達成欲求と親和欲求
【職場で求められるタイプとは?】
職場にはいろいろなタイプの人が働いています。どういう人が職場で求められているのでしょうか?
今回は職場で求められるタイプについて「欲求」を焦点にお話ししたいと思います。
「欲求」にはたくさんの種類があります。そのなかで大きく分けると「生理的欲求」と「社会的欲求」とにわけることができます。「生理的欲求」というのは、食欲、睡眠欲、性欲などのことを指します。一方「社会的欲求」というのは、人から認められたい、困っている人を助けたい、人や組織を動かしたいなどのように、対人関係を中心とした社会関係の中でおこる欲求のことを指します。
「社会的欲求」の中で代表的なものに「達成欲求」と「親和欲求」があります。 「達成欲求」とは、ものごとを成し遂げたいという欲求、「親和欲求」とは、人と仲良くしたいという欲求のことです。このどちらかが勝るかによって、対人関係のとり方、仕事への取り組み方など、社会生活の送り方が異なってくるのです。
●「欲求」
「生理的欲求」・・・食欲、睡眠欲、性欲など
「社会的欲求」・・・達成欲求、親和欲求など
「達成欲求」の強い人は、やりかけたことは何としても完成させたい、できるだけうまく仕上げたいという気持ちが強いでしょう。難しいことを苦労して成し遂げた時の喜びを知っているため、困難な課題を前にして躊躇するよりも、よし挑戦してみようという積極的な姿勢が取れるのです。
このような、「達成欲求」の強い人は、職業生活に積極的に取り組む素質をもっているといえます。ただし、自分の仕事の意義がつかめなかったり、毎日単純作業の繰り返しだったりすると、このタイプは不完全燃焼に陥りやすくなります。決められたことを一定の手順でこなしていけばよいというような単純なことでは満足できません。ですから、仕事の分業化、単 純化が職場に浸透している場合、このタイプは仕事に大きなやりがいを求めるがゆえに不満を持ちやすくなります。 また、「達成欲求」の強い人は、課題そのものだけではなく、他人に対してもチャレンジ精神が旺盛で
あることが多いと言われています。つまり、競争心が強いのです。ですので、チームプレーが苦手な人が多いと思います。自分の力でどこまで達成できるのかにこだわりすぎてしまうのです。それと同時に能率の悪い中間を見るとイライラしてしまいます。
一方、「親和欲求」の強い人は、周囲の人とうまくやっていきたいという気持ちが強いと言われています。サークル活動などでも、技術そのものの向上よりも、親しい仲間がいるということが参加の主な動機となります。職場でも仕事そのものよりも人間関係に対する関心が強いのです。
つまり、「親和欲求」の強いタイプは、職場の人間関係の調整役としての能力を備えているといえるでしょう。他人に対して暖かい心配りができるのです。雰囲気作りには欠かせないタイプですが、和気あいあいの雰囲気に浸るばかりでは、仕事の能率という点で人のお荷物になりかねません。
また、親しい仲間と一緒でないと落ち着かないところがあるので、一人で課題をこなさなければならない仕事には不安があり、消極的な姿勢をとりやすいと考えられます。
このように見てくると、仕事への意欲十分の「達成欲求」タイプと、仲間との情緒的つながりを重視する「親和欲求」タイプでは、正反対のイメージを抱かれるかもしれません。しかし、これらの欲求は一人の人の中に両方持ちあわせています。ただ、そのバランスは人によって様々です。その中で、物事をやり遂げたいという意欲と、仲間意識も強く和を重んじるバランスの良いタイプが、職場で求められるタイプなのではないでしょうか。