タバコ

今年度は数種類が軽減措置廃止となったタバコ税ですが、この先また増税の可能性が非常に高い嗜好品の一つですね。
増税前に禁煙をしようと思っている方もみえるかと思いますが、タバコは辞めようと思ってもなかなかやめられないと思います。それはタバコの煙に含まれるニコチンという薬物成分が繰り返しからだに吸収されることで、ニコチンをいつも欲する状態になるからです。それがニコチン依存症です。下記のスクリーニングテストでチェックをし参考にしてみてください。

ニコチン依存症のスクリーニングテスト「TDS(Tabacco Dependence Screener)」

設問内容               はい(1点)  いいえ(0点)
1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多く煙草を吸ってしまうことが
ありましたか?
2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありまし
たか?
3 禁煙したり本数を減らそうとした時に、煙草が欲しくて欲しく
てたまらなくなることがありましたか?
4 禁煙したり本数を減らした時に、次のどれかがありましたか?
  (イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱、頭
痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲また
は体重増加)
5 4で伺った症状を消すために、また煙草を吸い始めることが
ありましたか?
6 重い病気にかかったときに、煙草はよくないとわかっている
のに吸うことがありましたか?
7 煙草のために自分に健康問題が起きているとわかっていて
も、吸うことがありましたか?
8 煙草のために自分に精神的問題が起きているとわかってい
ても、吸うことがありましたか?
9 自分は煙草に依存していると感じることがありましたか?
10 煙草が吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度
かありましたか?

上記の設問で5点以上を獲得した方はニコチン依存症の可能性が高いといえます。

メリットだらけの禁煙
禁煙は始めた直後より多くのメリットがある為、長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。

禁煙を始める
直後→周囲の人を煙草の煙で汚染する心配がなくなる
20分後→血圧と脈拍が正常値まで下がる。手足の温度が上がる。
8時間後→血中の一酸化炭素濃度が下がり、酸素濃度が上がる。
24時間後→心臓発作の可能性が少なくなる。
数日後→味覚や嗅覚が改善し、歩行が楽になる。
2週間~3ヶ月後→心臓や血管など、循環機能が改善する。
1~9ヶ月後→咳や咳鳴が改善し、スタミナが戻る。気道の自浄作用が改善し、感染が起こりにくくなる。
1年後→肺機能の改善がみられる。
2~4年後→虚血性心疾患のリスクが喫煙を続けた場合に比べ35%減少。脳梗塞のリスクも顕著に低下。
5~9年後→肺がんのリスクが喫煙を続けていた場合に比べ明らかに低下。
10~15年後→様々な病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づく。

どのようにして禁煙するか
・喫煙と結びついている行動を控える
・タバコを吸っている人が集まる場所を避ける
・吸いたくなったら喫煙に代わる行動をとる(深呼吸、水やお茶を飲む、歯磨き、散歩、ストレッチ)

自力での禁煙が難しい方は、禁煙外来を受診したり、禁煙補助薬を使うなどするとよいでしょう。健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件」は下記の如くです。

1 ニコチン依存症を診断するテスト(上記のもの)で5点以上
2 (35歳以上の人)1日の平均喫煙本数✕これまでの喫煙年数=200以上
  ※35歳未満の人は2016年4月以降に「喫煙本数✕喫煙年数」の要件がなくなりました
3 1ヶ月以上禁煙を始めたいと思っている
4 禁煙治療を受けることを文書で同意している

このように今年度より保険適応の対象者が拡大した為に、若者も禁煙外来を受診しやすくなると考えられます。当院では禁煙外来は行っておりませんが、北区内でもいくつかの医療機関で禁煙外来を行っております。詳しく知りたい方は職員までお尋ねください。

参照:日本循環器学会,日本肺癌学会,日本肺学会:禁煙治療のための標準手順書第2版(2007)、名古屋市医師会 放っておくと怖いタバコ、ファイザー株式会社 すぐ禁煙.jp

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院長より

 日増しに暖かさが増し、春の訪れを感じる時期になりましたが、この季節の寒暖の差は自律神経のバランスを乱し、様々な症状が悪化しやすくなります。皆様もご自愛の上、気になる症状がありましたら、ご相談下さい。
 私自身、スポーツにはほとんど興味がありませんが、今年はうるう年でオリンピックイヤーですから、毎日のようにスポーツの話題が出てきます。今回も様々なドラマが生まれるのでしょうね。今回も前回の冬季オリンピック同様、開催場所の関係で、リアルタイムの中継は夜中になると思われますので、夜中に起きて熱心に応援し、寝不足になる方がいらっしゃると思いますが、くれぐれもほどほどにしてください。
 さてまたこの4月には診療報酬の改定が行われます。前回改定の目玉の一つであった安定剤多剤投与抑制が、今回はより厳しい規制に変わるようです。多剤投与イコール悪とは思いませんが、国がそのように考えるようになったのなら従わないといけませんし、その根拠を聞くと一理あり、実際に減らすことができている例が多数あります。そのため、今まで以上に薬の量を減らしていこうと考えていますので、ご協力をお願いいたします。

