2000年5月

高脂血症
 
血液中に含まれる脂肪分が多いことをいいます。生活習慣病の一つでもあります。脂肪分の種類はいくつかありますが、その中で特に注目されているのが、【コレステロール】と【トリグリセライド(中性脂肪)】です。血液中のコレステロールが高い事を高い【コレステロール血症】、中性脂肪が高いことを【高トリグリセライド血症】といいますが、どちらも高脂血症と呼んでいます。血液中のコレステロールには、血管内や細胞にある余分なコレステロールを排除する善玉コレステロール(HDL-コレステロール)と、増えすぎると血管の中に貯まって血液の流れを悪くする悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)などがあります。これらを合わせて、【総コレステロール】といいます。総コレステロールは130mg~220mgまで、中性脂肪は30mg~150mgが基準値といわれています。これ以上の場合は高脂血症の疑いがあります。

【血液中のコレステロールが増えすぎると】
 自覚症状がない為、気づかないうちに体の中で深刻な事が起こっているのです。血液中のコレステロールが血管に貯まり血液の流れを悪くすることがあります。これを【動脈硬化】といい、動脈硬化が心臓や脳など大切な臓器の血管でおこると、 【狭心症や心筋梗塞・脳梗塞】など命にかかわったり、重い障害を残すような病気につながってしまうのです。

【高血圧や糖尿病】にかかっていると、この動脈硬化はさらに進行しやすくなります。コレステロール値は生活習慣によって随分違ってきます。コレステロール値が高い人が増えてきた原因は、食べ過ぎ・運動不足・飲みすぎなど、最近の生活習慣と大いに関係があるようです。食事や運動等、普段の生活習慣を見直してみましょう。

【高脂血症を調べるには】
血液検査によってコレステロール値を調べることができます。気になる方は、年に一度の成人健診も兼ねて、血液検査をしてみてはいかがでしょうか。

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2000年3月院長より

 院長からのお知らせ
 
いよいよ4月から介護保険が始まりますが、介護認定を受けられていてもプランを作成していらっしゃらない方が多くお見えになるようです。先日当院で行った、介護保険の勉強会でも、プランを立てることを強調してお伝えいたしましたので、いらっしゃった方は大丈夫だと思いますが、どうやってプランを立てたらいいのかわからない、どの業者に頼めばいいのか分からないなど疑問点がございましたら、遠慮なくお尋ねください。

当初より、業者が立てたプランを主治医がチェックする必要性がある事を訴え続けていましたが、ようやく行政・医師会・事業者の間で合意に達したようで、業者が立てたプランが本当に皆様方のためになるプランかどうか、私ども主治医がきちんとチェックをいたしますので安心して下さい。

賢い医者へのかかり方
 
皆様方が自分の望む医療を選択し治療を受けるには、自分の命の責任者はご自身であることを自覚していただくことが必要です。【黙って座ればピタリと当たる】なんていうのは易者さんの話で、こと医療に関しては、まれにそういう病気もありますが、医師と患者さんとのコミュニケーションなしでは的確な診断は難しく、いろいろな治療法の中から自分の望む治療を受けることなどまず出来ないでしょう。
 
医師と患者さんとが協力しあって、初めて医療が成り立つのだということを知っている方こそ【賢い患者さん】と言えます。ではどうすればそうなれるのでしょう。まず第一は、挨拶をすることから始まります。お互いにむすっとしていれば必要なことも伝えられませんし、良い治療関係を作ることは出来ません。次に必要な情報を簡潔にもれなく伝えることが大切です。しかし初めてあった医師に遠慮なく緊張もせずに話ができる方などほとんど いません。
ですからなるべくメモなどを利用しましょう。

当院では、問診票の記載をお願いしていますが、自覚症状や病歴などをゆっくり思い出しながら、余白も使ってでもきちんと書きましょう。再診の時には、お渡しした健康ノートに変化をきちんと記載し、私どもにきちんと伝えるように努力をしていただけたらと思います。そういったことの積み重ねで、私どもはより正確に皆様方個々の特徴などを知ることが出来ますので、より正確な診断や治療方法を選択することが出来ます。
お互いに協力しあって、よりよい医師と患者さんの信頼関係、治療関係が作っていけるようがんばりましょう。

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2000年3月

みなさん自分の適正体重ご存じですか?
 
