院長より

あけましておめでとうございます。
 例年と比較して暖冬と言われていますが、年末から年始にかけては寒い日が続いています。寒暖の差が大きいと、自律神経のバランスが乱れることで、さまざまな自律神経失調症状の原因となりますのでご注意下さい。
インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどの接種はお済みでしょうか。予防接種は接種後、効果を出すまでにある程度の期間が必要で、すぐ効果が出るわけではありません。早めの接種をお勧めいたします。
 今年4月には2年に一度の診療報酬改定が行われる予定ですが、残念ながら診療報酬全体としては前回と同様にマイナス改定になるようです。一昨年にも述べましたが、現在多くの医療機関で利益率が数パーセントしかない状況であり、マイナス改定では、多くの医療機関の経営状態がより悪化しますので、地域医療崩壊が懸念されます。
 ストレスチェック制度の実施が始まりました。労働者の仕事によるストレスの程度を把握し、労働者自身にストレスへの気付きを促し、職場改善に努めることで労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを目的に創設された制度です。事業場に実施する義務がありますが、50人未満の小規模事業場では努力義務となっています。当院も産業医として、また精神科医としてこの制度と関わっていくことになりますが、この制度がうまく機能し、労働者の仕事によるストレスの軽減につながることを願います。

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コラージュ療法

心理士が行う心理療法には様々な種類があります。私達心理士のことを少しでも知っていただければと思い、今回はその中から絵や音楽を通して心の状態を改善する「芸術療法」に分類される、「コラージュ療法」を紹介します。

コラージュ療法とは
コラージュとはフランス語で「糊による貼付け」という意味があるのもので、雑誌や広告、新聞紙などの写真や絵などを切り抜き、台紙に貼って作品を作るものです。切り抜きの中から気に入ったものや気になったものを選び、それを台紙の上に好きなように貼るだけなので、比較的簡単に行えます。コラージュ療法は、このように一つの作品を作り上げることから、心理療法のうち、大きく分けると芸術療法というものに分類されます。コラージュ療法ではこの作成過程において、自己表現が可能になったり、カタルシス効果と呼ばれる癒やし効果が得られます。また、誰かと一緒に作成することによって親近感が湧き、信頼関係を築くことにも役立つと考えられています。とくにコラージュを何度も繰り返し実施していく中で、自己の内面を自ら振り返るようになり、自己の気づきにつながっていくことが最も重要な効果の一つだと言えます。

実施方法
 基本的には、「このようにしなければならない」というルールはなく、自由に行っていただけますが、代表的な実施方法を紹介させて頂きます。
・マガジンピクチャー・コラージュ法
 コラージュの作り手が雑誌や広告などから直接切抜きを選ぶ方法です。
・コラージュボックス法
 A4サイズ程度の切抜きをあらかじめ用意し、ハサミとのり、用紙などと一緒に箱の中に入れておき、そこからコラージュを作成する方法です。
・相互法
 参加者がそれぞれに作品を作るやり方です。
・合同法
 誰かと一緒になって一枚の作品を作るやり方です。
・裏コラージュ
 コラージュの制作過程で切り抜いたけれども貼り付ける際に使わなかった切抜きを裏に貼って残しておくことをいいます。

コラージュ療法の効果
 最初にも述べたように、コラージュ療法ではいくつかの効果が得られます。
・カタルシス効果(癒しの効果)
・ストレス発散
・美意識の満足・達成感
・一緒に作成することにより、参加者間での親近感がわき、信頼関係を構築するのに役立つ
・無意識的な自己に気づく

 以上のようにコラージュ療法では、様々な効果が得られますが、以下の2点に注意が必要です。

・気持ちが乗らない時は無理に作らないで下さい。作業の途中であっても、気持ちが乗らないと感じた時にはいつでもやめて下さい。無理してやっても効果が得られないだけでなく、心理的な不調に陥ることもあります。
・作品の上手い下手は重要ではありません。上手な作品を作ることが目的ではなく、心理的効果を得ることが目的なので、自分の思うように作り表現することが大切です。

 言葉を使わずに、比較的に自分の気持ちを表現することができるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

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アルコール(飲酒)について

忘年会や新年会等飲酒をする機会が多くなる季節となりましたが、お酒の飲み過ぎにはなっていないでしょうか?
多量飲酒や長期に渡る飲酒は臓器に様々な影響をもたらします。アルコールによって起こりうる様々な障害については以下の如くです。

