院長より

 沖縄はすでに梅雨明けとなりましたが、名古屋はまだ梅雨の真っ最中です。急に発達した積乱雲によって、局所的な大雨となり、大きな被害をもたらす場合もあり、今年も注意が必要です。特に今年はまだ台風が発生しておらず、このような年は複数の台風が同時期に発生する傾向があるそうで、こちらも注意が必要です。そしてこの時期は寒暖の差が大きいので、自律神経のバランスが乱れやすく、精神的にも不安定になりやすいので、ご注意ください。もし身体や心の不調をお感じになった際には当院にてご相談ください。

 まもなく参議院選挙です。今回の選挙から18歳以上に選挙権が与えられ、すでに一部の若者が「自分たちの未来を大人が勝手に決めるな」と期日前投票を行ったとの報道もありました。政治家は選挙に参加する人たちの方を見て仕事をします。社員をまとめて参加しようとする企業、同じく参加者をまとめる様々な組合やそのことを知っていて投票に行く高齢者などです。自分たちの未来を自分たちで決めるために、積極的に投票に行って欲しいと思います。
 イギリスがEUから脱退するとの国民投票結果が世界中を震撼させました。日本でも株価の急落、日本円の高騰など経済の先行きに暗雲が立ちこめています。しかし、脱退に賛成票をいれた人たちが後悔し始めているとの報道や、結局脱退しないのではとの意見も出てきており、まだまだ目が離せません。脱退したらこうなると描かれた世界がバラ色ではなさそうだと気付き、再投票を要求している国民がかなりいるそうです。なにも変わらない小さなものかもと思っていた自分たちの1票が世の中を変えることにつながると世界中の人が実感した出来事でした。この経験を踏まえ、これからもしっかりと目を見開いて正しい選択をして投票に行こうと思いますし、皆様もぜひそうしてください。

 この6月から電子カルテを変更いたしました。操作になれないため、ご不便をおかけしているかと思いますが、使いこなせれば有益な情報を提供できるカルテとなりますので、しばらくの間ご容赦ください。
 
 また2年前から予約診療優先システムを取り入れさせていただきましたが、最近では7、8割の方が予約してくださっています。そのため待ち時間はかなり短縮しましたので、おおむね好評をいただいておりますが、もし不具合があればその度に見直していきますので、遠慮なくご指摘ください。よろしくお願いいたします。

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レジリエンス

 みなさんはストレスというとどんなイメージをもつでしょうか?悪いものというイメージをもっている方も多いと思います。確かに、強いストレスがかかると、気分の落ち込みや不眠など、心身に不調がでることもあります。しかし、ストレスがかかった時、心身に不調が出て落ち込んでしまう方もいれば、心身に不調が出てもそこから立ち直り、そのストレスを糧として成長していく方もいます。
 ストレスのない人生はありません。また、ストレスがあるから人は成長していけるのです。今回は、ストレスを減らすのではなく、ストレスの持つ力に着目し、成長の糧とする考え方を紹介します。

レジリエンスとは

 レジリエンスとは、「逆境や困難、強いストレスに直面した時に、うまく適応する過程や能力、その結果」と定義されています。レジリエンスが強い人は、不測の事態や環境変化にも対応する力が強いと言われています。レジリエンスを高めることで、自信が高まり、必要以上に不安にならなくなります。また、積極的に物事に取り組めるようになり、より自分らしく生き生きとした生活を送ることが出来るようになります。
 では、レジリエンスの高い人はどんな人で、高めるためにはどのようなことが有効でしょうか。

レジリエンスの高い人の特徴

1. 前向きに希望をもっている
 自分の未来に良いことがあるという前向きな気持ちを持ち、目標のために自分は頑張っていると思える、など、前向きな気持ちをもつことができる。

では、このような前向きな気持ちをもつためにはどのようにしたらよいでしょう。
(1)自分ならやれるという感覚をもつこと
 「自分ならできる」という思いを持ち、苦手なことにも取り組んだり、得意なことにさらに取り組むことで、「うまくできたという体験(成功体験)」を積み重ね、自信をつける。
(2)サポーターを作る
 積極的に他者と交流し、助けてくれる人を作っておく。助けてしてくれる人は誰なのかすぐに思い出せるようにしておく。

