粉症だと思われます。
Q3のみ【はい】だった方……風邪の可能性があります。

また、このチェックで花粉症に該当した方は重症度やタイプもチェックできます。
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図のように、鼻づまりの程度や一日のくしゃみや鼻かみの回数から、鼻づまり(鼻閉)型・くしゃみ鼻水型・どちらも該当する完全型と分類が一目でわかるようになっています。

花粉症は早めに適切な治療を行い、対策を怠らないことで症状をやわらげることができます。病気をよく理解し、積極的に対処することが大切です。

【環境省花粉情報サイト】http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/
【花粉症ナビ】http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/

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院長より

 あけましておめでとうございます。
 今年はどんな年になるでしょうか。さて、寒い日が続いておりますが、暖房等で室温をあげすぎると外気温との差が大きくなり、自律神経のバランスを乱す原因となりますのでご注意下さい。また、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどの接種はお済みでしょうか。予防接種は接種後、効果を出すまでにある程度の期間が必要で、すぐ効果が出るわけではありません。早めの接種をお勧めいたします。

 今年4月には2年に一度の診療報酬改定が行われる予定です。診療報酬全体としてはわずかに上がるようですが、同時に消費税増税があり、その影響を換算すると実質マイナス改定になるようです。現在多くの医療機関で利益率が数パーセントしかない状況であり、マイナス改定では、多くの医療機関の経営状態がより悪化すると予想され、地域医療の崩壊が懸念されます。さらに皆様に影響が及びそうな情報として、うがい薬の単独処方が保険適応外となることが閣議決定されたとの報道もありました。以前より時々うがい薬や湿布が保険適応外となる噂は出ていましたが、とうとう現実のものとなりそうです。今回はうがい薬を単独で処方しようとした場合だけが検討されていますが、今まで噂になったような湿布、漢方薬や風邪薬と、今後どんどん保険診療が縮小していくことが心配です。これが国民皆保険制度崩壊のアリの一穴とならないよう注目し、大きな反対の声を出していきたいと思います。今後、書名等をお願いすることがありましたら、よろしくお願いします。

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習癖異常 子どもの癖

習癖異常とは
 癖とは、繰り返されることで身につき固定された行動のことであり、誰でも何らかの癖を持っているものです。大人の癖はその人の個性の一部に組み込まれていることがほとんどですが、子どもの癖は精神心理学的問題を表現していることがあり、注意が必要となる場合があります。「習慣的に身体をいじる動作」を総称して「神経症性習癖」と呼び、その種類は、指しゃぶりや爪噛みなどの身体をいじる習癖から、首振りやチックなどの身体の動作を伴う習癖、異食や過食、拒食などの食事の問題、排泄や睡眠の問題など多岐にわたります。

1)身体をいじる習癖(身体玩弄癖)
指しゃぶり 爪噛み    舌なめずり
鼻・耳ほじり 目こすり 咬む
ひっかく 性器いじり 抜毛
2)身体の動きを伴う習癖(運動性習癖)
律動性習癖(頭打ち、首振り、身体ゆすり)
常同的な自傷行為 チック
3)日常生活習慣に関する習癖
食事(異食、偏食、拒食、過食、反芻)
睡眠(夜驚、悪夢、夢中遊行)
排泄(遺尿、夜尿、遺糞)
言語(吃音、緘黙)
4)体質的要素の強い習癖
反復性腹痛  便秘     下痢
嘔吐     乗り物酔い  頭痛
立ちくらみ  咳そう    憤怒痙攣
5)その他
虚言 盗み 金銭持ち出し
徘徊 嗜癖

 これらの習癖は、通常の発達過程で見られることもあり、必ずしも治療が必要なものではなく、経過観察で改善する場合もあります。しかし一方で、単なる癖として観察しても改善せず、さらに二次的な問題が起こってしまう場合もあります。子どもの困った癖は、本人のみならず周囲の親や教師などが気になり、戸惑う場合があります。そうした場合、まず医療機関へ相談することが望ましく、また著しく日常生活に支障をきたしている場合には、専門機関への受診が必要になります。

習癖異常の要因と治療
 習癖異常は、子どもが何らかのストレスをかかえ、情緒不安定になっていることが要因のひとつと考えられています。そのため、子どものそれまでの養育環境や習癖を表出する状況、日頃の様子、親子関係などを詳細に吟味し、どのような心理が働いているかに気づくことが大切です。特に養育者の子育てのあり方や、性格傾向が大きく関与していると言われており、習癖を持続させたり悪化させてしまう可能性があります。例えば、完璧主義で几帳面な強迫傾向を持つ母親が、子どもに能力以上の完璧さを求めて養育した場合、習癖異常になりやすく、またそれを悪化させやすくしてしまう可能性があります。その一方、心理的要因のみでは説明できないことも多く、子ども自身の体質的要因もあると考えられています。生まれつき神経質で、何に対しても過敏で頑固な場合、習癖異常になりやすいと想定されています。このように、養育者の子育てのあり方と子どもの気質の両方が、習癖異常と関連すると考えられます。
習癖異常の治療としては、適切な診断から見立てる病態や予想される経過を説明して、本人や周囲の戸惑いや不安を軽減し、子どものストレスが見つかれば、それを解消したり吐き出す場を提供することが必要だと思われます。また、脳や神経などの疾患が見つかるのであれば、それぞれの専門科での精密検査や治療を進めていくことも必要だと思われます。

人は様々な癖を持っていますが、癖というものはなかなか自分の力だけで直すことが難しいものです。しかし、一般的にその癖を病気だと思い、病院で治療されるべきものと考えている人は少ないと思われます。治療するかどうかの選択として、どの程度日常生活に支障が出ているか、困難を感じているかという問題意識を一つの指標としてみてはいかがでしょうか。

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