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ストレスチェック制度

 仕事や職業生活に不安やストレスを感じている労働者が5割を超える中、平成26年6月に
労働安全衛生法が改正され、平成27年12月からストレスチェック制度が開始されました。
 これにより、労働者が50人以上在籍している事業所では、事業者に対して、ストレスに関する
質問票を利用した「ストレスチェック」を全労働者へ行うことが義務化されました。
 労働者自身に受検義務はありませんが、全員が受検することが望まれています。自分自身の
ストレス状態に気づき、自分自身でケアをするための良い材料になると思います。
 積極的に利用し、こころの健康の維持に活用していただきたいと思っています。

1. どのようなことをするのか?
  ストレスに関する質問票に、労働者本人が回答をします。厚生労働省が推奨している質問
 用紙は簡単な内容で、短時間で回答できるものになっています。

2. 何のために実施するか?
  労働者自身が自分のストレス状態を知ることで、メンタルヘルス不調のならないようにする
 ための「未然予防」を行うための仕組みです。精神的な病を発見するためのものではありま
 せん。一人ひとりがその結果を知ることで、自分のこころの健康を保っていくことが目的です。

3. どのように受検する?
  パソコンを利用してWEB上で実施する方法と、紙媒体によって実施する方法があります。
 実施方法は、所属している会社の状況によって違ってくると思われます。例えば、パソコンが
 利用できない職場では、紙媒体を利用することになるでしょう。
  結果通知には、「受検者のストレス状態」や「セルフケア(自分自身でこころのケアをすること)
 に関する内容などが記載されます。

4. ストレスが高いと判定されたら?
  ストレスチェックの結果、ストレスが高いと判断された場合には、医師の面接を受ける事が
 できます。これは、全員が面接を受けなければならないということではなく、「面接を申し込
 んだ」人が受けることになります。とはいえ、ストレスが高いと判断された人全員が面接を
受けることが望ましい、とされています。
  医師面接では、こころの状態を把握し、助言を行うとされています。また、必要であれば、
 医師の意見を元に、職場の環境改善等を行っていくことも想定されています。   

5. プライバシーの保護、不利益な取り扱いの禁止
  多くの個人情報が含まれているので、プライバシーの保護に力を入れています。本人の
 同意がなければ、事業者(会社経営陣)に個人の結果が伝わらないようにしなければなら
 ない、とされています。
  また、ストレスチェックを受けなかったことや、その結果内容等により、労働者個人が不利益
 な取り扱いを受けることも禁止されています。
  このように、受検者が安心して受検できるように、様々な規定が作られています。

 まだまだ、始まったばかりの制度ですが、最初に書いたように自分自身のこころの健康を守る
上で、有効な方法になると思います。あなたの会社で実施された時には、自分自身のメンタルヘルス不調を未然に防ぐためにも、面倒臭がらずに回答しましょう。
 詳しい内容を知りたい方は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
                     ( 参考文献  厚生労働省ホームページ内 「こころの耳」 ) 

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退職後の健康保険

病気や怪我をした際、健康保険証を医療機関で呈示すれば、私達は一部負担金を窓口で支払うことで診察、処置、投薬等の治療を受けることができます。しかし、退職等によって社会保険の資格を喪失した後、次の保険に加入にしないまま無保険の状態にしてしまうと、医療機関での窓口負担が大きくなり病院にかかることが経済的に難しくなってしまうことがあるかもしれません。
今回は、そんな退職後の保険をどうしたら良いかといったケースを紹介したいと思います。

社会保険へ加入していた方の退職後に選べる保険は以下の3つです。

・任意継続健康保険

・国民健康保険

・ご家族の健康保険(被扶養者)

最初の任意継続健康保険は、在職していた会社の保険を名前の通り任意で継続する保険です。通常、退職前に会社側へ任意継続希望の意思を伝え、加入手続きをします。
有効期限は2年間で、その間の保険料は原則変わりませんが、在職中は会社が半分負担してくれていた保険料を任意継続の場合は全て自分で負担することになるので、実質今までの倍程度の保険料を支払う計算になります。
保険料の支払いが滞ったり、新しく別の会社の社会保険に加入したり、後期高齢者医療の該当年齢になった場合は資格を喪失しますが、それ以外は任意の申し出により途中で辞めることはできません。その為、国民健康保険やご家族の健康保険の扶養に入ることは、任意継続保険証を使用している間はできないので注意が必要です。

2番目の国民健康保険はお住まいの市区町村の健康保険担当窓口で加入の手続きをする保険になります。前年度の所得や世帯人数等に応じて保険料が定められ、保険料の減免制度等もあります。
市区町村によって保険料(税)の算定方法が異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。

3番めのご家族の健康保険へ被扶養者として加入する場合ですがこの場合の被扶養者の資格には、
・年間収入が130万円以内であること(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円以内)
・配偶者や子、孫、および弟妹、父母、祖父母等の直系尊属でない場合は同居が必要
といった条件が定められています。
加入は、ご家族の加入する保険組合で手続きをしてください。

以上が保険の説明になりますが、自分はどの保険を選んだらいいのかわからないといった方もいらっしゃると思います。
通常、普通に会社勤めをされていた方は先にあげたように年間収入が130万円以内(60歳以上または障害者の場合であれば年間収入180万円以内)になることはあまりない為、退職後すぐにご家族の被扶養者として保険加入できるケースは稀です。
国民健康に加入した場合はいくらになるのか、前年度の所得が分かるものを窓口にお持ちになれば計算してもらえますので、今払っている保険料の倍の額とどちらが安いのか、比べてから退職後の健康保険を選ぶというのも方法の1つです。

他にもわからない、相談したいということがあれば当院職員へお気軽にお声かけください。

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