2008年3月院長より

今年は2月末になってもまだ寒い日が多く、みぞれや雪が降ったりしています。寒暖の激しい時期には風邪をひいたり、自律神経のバランスを崩して、様々な症状が出やすくなります。くれぐれもお気をつけになってください。

 この4月から新しい診報酬制度が始まりますが、基本は、2003年3月に決まった「医療制度改革の基本方針」に従ったもので、いわゆる「骨太の方針2006」で示されております。これによりますと医療費適正化計画では2011年までの5年間で社会保障費を、1.1兆円削減することになっていますが、この方針は、財政再建諮問会議が決めたことで、小泉政権の集大成というだけではなく、1993年の宮澤・クリントン日米首脳会談以来存在する「年次改革要望書」に基づいたものです。本来、日本人の美点は、中間層を中心とする仲間意識にあり、これを保持するのに必要な医療や教育のセーフティーネット
は守る必要があるのにも関わらず、米国の要求のまま、闇雲に医療費削減政策を続けているため、受診者の自己負担金が増加し、医療保険で受けられる医療の範囲が制限され、医療を従来のように受けられない人々が増え、そこから実感された格差社会が国民の不安を増大させました。
 そのような時代背景で行われた今回の診療報酬改訂では、急遽、後期高齢者医療制度の保険料徴収を先送りし、勤務医の負担軽減策を検討するなどの対策を打ち出してきましたが、いずれも小手先の対応であり、「骨太の方針2006」を見直すものではありません。締め付けるターゲットを病院から診療所に変えただけで、本質的な医療費削減計画は何ら変わっていないのです。
 加速度的に悪化の一途をたどっている医療環境を、自分たちの愚策の結果だと思っていない官僚や政治家、それを「抵抗勢力」「圧力団体」として官僚の発表のまま「医師会」「開業医」の責任のように検証もせずに書き続けるマスメディアの方たちは、どこまで悪くなったら改めることを考えてくれる
のでしょうか。
 皆様の健康を皆様の側に寄り添って守ろうとしている我々医療従事者団体にどうかお力をおかしください。    

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