2005年7月院長より

今年の梅雨の前半はほとんど雨が降らず、各地のダムの貯水率低下が心配です。6月末の新聞によりますと名古屋市も水道水の圧力を下げて節水に導く対策を始めたようで、各家庭でも節水を心がけることが肝要のようです。また、暑い日が続いておりますが、エアコンの使いすぎを含め、電気の使いすぎにも十分ご注意ください。

 6月中旬、政府の経済財政諮問会議は「骨太の方針2005」を発表し、新聞各社が社説や特集記事などで解説や意見を発表いたしました。論調の主体は社会保障費が増加し続けているから、抑制が必要だ、医療など給付費抑制の方向は当然だ、というものでした。その中で、英国は医療費の支出を管理する方策をとろうとしたが、失敗し、現在は医療費を増加させる政策をとっており、こうした事例からも学ぶ必要があると紹介しているのは毎日新聞だけだったのが非情に残念です。英国は先進七カ国中、対GDP比の医療費水準が日本と同程度で最低ランクの国でしたが、これではダメだと医療費を増加させる政策に転じました。

 では、どんなところがダメだと評価されたのでしょうか。
 一つは待ち時間が長すぎるという問題点です。日本では「3時間待ちの3分診療」と言われていましたが、英国では「3日待ち」の状態です。また給料が少なく、労働が過重なので、医療職の人々がどんどん他の国に逃げ出してしまうため、深刻な人手不足になってしまったとも言われています。日本でも診療科目によっては同様の人手不足のために、診療科を閉鎖するところも出てきています。私どもは、日本が英国のようになってしまい、日本から逃げ出さないといけない日が来てしまうことを恐れています。
 間近に迫っているにもかかわらず、実際にそういう日がこないと医療費水準を上げ、人手をもっと増やすべきだという議論を新聞各社はしてくれないのでしょうか。 私どもが安心して医療を行い、皆様が安心して医療を受けられるように、間違っている政策にはどんどん反対していきましょう。

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2005年7月心理室より

ハロー効果
今回は人のイメージについてお話したいと思います。
 人はそれぞれの人生経験から、他の人に対して、漠然としたイメージを作ることが多いようです。外見や職業、行動の特徴など、他者の様々な情報を処理して「この人はこういう人ではないかな」と自分の中でイメージを作っていくのですが、このイメージ作りにはいくつかの傾向がみられるようです。

 まず、『ハロー効果』というものがあります。これはある人がとても良い(悪い)一面を持っていると感じることで、全く関係のない別の一面までもが良い(悪い)のではないかと思ってしまうことです。例えば、相手の器量のよさに目がくらんで、きっと頭も良いのだろうと思ってしまうようなことです。 また、他にも、これまでの過去の経験からAという特徴にはBという特徴が結びつきやすくなっているということもあります。
 例えば、派手な格好を好むだらしのない友人と親しくしていた人が、新たに、全く関係のない、派手な格好を好む人と出会った時に、この人はきっとだらしのない所があるのではないかと思いやすいということです。

さらに、社会や集団に対しても「きっとこうに違いない」という期待をして、個人差には目をつむった、型にはまったイメージ作りをしやすいということもあります。例えば、○○会社に勤めている人は皆真面目だろう、といったことです。中の一人一人はそれぞれの違った個性を持っているのに、まとめて決めつ けてしまうことです。

 これらの人に対するイメージの作り方は、もしかするとその人そのものとは違った、歪んだ思い込みを持つきっかけとなっているかもしれません。白紙の状態から人を理解していこうとすることは時間がかかり、考えれば考えるほどわからなくなってくることもあるでしょう。そのため、人は思考を節約して、自分の経験を生かした判断をすることが多いのです。

 この作業は、たくさんの人と関わりあいながら生活していくために必要な能力でもあるのです。しかし、決め付けたとらえ方に頼ってしまうと事実を見過ごしてしまう恐れもあります。決め付けないで柔軟に相手を見ていくということも大切なのではないでしょうか。違う一面をみつけた、新たな発見が新鮮だったなど、誰かをよりよく知っていくことはその人により近づけて親しみを持てたり、さらには自分を知ってもらうことにもつながっていくのではないかと思います。

