2010年11月

モラル・ハラスメント
 最近、企業の「新卒切り」という言葉をテレビなどでよく耳にするようになりました。4月の入社時期の前後、内定している学生や新入社員がパワハラまたは理不尽な要求をされ、退職を迫られることをいいます。
そこで、職場におけるハラスメントについてお伝えしたいと思います。職場におけるハラスメントに、「パワー・ハラスメント」、「セクシャル・ハラスメント」、「モラル・ハラスメント」があります。その中の「モラル・ハラスメント」について、今回は取り上げます。職場のモラル・ハラスメントは、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることである」と言われています。
具体的には、居づらい雰囲気にさせるなどの精神的ないじめ・嫌がらせ等を指します。周りからは些細なことのようにみえる行為でも、繰り返し行われることで、想像以上の精神的苦痛をもたらします。「無視をする」「理不尽な扱いをする」「見下す」「否定する」など、ひとつの行為自体は他人から見たら些細なことであるため、周りの人に理解してもらえないと感じたり、または「自らの性格の問題」とされてしまうこともあります。何を言っても、加害者から否定されることが続くと、いつのまにか自分の感覚に自信が持てなくなり、「自分自身の感覚が信じられなくなる」ということも起こるかもしれません。何をしても、居づらい雰囲気に追い込まれてしまうモラル・ハラスメントの場合、それがハラスメントであるということに気がつかずに、いつのまにか自分の感覚がおかしくなってしまっています。
長期にわたるモラル・ハラスメントのストレスによって、多くの被害者の方が、徐々に、自律神経の乱れをきたし、心身のバランスを崩してしまい「不眠症」「胃痛」「生理不順」「過食」「食欲不振」「髪が抜ける」といった心身症、そして、「うつ病」や「神経症」の精神疾患を経験しています。その結果として、休職や退職に追い込まれてしまうこともあります。
思い当たることがある方は、一人で抱え込まずに医療機関にかかるなどされてみてはいかがでしょうか。

カテゴリー: 201011, 心理室より パーマリンク