笑顔の効果

 みなさん、普段笑うことはどのくらいありますか?
笑顔であいさつをすることは、どのくらいあるでしょう?
 「笑い」には、こころやからだを元気にする効果があります。普段から笑顔でコミュニケーションをとることで、周囲の人と良い関係を保つこともできます。
積極的に笑うことで、こころもからだも元気にしていきましょう!
 
では、笑うとどのようなことが起こるのでしょうか?

1、ストレスが鎮まる
笑うことで酸素摂取量が増え、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンのコルチゾールの分泌が減り、ストレスが鎮まるといわれています。特に、ゲームなど楽しいことをしたときに起きる笑いは、その効果が高いそうです。普段から趣味など、楽しんで笑顔が出るようなことをするように心がけるとよいでしょう。
2、安らぎを感じられる
 自律神経には、交感神経と副交感神経があり、ストレスが高いと交感神経が優位になります。笑うことで、副交感神経へスイッチが切り替わり、安心感や安らぎを感じられ、ストレスが解消されるといわれています。
3、血糖値が下がる
 糖尿病患者が積極的に笑うことで、血糖値が下がったという事例があるそうです。笑うことでストレスが軽減し、血糖値の改善に役立つこともあるようです。
4、免疫力が高まる
 笑うことでNK細胞が活性化された、という研究結果があり、笑うことは免疫力の向上に良い効果があるといわれています。
5、気持ちがよくなる
 笑うことで、エンドルフィンが脳内に分泌され、気持ちがよい体験をすることができるといわれています。たくさん笑った後は気持ちがすっきりした、という経験がある人もいるのではないでしょうか。

 このように、笑うことはこころとからだに良い作用をもたらすといわれています。
まずは、鏡をみて、自分に笑いかけることから始めてみましょう。最初は、意識して笑うようにしてみることで、だんだん楽しくなり、自然と笑顔がこぼれてくるものです。
 普段から、笑顔であいさつすることをこころがけるのもよいでしょう。笑顔であいさつをすることで、周囲の人とのコミュニケーションも円滑になり、毎日を楽しくすごせるでしょう。
 無理せず、自分に合った「笑えること」をみつけて、元気で楽しい日々をすごしましょう。
               (参考文献  高柳和江著 笑いの医力)

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「認知症の物忘れ」と「年相応の物忘れ」の違いについて

物忘れがあると「もしかして認知症なのでは?」と心配される方も多いですが、加齢にともなう年相応の物忘れと、認知症の物忘れには違いがあります。

《 普通の物忘れ・・記憶の帯から体験の一部を忘れてしまう 》
・体験や出来事の一部を忘れるが、体験の他の記憶 から忘れた部分を思い出すことができる
・物忘れをしたという自覚がある
・時間や場所、人物まで分からなくなることはない

《 認知症の物忘れ・・記憶の帯から体験全体が抜け落ちる 》
・体験や出来事の全体をまるごと忘れるので、ヒントがあっても思い出すことが困難
・物忘れをしたという自覚に乏しい                              
・時間や場所、人物などがわからなくなることがある

介護者を困惑させる言動、行為が起こる原因の例
 《 中核症状 : 脳の神経茶房が損傷を受けることによって起こる症状 》 
 記憶障害・・何度同じことを言っても理解してもらえない
       いつも探しものをしている

 言葉の障害(失語)・・簡単なものの名前が出にくい
            代名詞(あれ・それ)を使うことが多くなる

 見当識障害・・時や季節、自分のいる場所がわからない
        目の前の人が誰だかわからない

 実行機能障害・・料理など手順を踏んで実行する作業ができない
 
などの症状 + 不適切な対応、不快感、不安、焦り、身体不調
               ↓
         行動・心理症状が出現

 《 行動・心理症状 : 中核症状にその人の心の状態や周囲の環境が作用することによって出てくる症状 》
 妄想、徘徊、排泄の混乱、攻撃的な言動行為、食行動の混乱 等
こういった症状は、認知症の人が感じている身体の不調や精神的なストレスを取り除くことで緩和すること
 が可能です。
 
 
医療機関にかかるタイミング
普通の物忘れとは異なる「認知症の物忘れ」がみられたら、医療機関を受診しましょう。また、普通の物忘れでも、半年から1年といった短い期間で物忘れが急速に目立ってきたのであれば、早めに医療機関にかかることをお勧めします。
ご本人が受診を嫌がることも多いかと思いますが、そういった場合はまずはご本人が馴染んでいるかかりつけ医を受診して、そこから専門医を紹介してもらうといったかかり方もあります。当院でも、物忘れの検査は行っておりますので、気になる症状がある方は受診の際にスタッフにお気軽にご相談ください。

最後に、認知症が疑われるポイントをご紹介致しますので、セルフチェックにご利用下さい。

□ 直前にしたことや話したことを忘れてしまう

□ 何度も同じことを聞いたり、言ったりする

□ よく知っている人の名前を覚えていない 
  
□ 買い物に行く度いに同じものを買ってくる

□ 財布の中が小銭でいっぱいになっている(お金の勘定ができない)