・アルコール性依存症
 精神疾患(うつ病等)の合併
 自身の喪失
 人間関係の喪失
 社会的信用の喪失

・中枢神経障害
 脳萎縮
 アルコール性認知症
 アルコール性神経障害

・消化器系
 消化管
  食道がん
  口腔がん
  咽頭がん
  食道静脈瘤
  急性胃炎
  胃潰瘍
  十二指腸潰瘍
  大腸がん
  痔

 肝臓
  アルコール性肝炎
  アルコール性脂肪肝
  アルコール性肝硬変
  肝がん

 膵臓
  膵炎

・心臓・循環器系
 アルコール性心筋症
 高血圧症

・末梢神経系
 アルコール性多発神経炎

・その他
 糖尿病
 痛風
 低出生体重児
 インポテンツ など

アルコールによる障害を起さない為に気をつけること
・1日の適量を覚える(1日にいずれか1種類の場合)
例 ビール(中ビン)1本 500ml
日本酒 1合  180ml
ワイン 240ml      など

・節度ある飲酒を
毎日続けて飲まない
一気飲みの禁止
時間をかけゆっくりと飲む
夜12時以降の飲酒の禁止

以上のように飲酒で起こる問題は身体だけではなく、社会生活や家庭生活にも大きな影響を及ぼします。不安やストレス解消にアルコールを頼ることは大きな危険が伴います。アルコール依存症は、長期間の飲酒習慣が原因で起こります。飲酒量や二日酔い、飲酒中のトラブルが多くなり、お酒の飲み方 を自分でコントロールできなくなってきたら要注意です。本人はもちろんのこと家族等周りの人が初期段階での変化に気づき、断酒や早期受診等の適切な対応が出来れば、アルコール依存症の予防にもつながります。早期に医師や専門家の指導を受けることをおすすめします。何か困ったことがあれば、当院や愛知県精神保健福祉センター、保健所等に相談 をして下さい。
春になると歓送迎会等でまた飲酒の機会が増える方も多いと思います。その前に皆さんも一度飲酒習慣を見直してみてください。

参照:名古屋市 名古屋市医師会 健康指導シリーズ 健診結果 放っておくと怖いアルコール

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院長より

 今年もまもなく年末を迎えようとしております。10月中旬ごろまで暑い日が続いていましたが、あっという間に寒くなり、過ごしやすい季節も終わってしまいそうです。寒暖の差が激しい時期は自律神経に過剰な負荷をかけますので、動機やめまい、立ちくらみなど自律神経失調症状が悪化しやすい時期でもあります。症状でお困りの際はご相談ください。

 今年は当初インフルエンザワクチンの供給不足を指摘する新聞報道があり、当院でも正確な事実の入手を心がけ、混乱を防ぐよう心がけておりましたが、何とか安定供給が可能となったようなので、予防接種を開始しました。もう接種あるいは予約をされましたでしょうか。今年もすでに学級閉鎖があったようですが、接種後に免疫が作られるのには一ヶ月ほどかかりますから、なるべく早く接種しておいたほうがいいと思います。まだの方は早急にご検討ください。

 マイナンバー制度が施行され、マイナンバー通知カードの送付が始まっているようです。他人に安易に漏らしてはダメなようなので、その用途が法的に明らかでない場合には見せないようにするとか、厳重な管理が必要なようです。その用途とはまず社会保障と税、災害対策の分野での利用が開始され、その次には特定健診や予防接種、預金口座の個人情報が追加されることが決まりました。その後も用途を広げたいという政府の意図は明らかですので、むやみに広げさせないよう監視が必要です。また各種情報を同じマイナンバーだけで管理するのではなく、分野ごとに別の番号を使用するなど、情報漏えいのリスクに備えた運用が必要だと思います。また来年からは従来の住基カードに変わる個人番号カードの発行も可能となります。こちらは一枚で身分証の代わりにもなり便利だと思いますが、一方で紛失した際に危険です。そして身分証であれば持ち歩くことが前提なので、紛失の機会が増えてしまうことになりますし、他者にマイナンバーを見られる機会が増してしまうなどのデメリットもあります。その発行には十分ご注意ください。

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