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2005年7月

あんみつ
 『あん』、『蜜』、『寒天』、『赤えんどう』、『求肥』、『みかん』 ここから何を連想するでしょうか?「あんみつ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?今月は、暑くなるこの季節にピッタリのあんみつについて紹介します。

○あんみつの歴史
 「あんみつ」は「みつ豆」から生まれた!
 「あんみつ」という食べ物は「みつ豆」から生まれたレパートリーの一つで、「みつ豆」が無ければ「あんみつ」はこの世に存在しなかったと言われています。その昔、赤エンドウ豆に蜜をかけて食べていた時があり、やがてそれに寒天が入り、「みつ豆」ができたそうです。すごいのはそこにあんこを入れた人がいて、「あんみつ」としてブレークしたわけです。

○みつ豆のバリエーションには次のようなものがあります
・「みつ豆」にフルーツをのせたのがフルーツみつ豆。
・「みつ豆」に白玉をのせたのが白玉みつ豆。
・「みつ豆」にアイスクリームをのせたのがクリームみつ豆。
・「みつ豆」にあんこをのせたのがあんみつ。
・「みつ豆」にあんこと白玉をのせたのが白玉あんみつ。
・「みつ豆」にあんことアイスクリームをのせたのがクリームあんみつ。
・さらに「みつ豆に」あんことアイスクリームと白玉がのったのが白玉クリームあんみつ。
・そして「みつ豆」にあんことアイスクリームと白玉とフルーツがのったのがフルーツ白玉クリームあんみつ。
といった具合です。

○そもそも、「あんみつ」のもととなった「みつ豆」はいつからあったのでしょうか?
「みつ豆」は現在も東京浅草でお店を開いている「舟和」さんが明治30年代初めに作ったのが最初と言われています。明治30年代といえば、文明開化が叫ばれていた時期で、モダンな銀の容器に寒天とパイナップル、あんず、みかん、求肥をのせて蜜をかけ、さらに銀のスプーンを添えて出していたそうです。
 この舟和さんの「みつ豆」の原型となったといわれているのが、江戸時代末期にあった、白米の粉を練った新粉餅と赤えんどう豆を混ぜ、それに蜜をかけた食べ物だと言われています。

○では、ここからが本題です。「みつ豆」を進化させた「あんみつ」はいつからあったのでしょうか?
「みつ豆」にあんこをのせた「あんみつ」は、現在も銀座五丁目でお店を開いている「若松」さんが最初だと言われています。
「若松」さんは明治27年に上野で和菓子屋をしていた森半次郎氏が銀座にお汁小屋を開業しスタートしました。その二代目が自慢の「自家製あん」を生かした食べ物はないかと知恵をしぼって考案したのが、「みつ豆」に「あん」をのせたものでした。
この食べ物は二代目の思惑通り大評判になり、あっという間に広まったそうです。これが現在の「あんみつ」の始まりと言われています。

この大ヒット商品となった「あんみつ」を、若松さんは専売特許にしないで、他の甘味やさんにも広めたそうです。このことにより日本全国どこでも「あんみつ」が食べられるようになったと言われています。

○家庭で簡単にできる「あんみつ」をさらに美味しく食べる方法
【クリームあんみつ】
市販のあんみつに、100円位で売っているカップアイスをスプーンですくって、あんみつの上に乗せる。あんこと黒みつにアイスクリームが絶妙に絡み合って寒天のうまさを引き出してくれます。専門店の甘味処のクリームあんみつに負けない味のあんみつが出来上がります。

アイスクリームを買いに行くのが面倒だという方には・・・
「コーヒーフレッシュ」を使ってみてはいかがでしょう? 賛否両論がありそうですが、コーヒーフレッシュ一個を、あんみつの上からふりかけるだけで、あんみつがとても美味しくなります。濃厚な味がお好きな方にはオススメです。

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2005年7月

ウイルス性肝炎
【ウイルスの感染源】
○飲食物
 肝炎ウイルスに汚染された食べ物、飲み物を介して、感染します。経口感染のA型肝炎とE型肝炎はこのような感染源で感染します。E型肝炎は極めてまれです。経口感染の肝炎は日本ではほとんどA型です。
 最近は衛生環境が良くなったので、国内での経口感染は激減しました。外国で感染する例が多く見られます。

