院長より

 2年に一度の診療報酬改定がこの4月に行われました。今回も在宅医療関連の点数がより複雑化したこともあり、疑義解釈が4月になっても出されるなど、その運用に混乱が生じています。走りながら考え、修正すると言う介護保険導入時に言われたことが医療の世界でもそのまま続いているようです。国の大事な施策を結果がどうなるのかをきちんと検証しないままはじめてしまっていいのでしょうか。何事も始める前にきちんと検証して欲しいものです。
 当院では先月終わりから診療スタイルを少し変更しました。より少ないスタッフでも今まで以上の良質な医療を提供するために考えた変更です。当初はご迷惑をかけると思いますが、良い結果になると信じています。成果が出るには数ヶ月かかると思いますが、その間よろしくお願いいたします。
 さて今年は参議院議員選挙の年ですが、衆参同時選挙もささやかれています。その結果を占うかもと言われていた北海道と京都の補欠選挙は一勝一敗でしたので、どうなるのか予測は難しいようです。今年から公職選挙法が改正され、選挙権年齢が引き下げられたため、18歳から投票できるようになりますので、より若い方の意見が反映されやすくなります。票になりやすい高年齢層に目を向けた政策から、若い世代に目を向けた政策に変わるかどうかは、新しく選挙権を与えられた世代が政治にあきらめを持たず、どれだけ選挙を通じて政治に参加するかどうかにかかっていると思います。多くの若者が選挙権を行使するよう願います。

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臨床心理士

 4月から新しいドラマが始まりましたね。その中で福山雅治さんが臨床心理士を演じられているのはご存知でしょうか。今までにもドラマの中で時々登場することがある臨床心理士ですが、日常生活の中で、臨床心理士と出会うことって少ないですよね。実は当院には3名の臨床心理士が在籍しています。では、臨床心理士とは実際にはどのような仕事をしているのでしょうか。活動領域により業務内容は多少異なりますが、主に下の4つの業務が挙げられます。

1.臨床心理査定(アセスメント)
 面接や観察によってクライエント(心の悩みや課題等を抱えて相談に来る方のことです)がどのような状況に把握したうえで、心理検査を行います。その結果によって、クライエントの特徴や心の問題点を明確にし、必要な援助を検討していきます。

2.心理カウンセリング(面接)
 アセスメントの結果を元に、カウンセリングや心理療法を行っていきます。主な心理療法にはクライエント中心療法、精神分析療法、認知行動療法があります。例えば精神分析療法の中にもクライン派、ウィニコット派など細かく分けるといくつにも枝分かれしていきます。興味を持たれた方は、ネットなどで少し調べてみると面白いかもしれないです。

3.臨床心理学的地域援助
 クライントの抱える問題は、自分一人だけでは解決できない場合もあります。必要に応じて家庭、職場、学校など周囲にも働きかけて援助を行います。

4.調査・研究活動
 より多くのクライエントのサポートができるようになるために、臨床心理学的調査や研究活動を通して知識とスキルの向上に努めます。

 以上が主な業務内容になります。活動領域により多少業務内容が異なるということを先ほどお話しましたが、それではどのような場で臨床心理士は活動しているのでしょうか。主な活動領域には以下の7つが挙げられます。

1.医療・保健
 精神神経科・心療内科・小児科などで心理相談に応じています。緩和ケア、慢性疾患、高齢者の医療などの場においても、患者本人や家族の心理相談を行っています。また、精神保健福祉センターや保健センターでは、引きこもりの家族相談やアルコール・薬物依存症の家族教室などを行っています。

2.教育
 学校ではいろいろな事情で登校が難しかったり集団行動に困難のある生徒やその保護者の心理相談に応じています(スクールカウンセラー)。また、教育センターでは、生徒や保護者の心理相談を行うほか、適応指導教室での指導も実施しています。

3.福祉
 子育て支援の場絵では、発達の相談や子育ての支援に携わります。そのほか、虐待やDV被害を克服するための相談、障害を持った子供や大人への療育・相談や支援も行います。

4.大学・研究所
 臨床心理学の研究・臨床心理職の要請を行うほか、多くの機関では学生相談室や臨床心理センターなどが併設されており、学生や地域住民の心理相談に応じています。

5.司法・法務・警察
 家庭裁判所では少年事件や家事事件に調査官としてかかわります。鑑別所では少年の特性を踏まえた処遇を検討し、刑務所でも臨床心理士が受刑者にカウンセリングをしたり、集団両方を実施したりします。警察では、少年非行に関する相談を受けているほか、犯罪被害者への支援も行っています。

6.産業・労働
 厚生労働省は職場におけるメンタルヘルス対策を推進しようとする机上に対し、支援専門化が取り組み方法などを助言・指導する「メンタルヘルス対策支援事業」を実施しています。また、臨床心理士会は、日本経団連、東京経営者協会と業務提携を結び、メンタルヘルス対策を進めています。

7.施設心理相談室
 臨床心理士が、個人または組織で運営している心理相談機関です。自分のこと、家庭のことなど、種々の心理的な悩みや課題の解決に向けてクライエントとともに取り組み、その人間的成長を支援します。

 主な業務内容がわかったところで、臨床心理になるにはどうしたらよいのでしょうか。臨床心理士になるには、「一般社団法人 日本臨床心理士会」が行う資格試験に合格しなければなりません。じつは、私達臨床心理士はまだ国家資格ではありません。「まだ」ということは・・・これから国家資格になるんです。国家資格になると臨床心理士から公認心理士に変わります。詳しいことは今回は置いておき、臨床心理士になるための過程について紹介したいと思います。先ほど名前が出てきた「日本臨床心理士会」により義務付けられているのですが、大学卒業後の過程が3つのパターンにわかれます。