適正体重(標準体重)が体に良いとよく言われます。自分の体重が適正かどうか見分けるにはどうしたらよいのでしょう。
基本的には次の3つの条件がそろっていれば適正体重と考えられます。

 1.健康であること
 2.BMIや体脂肪率が標準の範囲にあること
 3.身体活動能力が高いこと【階段を上がったときなどに息切れがしたり、
    体が重いと感じることなく活発に動き回れるなど】

  【BMI 】とは?

【BMI 】っていったい何?と思う方がたくさんだと思いますが、BMIとは標準体重を算出するさいによく用いられ、BMI(ボディ・マス・インデックス)=22となる体重を標準体重とする方式で、日本肥満学会もこの方式を推奨しています。

  【標準体重とBMIの算出法】(日本肥満学会方式)

 ・標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

 例 身長165cm・体重70㎏の場合
 標準体重=1.65(m)×1.65(m)×22≒59.9kg

 ・BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 例 身長165cm・体重70kgの場合
 BMI=70(kg)÷1.65(m)÷1.65(m)≒25.7

  【体脂肪とは?】

体脂肪とはBMIではわからないのが体のつくりです。そこで体のつくりがわかる方法として【体脂肪率】が普及してきています。現在普及している体脂肪計は、体に弱い電流を流し、体の電気抵抗を測ることで体脂肪を推定するというものです。体のほかの成分と違い、脂肪にはほとんど水分がなく、電気を通さないことを利用しています。

 【体脂肪】は・・・男性15~20%・女性20~25% 前後が【普通】で、
          男性25%以上・女性30%以上 あれば【肥満】と見なされます。

 ところで、家庭用の体脂肪計や体脂肪計付きヘルスメーターで測るとき、よくこんな声を聞きます。

 ・測る時間(朝と夜など)で数値が違う
 ・ご飯を食べた後は数値が高い
 ・立って測るのと座って測るのでは数値が違うなど

 体脂肪計は、体温や体内水分量 などの影響を受けやすく、体の状態によって数値が変動したり誤差が生じます。
そこで、体脂肪の正しい測り方を見てみましょう。
      
  体脂肪計の正しい使い方
 
いつも同じ条件で測りましょう・・・体の電気抵抗は、体の状態により微妙に変化します。 起きぬけ・食事後・水分摂取後・入浴後・運動後・飲酒後などは、体の状態が不安定なので測定には向きません。昼食の2~3時間後が最も良いとされていますが、この時間が無理なら、入浴前・就寝前などと自分で決めて、必ず同じ時刻・同じ条件で測ることをお勧めします。

正しい姿勢で測りましょう・・・体脂肪計付きヘルスメーターで測る場合出来る限り素足で測りましょう。
               しゃがんで測ったりすると数値に誤差が出ますので立って測りましょう。

数日~数週間おきに測りましょう・・・体脂肪は1日で何Kgも増減するというものではないので、毎日測っても意味はありません。数日~数週間に1回測るようにしましょう。

数値の変化を見るのに使いましょう・・・体脂肪計は、体の電気抵抗の値から体脂肪量を推定しているにすぎません。測定された値は、目安にはなるが絶対値ではないので、前回の測定値よりも増えたか減ったかを知るのに用いると良いでしょう。

 *BMIが26.4以上の人【特に30以上の人】

 *血圧・血糖値・総コレステロール値・中性脂肪値・LDLコレステロール値・尿酸値のどれかが基準値を超えたことがある人

 *体に異常がないのに、体が重いと感じたり、疲れやすい人

 *体重が増え、おなかがぽっこりと出ている人

 *特に、おなかの脂肪をつまんでみて、薄くしかつまめない人

上記に書かれている項目に当てはまる方は、現在の体重が適正体重の範囲を超えていると思われる方です。体重は2~3kg落とすだけでも代謝はかなり改善されるので、1日30分程度の有酸素運動をしたり、食生活を少し見直して適正体重に近づけてみませんか?

