2005年9月

ウイルス性肝炎
【ウイルスマーカー】
 ウイルスマーカーとは、ウイルス肝炎診断の検査です。今、一般的に調べられているのは、A,B,C型肝炎ウイルスです。

○IgM-HA抗体
 A型肝炎ウイルスに感染した時に、診断のために測ります。感染してから、約1~2ヶ月間存在します。陽性は、A型肝炎です。

○HA抗体(IgG-HA抗体)
 以前にA型肝炎ウイルスに感染したかどうかを調べます。これが陽性だと、以前にA型肝炎ウイルスに感染して抵抗力があるということです。つまり、治癒後は感染しにくいということになります。

○HBs抗原
 これが陽性だと、B型肝炎ウイルスに感染しています。おおまかに言うと、ウイルスがいるかいないかを調べます。

○HBs抗体
 これが陽性だと、B型肝炎ウイルスに感染したことがあり、今は抵抗力があるということです。わかりやすく説明しますと、ウイルスがまだいるのか、もう治ったのかを調べます。

○HBe抗原
 B型肝炎ウイルスの増殖期に陽性になり、慢性期には陰性になります。ウイルスが活動期か活動期でないのか、増えているのか増えていないのかを調べます。

○HBe抗体
 慢性期、回復期に陽性となる。治癒後は陰性、陽性両方あり得ます。

○HBc抗体
 B型肝炎ウイルスキャリア(持続的に長期に体内にウイルスがいる人)の場合、高くなります。ウイルスキャリアでない場合は低いです。ウイルスキャリアでも、治癒すれば低くなります。

○IgM-HBc抗体
 ウイルスキャリアでない人が感染したとき、陽性となります。治癒していれば陰性となります。キャリアかどうかを調べることができます。

○HBV-DNA
 ウイルス量を調べることができます。

○HCV抗体
 陽性波ウイルスに感染しているか、以前にC型肝炎ウイルスに感染して治ったということです。ウイルスがいない場合は、陰性となります。

○HCV-核酸同定
 陽性は、現在ウイルスに感染しています。ウイルスがいるかいないかを調べます。

○HCV-核酸定量
 ウイルス量を測定します。

○HCVコア抗体
 ウイルス量と相関が高く、ウイルスがたくさんいるか少ないかを調べます。

【ワ ク チ ン】
 現在ワクチンがあるのは、A,B型肝炎ウイルスだけです。
A型は、国内では流行はありませんが、東南アジアなどではありますので、警戒地域に長期滞在予定の方は接種をお勧めします。ほぼ100%抗体を獲得します。副作用は、全身倦怠感、注射部位の痛み発赤、発熱などがみられます。
 B型は、B型肝炎の母親から生まれたお子様、家族にB型肝炎の方がおられる方、血液を扱う方などに接種をお勧めします。約70%抗体を獲得します。副作用は、注射部位の痛み、痒み、全身倦怠感などです。
 

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2005年7月院長より

今年の梅雨の前半はほとんど雨が降らず、各地のダムの貯水率低下が心配です。6月末の新聞によりますと名古屋市も水道水の圧力を下げて節水に導く対策を始めたようで、各家庭でも節水を心がけることが肝要のようです。また、暑い日が続いておりますが、エアコンの使いすぎを含め、電気の使いすぎにも十分ご注意ください。

 6月中旬、政府の経済財政諮問会議は「骨太の方針2005」を発表し、新聞各社が社説や特集記事などで解説や意見を発表いたしました。論調の主体は社会保障費が増加し続けているから、抑制が必要だ、医療など給付費抑制の方向は当然だ、というものでした。その中で、英国は医療費の支出を管理する方策をとろうとしたが、失敗し、現在は医療費を増加させる政策をとっており、こうした事例からも学ぶ必要があると紹介しているのは毎日新聞だけだったのが非情に残念です。英国は先進七カ国中、対GDP比の医療費水準が日本と同程度で最低ランクの国でしたが、これではダメだと医療費を増加させる政策に転じました。

 では、どんなところがダメだと評価されたのでしょうか。
 一つは待ち時間が長すぎるという問題点です。日本では「3時間待ちの3分診療」と言われていましたが、英国では「3日待ち」の状態です。また給料が少なく、労働が過重なので、医療職の人々がどんどん他の国に逃げ出してしまうため、深刻な人手不足になってしまったとも言われています。日本でも診療科目によっては同様の人手不足のために、診療科を閉鎖するところも出てきています。私どもは、日本が英国のようになってしまい、日本から逃げ出さないといけない日が来てしまうことを恐れています。
 間近に迫っているにもかかわらず、実際にそういう日がこないと医療費水準を上げ、人手をもっと増やすべきだという議論を新聞各社はしてくれないのでしょうか。 私どもが安心して医療を行い、皆様が安心して医療を受けられるように、間違っている政策にはどんどん反対していきましょう。

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2005年7月心理室より

ハロー効果
今回は人のイメージについてお話したいと思います。
 人はそれぞれの人生経験から、他の人に対して、漠然としたイメージを作ることが多いようです。外見や職業、行動の特徴など、他者の様々な情報を処理して「この人はこういう人ではないかな」と自分の中でイメージを作っていくのですが、このイメージ作りにはいくつかの傾向がみられるようです。