2. 感情をコントロールできている
 動揺しても気持ちを落ち着かせることができる。気持ちが落ち着かない時に、自分なりの方法でで気持ちを切り替えることができる。

では、感情をコントロールするにはどのようにすればよいでしょう。
(1)気分の動揺やマイナスの感情も、それは自然に起こることだと受け止める
 生きていれば、動揺したり、気持ちが沈み込んだりすることは誰にでもあります。それが自然なことだと受け止めるようにしましょう。
(2)マイナスのことを何度も考えることで、悪いスパイラルに入りこんでしまう流れを止める
 悪いことを何度も考え続けると、さらに落ち込んでしまいます。「適度な運動」や、「趣味(音楽を聞く、旅行に出かけるなど)」、「呼吸法などのリラクゼーション」、「誰かに相談をする、話しをする」、「思ったことを紙に書いて表面に出す」、など、気分を切り替える方法を身につける。

3. 色々なものに興味関心をもっている
ものごとへの興味関心が強く、好奇心をもって色々なことにチャレンジしたいという気持ちをもっている。大変な出来事もそれに価値があるという考え方をできる。

では、このような気持ちをもつためには、どのようなことをするとよいでしょう
(1)興味関心の幅を広げてみる
 自分が興味関心をもったものに積極的にチャレンジしてみる。
(2)これまで苦手、無理だと思っていたことにも、まずは挑戦してみる
 苦手だ、出来ないと思ってやらずにいたことに、挑戦してみるとよいでしょう。無理はしなくてもよいですが、上手く出来ないと思っていたことでもやってみると意外と楽しく、価値を見いだせることもあります。
(3)これまで頑張ってきた出来事を振り返り、プラス(よい)意味を考えてみる
 これまでに、頑張って続けてきたこともあると思います。その出来事を振り返り、その中からどんなよいことがあったのか、プラスになる意味を考えることで自分の考えの幅も広がります。

以上のように、レジリエンスの強い人の特徴と、そのような行動を取るための方法をいくつかご紹介しました。とはいえ、これはいくつもある方法の中の一部に過ぎません。
あなた自身が、「自分なりに生き生きと生活できる何か」を見つけていくことが重要です。
生活の中で、これをやったら「気持ちが楽になった」「気持ちを切り替えられた」「不調から脱出できた」という出来事を見つけて、実践してみましょう。

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院長より

 2年に一度の診療報酬改定がこの4月に行われました。今回も在宅医療関連の点数がより複雑化したこともあり、疑義解釈が4月になっても出されるなど、その運用に混乱が生じています。走りながら考え、修正すると言う介護保険導入時に言われたことが医療の世界でもそのまま続いているようです。国の大事な施策を結果がどうなるのかをきちんと検証しないままはじめてしまっていいのでしょうか。何事も始める前にきちんと検証して欲しいものです。
 当院では先月終わりから診療スタイルを少し変更しました。より少ないスタッフでも今まで以上の良質な医療を提供するために考えた変更です。当初はご迷惑をかけると思いますが、良い結果になると信じています。成果が出るには数ヶ月かかると思いますが、その間よろしくお願いいたします。
 さて今年は参議院議員選挙の年ですが、衆参同時選挙もささやかれています。その結果を占うかもと言われていた北海道と京都の補欠選挙は一勝一敗でしたので、どうなるのか予測は難しいようです。今年から公職選挙法が改正され、選挙権年齢が引き下げられたため、18歳から投票できるようになりますので、より若い方の意見が反映されやすくなります。票になりやすい高年齢層に目を向けた政策から、若い世代に目を向けた政策に変わるかどうかは、新しく選挙権を与えられた世代が政治にあきらめを持たず、どれだけ選挙を通じて政治に参加するかどうかにかかっていると思います。多くの若者が選挙権を行使するよう願います。

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臨床心理士

 4月から新しいドラマが始まりましたね。その中で福山雅治さんが臨床心理士を演じられているのはご存知でしょうか。今までにもドラマの中で時々登場することがある臨床心理士ですが、日常生活の中で、臨床心理士と出会うことって少ないですよね。実は当院には3名の臨床心理士が在籍しています。では、臨床心理士とは実際にはどのような仕事をしているのでしょうか。活動領域により業務内容は多少異なりますが、主に下の4つの業務が挙げられます。