1.第一種指定大学院→一次試験(マークシート・論述)→二次試験(面接)
2.第二種指定大学院→実務経験1年 →一次試験→二次試験
3.専門職大学院→一次試験(一部論述のみ)→二次試験

 資格試験は1年に1度行われます。また、資格取得後も5年おきに資格更新があり、その為には学会などに出席してポイントを貯めなければならないなど、さまざまな規約があります。

 私たち臨床心理士について少しでも興味を持っていただけたでしょうか。最初にお伝えしたように、当院では3名の臨床心理士が在籍しております。臨床心理士について、心の問題についてなど何か気になることがあれば、お気軽にお声がけください。

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タバコ

今年度は数種類が軽減措置廃止となったタバコ税ですが、この先また増税の可能性が非常に高い嗜好品の一つですね。
増税前に禁煙をしようと思っている方もみえるかと思いますが、タバコは辞めようと思ってもなかなかやめられないと思います。それはタバコの煙に含まれるニコチンという薬物成分が繰り返しからだに吸収されることで、ニコチンをいつも欲する状態になるからです。それがニコチン依存症です。下記のスクリーニングテストでチェックをし参考にしてみてください。

ニコチン依存症のスクリーニングテスト「TDS(Tabacco Dependence Screener)」

設問内容               はい(1点)  いいえ(0点)
1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多く煙草を吸ってしまうことが
ありましたか?
2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありまし
たか?
3 禁煙したり本数を減らそうとした時に、煙草が欲しくて欲しく
てたまらなくなることがありましたか?
4 禁煙したり本数を減らした時に、次のどれかがありましたか?
  (イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱、頭
痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲また
は体重増加)
5 4で伺った症状を消すために、また煙草を吸い始めることが
ありましたか?
6 重い病気にかかったときに、煙草はよくないとわかっている
のに吸うことがありましたか?
7 煙草のために自分に健康問題が起きているとわかっていて
も、吸うことがありましたか?
8 煙草のために自分に精神的問題が起きているとわかってい
ても、吸うことがありましたか?
9 自分は煙草に依存していると感じることがありましたか?
10 煙草が吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度
かありましたか?

上記の設問で5点以上を獲得した方はニコチン依存症の可能性が高いといえます。

メリットだらけの禁煙
禁煙は始めた直後より多くのメリットがある為、長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。

禁煙を始める
直後→周囲の人を煙草の煙で汚染する心配がなくなる
20分後→血圧と脈拍が正常値まで下がる。手足の温度が上がる。
8時間後→血中の一酸化炭素濃度が下がり、酸素濃度が上がる。
24時間後→心臓発作の可能性が少なくなる。
数日後→味覚や嗅覚が改善し、歩行が楽になる。
2週間~3ヶ月後→心臓や血管など、循環機能が改善する。
1~9ヶ月後→咳や咳鳴が改善し、スタミナが戻る。気道の自浄作用が改善し、感染が起こりにくくなる。
1年後→肺機能の改善がみられる。
2~4年後→虚血性心疾患のリスクが喫煙を続けた場合に比べ35%減少。脳梗塞のリスクも顕著に低下。
5~9年後→肺がんのリスクが喫煙を続けていた場合に比べ明らかに低下。
10~15年後→様々な病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づく。

どのようにして禁煙するか
・喫煙と結びついている行動を控える
・タバコを吸っている人が集まる場所を避ける
・吸いたくなったら喫煙に代わる行動をとる(深呼吸、水やお茶を飲む、歯磨き、散歩、ストレッチ)

自力での禁煙が難しい方は、禁煙外来を受診したり、禁煙補助薬を使うなどするとよいでしょう。健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件」は下記の如くです。

1 ニコチン依存症を診断するテスト(上記のもの)で5点以上
2 (35歳以上の人)1日の平均喫煙本数✕これまでの喫煙年数=200以上
  ※35歳未満の人は2016年4月以降に「喫煙本数✕喫煙年数」の要件がなくなりました
3 1ヶ月以上禁煙を始めたいと思っている
4 禁煙治療を受けることを文書で同意している

このように今年度より保険適応の対象者が拡大した為に、若者も禁煙外来を受診しやすくなると考えられます。当院では禁煙外来は行っておりませんが、北区内でもいくつかの医療機関で禁煙外来を行っております。詳しく知りたい方は職員までお尋ねください。

参照:日本循環器学会,日本肺癌学会,日本肺学会:禁煙治療のための標準手順書第2版(2007)、名古屋市医師会 放っておくと怖いタバコ、ファイザー株式会社 すぐ禁煙.jp

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院長より

 日増しに暖かさが増し、春の訪れを感じる時期になりましたが、この季節の寒暖の差は自律神経のバランスを乱し、様々な症状が悪化しやすくなります。皆様もご自愛の上、気になる症状がありましたら、ご相談下さい。
 私自身、スポーツにはほとんど興味がありませんが、今年はうるう年でオリンピックイヤーですから、毎日のようにスポーツの話題が出てきます。今回も様々なドラマが生まれるのでしょうね。今回も前回の冬季オリンピック同様、開催場所の関係で、リアルタイムの中継は夜中になると思われますので、夜中に起きて熱心に応援し、寝不足になる方がいらっしゃると思いますが、くれぐれもほどほどにしてください。
 さてまたこの4月には診療報酬の改定が行われます。前回改定の目玉の一つであった安定剤多剤投与抑制が、今回はより厳しい規制に変わるようです。多剤投与イコール悪とは思いませんが、国がそのように考えるようになったのなら従わないといけませんし、その根拠を聞くと一理あり、実際に減らすことができている例が多数あります。そのため、今まで以上に薬の量を減らしていこうと考えていますので、ご協力をお願いいたします。

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