 まず、『ハロー効果』というものがあります。これはある人がとても良い(悪い)一面を持っていると感じることで、全く関係のない別の一面までもが良い(悪い)のではないかと思ってしまうことです。例えば、相手の器量のよさに目がくらんで、きっと頭も良いのだろうと思ってしまうようなことです。 また、他にも、これまでの過去の経験からAという特徴にはBという特徴が結びつきやすくなっているということもあります。
 例えば、派手な格好を好むだらしのない友人と親しくしていた人が、新たに、全く関係のない、派手な格好を好む人と出会った時に、この人はきっとだらしのない所があるのではないかと思いやすいということです。

さらに、社会や集団に対しても「きっとこうに違いない」という期待をして、個人差には目をつむった、型にはまったイメージ作りをしやすいということもあります。例えば、○○会社に勤めている人は皆真面目だろう、といったことです。中の一人一人はそれぞれの違った個性を持っているのに、まとめて決めつ けてしまうことです。

 これらの人に対するイメージの作り方は、もしかするとその人そのものとは違った、歪んだ思い込みを持つきっかけとなっているかもしれません。白紙の状態から人を理解していこうとすることは時間がかかり、考えれば考えるほどわからなくなってくることもあるでしょう。そのため、人は思考を節約して、自分の経験を生かした判断をすることが多いのです。

 この作業は、たくさんの人と関わりあいながら生活していくために必要な能力でもあるのです。しかし、決め付けたとらえ方に頼ってしまうと事実を見過ごしてしまう恐れもあります。決め付けないで柔軟に相手を見ていくということも大切なのではないでしょうか。違う一面をみつけた、新たな発見が新鮮だったなど、誰かをよりよく知っていくことはその人により近づけて親しみを持てたり、さらには自分を知ってもらうことにもつながっていくのではないかと思います。

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2005年7月

あんみつ
 『あん』、『蜜』、『寒天』、『赤えんどう』、『求肥』、『みかん』 ここから何を連想するでしょうか?「あんみつ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?今月は、暑くなるこの季節にピッタリのあんみつについて紹介します。

○あんみつの歴史
 「あんみつ」は「みつ豆」から生まれた!
 「あんみつ」という食べ物は「みつ豆」から生まれたレパートリーの一つで、「みつ豆」が無ければ「あんみつ」はこの世に存在しなかったと言われています。その昔、赤エンドウ豆に蜜をかけて食べていた時があり、やがてそれに寒天が入り、「みつ豆」ができたそうです。すごいのはそこにあんこを入れた人がいて、「あんみつ」としてブレークしたわけです。

○みつ豆のバリエーションには次のようなものがあります
・「みつ豆」にフルーツをのせたのがフルーツみつ豆。
・「みつ豆」に白玉をのせたのが白玉みつ豆。
・「みつ豆」にアイスクリームをのせたのがクリームみつ豆。
・「みつ豆」にあんこをのせたのがあんみつ。
・「みつ豆」にあんこと白玉をのせたのが白玉あんみつ。
・「みつ豆」にあんことアイスクリームをのせたのがクリームあんみつ。
・さらに「みつ豆に」あんことアイスクリームと白玉がのったのが白玉クリームあんみつ。
・そして「みつ豆」にあんことアイスクリームと白玉とフルーツがのったのがフルーツ白玉クリームあんみつ。
といった具合です。

○そもそも、「あんみつ」のもととなった「みつ豆」はいつからあったのでしょうか?
「みつ豆」は現在も東京浅草でお店を開いている「舟和」さんが明治30年代初めに作ったのが最初と言われています。明治30年代といえば、文明開化が叫ばれていた時期で、モダンな銀の容器に寒天とパイナップル、あんず、みかん、求肥をのせて蜜をかけ、さらに銀のスプーンを添えて出していたそうです。
 この舟和さんの「みつ豆」の原型となったといわれているのが、江戸時代末期にあった、白米の粉を練った新粉餅と赤えんどう豆を混ぜ、それに蜜をかけた食べ物だと言われています。

○では、ここからが本題です。「みつ豆」を進化させた「あんみつ」はいつからあったのでしょうか?
「みつ豆」にあんこをのせた「あんみつ」は、現在も銀座五丁目でお店を開いている「若松」さんが最初だと言われています。
「若松」さんは明治27年に上野で和菓子屋をしていた森半次郎氏が銀座にお汁小屋を開業しスタートしました。その二代目が自慢の「自家製あん」を生かした食べ物はないかと知恵をしぼって考案したのが、「みつ豆」に「あん」をのせたものでした。
この食べ物は二代目の思惑通り大評判になり、あっという間に広まったそうです。これが現在の「あんみつ」の始まりと言われています。

この大ヒット商品となった「あんみつ」を、若松さんは専売特許にしないで、他の甘味やさんにも広めたそうです。このことにより日本全国どこでも「あんみつ」が食べられるようになったと言われています。

○家庭で簡単にできる「あんみつ」をさらに美味しく食べる方法
【クリームあんみつ】
市販のあんみつに、100円位で売っているカップアイスをスプーンですくって、あんみつの上に乗せる。あんこと黒みつにアイスクリームが絶妙に絡み合って寒天のうまさを引き出してくれます。専門店の甘味処のクリームあんみつに負けない味のあんみつが出来上がります。

アイスクリームを買いに行くのが面倒だという方には・・・
「コーヒーフレッシュ」を使ってみてはいかがでしょう? 賛否両論がありそうですが、コーヒーフレッシュ一個を、あんみつの上からふりかけるだけで、あんみつがとても美味しくなります。濃厚な味がお好きな方にはオススメです。

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