1.臨床心理査定(アセスメント)
 面接や観察によってクライエント(心の悩みや課題等を抱えて相談に来る方のことです)がどのような状況に把握したうえで、心理検査を行います。その結果によって、クライエントの特徴や心の問題点を明確にし、必要な援助を検討していきます。

2.心理カウンセリング(面接)
 アセスメントの結果を元に、カウンセリングや心理療法を行っていきます。主な心理療法にはクライエント中心療法、精神分析療法、認知行動療法があります。例えば精神分析療法の中にもクライン派、ウィニコット派など細かく分けるといくつにも枝分かれしていきます。興味を持たれた方は、ネットなどで少し調べてみると面白いかもしれないです。

3.臨床心理学的地域援助
 クライントの抱える問題は、自分一人だけでは解決できない場合もあります。必要に応じて家庭、職場、学校など周囲にも働きかけて援助を行います。

4.調査・研究活動
 より多くのクライエントのサポートができるようになるために、臨床心理学的調査や研究活動を通して知識とスキルの向上に努めます。

 以上が主な業務内容になります。活動領域により多少業務内容が異なるということを先ほどお話しましたが、それではどのような場で臨床心理士は活動しているのでしょうか。主な活動領域には以下の7つが挙げられます。

1.医療・保健
 精神神経科・心療内科・小児科などで心理相談に応じています。緩和ケア、慢性疾患、高齢者の医療などの場においても、患者本人や家族の心理相談を行っています。また、精神保健福祉センターや保健センターでは、引きこもりの家族相談やアルコール・薬物依存症の家族教室などを行っています。

2.教育
 学校ではいろいろな事情で登校が難しかったり集団行動に困難のある生徒やその保護者の心理相談に応じています(スクールカウンセラー)。また、教育センターでは、生徒や保護者の心理相談を行うほか、適応指導教室での指導も実施しています。

3.福祉
 子育て支援の場絵では、発達の相談や子育ての支援に携わります。そのほか、虐待やDV被害を克服するための相談、障害を持った子供や大人への療育・相談や支援も行います。

4.大学・研究所
 臨床心理学の研究・臨床心理職の要請を行うほか、多くの機関では学生相談室や臨床心理センターなどが併設されており、学生や地域住民の心理相談に応じています。

5.司法・法務・警察
 家庭裁判所では少年事件や家事事件に調査官としてかかわります。鑑別所では少年の特性を踏まえた処遇を検討し、刑務所でも臨床心理士が受刑者にカウンセリングをしたり、集団両方を実施したりします。警察では、少年非行に関する相談を受けているほか、犯罪被害者への支援も行っています。

6.産業・労働
 厚生労働省は職場におけるメンタルヘルス対策を推進しようとする机上に対し、支援専門化が取り組み方法などを助言・指導する「メンタルヘルス対策支援事業」を実施しています。また、臨床心理士会は、日本経団連、東京経営者協会と業務提携を結び、メンタルヘルス対策を進めています。

7.施設心理相談室
 臨床心理士が、個人または組織で運営している心理相談機関です。自分のこと、家庭のことなど、種々の心理的な悩みや課題の解決に向けてクライエントとともに取り組み、その人間的成長を支援します。

 主な業務内容がわかったところで、臨床心理になるにはどうしたらよいのでしょうか。臨床心理士になるには、「一般社団法人 日本臨床心理士会」が行う資格試験に合格しなければなりません。じつは、私達臨床心理士はまだ国家資格ではありません。「まだ」ということは・・・これから国家資格になるんです。国家資格になると臨床心理士から公認心理士に変わります。詳しいことは今回は置いておき、臨床心理士になるための過程について紹介したいと思います。先ほど名前が出てきた「日本臨床心理士会」により義務付けられているのですが、大学卒業後の過程が3つのパターンにわかれます。

1.第一種指定大学院→一次試験(マークシート・論述)→二次試験(面接)
2.第二種指定大学院→実務経験1年 →一次試験→二次試験
3.専門職大学院→一次試験(一部論述のみ)→二次試験

 資格試験は1年に1度行われます。また、資格取得後も5年おきに資格更新があり、その為には学会などに出席してポイントを貯めなければならないなど、さまざまな規約があります。

 私たち臨床心理士について少しでも興味を持っていただけたでしょうか。最初にお伝えしたように、当院では3名の臨床心理士が在籍しております。臨床心理士について、心の問題についてなど何か気になることがあれば、お気軽にお声がけください。

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