○輸血
 肝炎ウイルスに汚染された血液輸血を受けることによって、B型、C型を中心に肝炎に感染するケースが非常に多かったです。
 現在では、献血用血液から感染血液を除くスクリーニング法が採用されたことによって、輸血後肝炎を大幅に減らすことができました。しかし完全になくなったわけではありません。

○血液製剤
 肝炎ウイルスは輸血を受けることで感染するだけでなく、血液で作られた血液製剤を介しても感染します。
 血液製剤をよく使用する血友病患者や透析者などが高い率で肝炎に感染しています。血液製剤による肝炎感染もスクリーニング法の導入によって、ほとんど起らなくなりました。

○母子感染
 出産時に起る母子感染の例が非常に多いです。母子感染で特に問題となっているのはB型肝炎ですが、実はC型肝炎にも6~8%の確立で母子感染が起っています。

○家庭内感染
 血液を介して感染する肝炎ウイルスを持った家族メンバーがいる場合、血液や血液の混じった唾液などを通じて、別の家族メンバーに感染する例があります。ただし、感染の確立がかなり低いです。

○性行為感染
 性行為は間違いなくB型肝炎、C型肝炎の感染ルートの一つです。しかし、感染のメカニズムについてはまだ解明されていません。
 ある調査によると、C型肝炎患者の配偶者の10%ぐらいが肝炎に感染したと言われています。
 

【A型肝炎】
 経口感染と言って、ウイルスの混入した水や魚介類を摂取することで感染します。
 感染すると、普通2~6週間経ってから症状が出始め、2~3ヶ月以内に治ることが多いようです。
特徴
原因:食べ物を通じての経口感染(生水、生の魚介類)
自覚症状:倦怠感、食欲不振、頭痛、関節痛など、風邪のような症状が1週間前後風邪の症状は消え黄疸が出る。尿が黄色っぽくなる。便が白っぽくなる。
治療:安静と栄養補給
予防:東南アジアやアフリカへ旅行する際に、生水、生の魚介類に気を付ける。予防注射を受ける。
慢性化:ほとんどしない。

【B型肝炎】
B型肝炎ウイルスに感染すると、発生するまでの潜伏期間は、1ヶ月から半年。肝炎の自覚症状が出た後、黄疸が起きれば2~3ヶ月から半年で治癒します。
また、肝炎ウイルスに感染しているにもかかわらず、発症しない「キャリア」と呼ばれる人もいます。(出産時から小児期に感染した場合です。)
成人してからかかったB型肝炎のほとんどは、一過性の急性肝炎で終わりますが、一部は重症化した肝炎を起こすこともあります。
B型肝炎ウイルスに感染すると、血液中にHBs抗体ができ、病気が完治したことになります。

【C型肝炎】
C型肝炎ウイルスに感染すると、2週間から、長くて4~5ヶ月の潜伏期間を経て、肝炎の症状が出現します。C型肝炎は、どんな人が感染しても慢性化するおそれがあります。
また、30~40%は、肝硬変や肝癌に進行する恐れがありますので、C型肝炎とわかった時点から、しっかりと治療しておくことが必要です。C型肝炎にも、「キャリア」が存在します。
特徴
原因:血液と体液(95%が輸血)
自覚症状:発熱、吐き気、倦怠感など風邪のような症状。しかし、A型肝炎、B型肝炎に比べるとはるかに軽い。黄疸が出るのは半数程度。
治療:安静と栄養補給
予防:予防注射、ワクチン
慢性化:慢性化する(約半数以上が慢性化)。慢性化した場合、肝硬変や肝がんに以降

  B型肝炎、C型肝炎の感染経路は血液と体液に限られているので、通常の日常生活では感染することはありません。洗濯物を一緒にする、大衆浴場やプール、同じ皿のものを食べる、ハエや蚊、握手や会話、普通のキス、咳やくしゃみ、トイレ、公衆電話等ではほとんど感染しません。
 但し、カミソリや歯ブラシなど、血液や唾液が付着する恐れのあるものは、他人と共用しないこと。
肝炎患者やキャリアの人は、乳幼児に口移しで食物を与えないよう注意が必要です。

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