□ 冷蔵庫に同じものがたくさん入っている

□ 料理の味付けが変わってきた

□ 置き忘れや、しまい忘れが目立つようになった

□ 好きだったことに興味や関心がなくなった

□ この半年から1年間くらいで急に物忘れが目立ってきた

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院長より

 今年も不安定な天気が続いています。全国各地で台風やゲリラ豪雨、竜巻など様々な天災が発生していますが、被災者の皆様には心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈りいたします。また、不安定な気候の影響を受け、自律神経も乱れやすい時期です。不調を感じたら早めの受診をお勧めいたします。

 地域包括ケアシステムという言葉をご存知でしょうか。いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供しようとする計画で、特に人口は横ばいなのに高齢者人口が急増する大都市部でこのシステムの構築が必要と言われています。先日東京都が高齢者の他都市移住を推奨する方針を出したのもこの問題の解決案の一つなのでしょう。名古屋市は名古屋市医師会と協力し、このシステム構築のためには在宅医療の提供が不可欠と考え、より多くの医師が在宅医療を提供できるよう支援する方策を打ち出しています。当院もこの考えに賛同し、体制が整い次第一人でも多くの在宅患者を受け入れられるようにしていきます。当院に通院されていた患者さんが寝たきりのようになり、通院困難となった場合にはできる限り対応していきたいと考えておりますので、ご相談ください。

 またインフルエンザワクチンの接種時期が近づいてきました。今年度はワクチンが大幅に変更され、より効果が高まるよう改良されたそうです。そのためか、便乗値上げかワクチン単価が2倍近くになるとの連絡を受けました。より多くの方にワクチンを接種していただきたいので値上げは避けたいのですが、そうはいかなくなりそうです。詳細が決まり次第お知らせしたいと思いますので、今しばらくお待ちください。詳細は職員までお問い合わせください。

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適応障害

適応障害は・・・「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」(ICD-10)のことです。つまり、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。ストレス因となるものは様々で、ある人はストレスに感じることがほかの人はそうでなかったりと、個人のストレスに対する感じ方や耐性も大きな影響を及ぼします たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス要因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。

診断基準・・・適応障害の診断には、以下の様な基準があります。
1.はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3ヶ月以内に発症する。
2.ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状。
3.社会的または職業(学業)上の機能の障害。
4.不適応反応はストレスが解消されれば、6ヶ月以上は持続しない。
5.他の原因となる精神障害がない。
 ただしストレスが慢性的に存在する場合は症状も慢性に経過します。また、適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されています。

症状・・・適応障害の症状は、ストレスに対する正常な感情的反応の延長線上にあるものです。そのため、症状の内容はストレスの内容と、症状の経過はストレスの経過と密接な関係があります。症状はストレスと状況、本人の性格によって様々ですが、主に以下の4つの状態に分けられ、これらの何かが目立った状態、またはいくつかが混合した状態となって現われます。
不安症状を中心とする状態
  不安、恐怖感、焦燥感などと、それに伴う動悸、吐き気などの身体症状
うつ症状を中心とする状態
  憂うつ、喪失感、絶望感、涙もろさなど
問題行動を中心とする状態
  勤務怠慢、過剰飲酒、ケンカ、無謀な運転などの年齢や社会的役割に不相応な行動
身体症状を中心とする状態
  頭痛、倦怠感、腰背部痛、感冒様症状、腹痛など
 子どもの場合は、指しゃぶりや赤ちゃん言葉などのいわゆる「赤ちゃん返り」がみられることもあります。
 適応障害ではストレス因から離れると症状が改善することが多くみられます。たとえば仕事上の問題がストレス因となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になったり、趣味を楽しむことができる場合もあります。

治療・・・
ストレス因の除去
 たとえばストレス因が職場にあると考えられる場合には、休職や異動等の環境調節がこれにあたります。ストレス因が家族内にある時のように動かせないもの、離れるのが難しいものもあります。その場合には、ストレス因の除去だけではうまくいきませんので、その他の方法が必要になります。
本人の適応能力を高める
 ストレス因に対して本人はどのように受け止めているかを考えていくと、その人の受け止め方にパターンがあることが多くみられます。このパターンに対してアプローチしていくのが認知行動療法と呼ばれるカウンセリング方法です。また現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法もあります。どちらも基本的には治療を受ける人自身が主体的に取り組むことが大切です。
情緒面や行動面への介入
 情緒面や行動面での症状に対しては、薬物療法という方法もあります。
不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対して抗うつ薬を使うこともあります。ただし適応障害の薬物療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になります。根本的な治療ではありません。つまり適応障害の治療は薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、環境調整やカウンセリングが重要になっています。

 適応障害は、まず原因となっているストレスを軽減することが大切です。気分転換をしたり、適度の休養をとったり、必要であれば転職や休学などの環境調節をすることで、日頃からストレスを溜めないような生活を心がけましょう。

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