  【有効な有酸素運動】

 ・自転車(一定のペースを保って行うと効果的です)

 ・ウォーキング(少し汗をかくぐらいの早さで)

 ・水泳(どんな泳ぎ方をしても効果があり、また水中を歩くだけでも効果は得られます)

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2000年3月心理室より

心理室より  自律神経失調症
 
 頭が重い・めまいがする・下痢や吐き気が続くなどの症状があるのに、検査をしても異常がないなど【正常です】といわれることがあります。この自律神経失調症とはどういう病気なのでしょうか?自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れていろいろな症状が起こっている状態を総称しています。

  【自律神経とは何でしょうか?】 
 自律神経とは、人間の活動をつかさどる神経の中で、心臓や胃を動かすといった自分の意志とは関係なく自動的に働いている神経を言います。この自律神経には【交感神経】と【副交感神経】があります。通常は脳の視床下部という司令塔がこの2つの神経を周期的に切り替えて、バランスよくコントロールしているのです。正常に保つにはこの切り替えが重要なのですが,バランスが崩れると自律神経の機能は低下してしまいます。
では自律神経の機能について見ていきましょう。

  【交感神経の働き】
 交感神経は主に血流ルートを司る神経です。心臓を起点に手足の末端から脳 まで全身の血管に必要な量の液を送り、活動するための緊張を促します。交感神経の基本機能としては、以下のとおりです。

 1.呼吸、心拍数の調節 ⇒人が体を動かした時、息があがって心臓がドキドキしてくる。
 2.脳への血流の調節 ⇒どんな姿勢でも、頭部への血流が途切れず、行き過ぎない。
 3.体温や汗の量の調節⇒血流の変化で体温や汗の量を調節して、体の隅々まで必要な血液を運搬しつづける。

  【副交感神経の働き】
 主に消化ルートを司る神経です。胃液の量や腸の運動調節することで、より効率的な栄養補給が出来るように働いてます。
また交感神経とは逆の、緩和を促す神経でもあります。

 副交感神経の基本機能は次のようになります。

 1.食べ物の消化・排泄を調節⇒食事、消化、排泄と続く食べ物の流れに関する指令を出す。

 この2つの自律神経の乱れからくる体調不良は不定愁訴という名で総称されています。

 自律神経の機能は内臓機能を調節しているものが多いので、多様な症状とその症状が2つの神経ルートにまたがって、重なり合って出て来るという特徴があります。この不定愁訴が習慣化されたのが、【自律神経失調症】なのです。

  【自律神経機能低下の原因】

 1.緊張の過剰(交感神経の働き過ぎ)
  * 朝寝坊・通勤ラッシュ・渋滞
  * 子供を叱る・母親に怒られる・人の目が気になる
 このような状態になると心がドキドキしたり、いらいらしたりしますよね。このような体だけでなく、心の緊張過剰からも起こります。ドキドキやイライラ以外にもクヨクヨ悩みすぎたり、必要以上にビクビクする状態が続くと緊張過剰へとつながります。

 2.休息の不足(副交感神経の機能低下)
  *食事時間が不規則・睡眠不足など
 きちんと食べなかったり十分な睡眠や休憩をとらないと、副交感神経の機能がダウンし、緩和不足へとつながります。これらを続けていると消化ルートが乱れて、腹痛や下痢などの症状につながります。以上のような緊張と緩和のアンバランスが自律神経失調症を招く事になります。これらは心理的ストレスや、環境の変化、加齢などの影響も大きいといわれています。

  【自律神経失調症を予防するには?】

1.生体リズムを整える・・・人間の体は12時間 を目安に交感神経と副交感神経が切り替わり休息に入ります。
            その為、12時間を越えた労働はリズムを崩す原因となります。
            そして、仕事や作業中の緊張を緩和させるのも大切です。

 切り替えのポイント
・時間・・・労働時間60分で一回休憩するようにしましょう。
・飲み物・・・カフェインは交感神経を刺激するので朝食や仕事始めの時に、また杜仲は副交感神経を活発にする成分が含まれているので休憩時に飲みましょう。仕事をはじめる時はコーヒー・紅茶・緑茶(煎茶・玉露)など、休憩の時は麦茶・杜仲茶(カフェインの入っていないもの)も効果的です。
・深い呼吸は交感神経の緊張を解いて、副交感神経を少し活発にします。

2.睡眠・・・睡眠は最も副交感神経が働く時間。いかに上手く睡眠に入るかがポイントです。
  ・食事・・・胃に食べ物が残っていると睡眠の妨げになります。食事は寝る3時間前までにすませるようにしましょう。
  ・入浴・・・37~40℃のお湯に30分ほど浸かるのが副交感神経の働きを促します。お風呂から出て少し体の火照りを取ってから眠るのが良いでしょう。

3.ストレスの発散・・・ストレスがたまると、常に緊張した状態にさらされています。いかにこのストレスを発散していくかがポイントです。これは人それぞれ違いますので一概には言えませんが、自分なりの趣味を見つけることも大事です。一番良いのは人とおしゃべりして誰かに悩みを聞いてもらうことではないでしょうか。

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