2008年1月心理室より

子どものうつ

今回は、子どものうつはどのような症状が出るのかについてです。

子どものうつ病を精神症状(こころの状態)と身体症状(からだの状態)にわけると、精神症状では興味・関心の減退や知的活動能力の減退などが基本となり、身体症状では睡眠障害、食欲の変化、身体のだるさなどが基本になるとされています。

【こころの状態】
興味・関心の減退:好きなことも楽しめない。趣味にも気持ちが向かない。
意欲・気力の減退:何をするのも億劫。気力がわかない。何事も面倒。
知的活動の減退:何も頭に入らない。能率低下。集中の低下。学業成績の低下。

【からだの状態】
睡眠障害:中途覚醒(途中で目が覚める)
早朝覚醒(早朝に目が覚める)
熟睡障害(眠りが浅い)寝付きが悪い(入眠障害)
時に眠りすぎる(過眠)
食欲障害:食欲低下。体重減少(子どもの場合、期待されるような体重増加がない)
身体のだるさ:全身が重い。疲れやすい。身体の力が抜けたような感じ。
日内変動:朝が最も悪く、夕方から楽になる。

子どものうつ病は、一見するとうつ病に見えないと言われています。見るからに元気が無く、いかにも憂うつな表情でというのは、かなりの重症の場合のみで、子どものうつ病のほとんどを占める軽傷うつ病においては、むしろ穏やかに、ごく普通の表情で、時には笑顔を交えながらきちんと話をすることが
できる子どもが多いのです。周りの大人が気づかないことも稀ではありません。

 次回は、子どものうつに気づくためのポイントについて考えたいと思います。

カテゴリー: 200801, 心理室より | 2008年1月心理室より はコメントを受け付けていません

2008年1月

ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット
これは、厚生労働省 平成19年度 今冬のインフルエンザ総合対策における 標語です。

【「咳エチケット」とは】                      
○咳・くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
○呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
○咳をしている人にマスクの着用を促す。
○マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。 〈厚生労働省〉
                                                   

【現在流行しているインフルエンザ】         
現在では、A型であるH1N1亜型(一般にA/ソ連型と呼ばれます)とH3N2亜型(一般にA/香港型と呼ばれます)、B型の3種類が世界中で共通した流行型となっています。流行するウイルスの型の数と比率は、各国地域で、また、その年ごとに異なっています。〈厚生労働省〉
  
【インフルエンザ -突然の高熱はインフルエンザかも!?-】
インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症。感染を受けてから1~3日間の潜伏期間を経て、発熱(38℃以上)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然出現します。咳・鼻水などの上気道炎症状がこれに続き、一週間前後で軽快します。一方、かぜの多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。

【インフルエンザの予防はどうしたらよいのでしょう?】
○ 流行前のワクチン接種
○ 外出後のうがい、手洗い
○ 十分に栄養・睡眠をとり、体調管理をする
○ 適度な湿度を保つ (室内の湿度50~60%)
○ 人混みへの外出を避け、外出するときはマスクを着用する

インフルエンザは、かかった人の飛沫(会話やくしゃみなどで飛び出すつばなど)や、直接の接触などによって、のど、鼻、目などからウイルスが侵入し感染が拡がります。ウイルスなどの侵入の機会を少なくするためには、まず、うがい・手洗いをしましょう。

マスクをつけたり、手を洗うことは、他の人へウイルスをうつさないためにも有効です。「咳エチケット」を守りましょう。 
インフルエンザにかかったら、早めに医療機関を受診しましょう。
安静にして、睡眠を十分にとり、水分を十分に補給しましょう。

カテゴリー: 200801, その他, 病気・治療 | 2008年1月 はコメントを受け付けていません

2007年11月院長より

日一日と寒さが増していますが、皆様いかがお過ごしですか。今年のインフルエンザ予防接種はもう始まっておりますが、摂取はお済みでしょうか。予防接種をしてから抵抗力がつくのに2週間以上かかりますので、はやり始めてから急いで接種しても間に合いません。特に不特定多数の人と接する職業の方、次に年配の方、受験生の方などの順番で優先して接種すべきとされておりますし、接種時期として、遅くても11月末までには一回目を接種しておく方がよろしいようですので、ご検討ください。
 
 参議院選挙での大敗の後、自身の健康状態を理由に安倍総理が辞任し、福田総理が政権を担当することとなり、早速良い傾向が出てきました。決まっていた高齢者の負担増を半年間ほど先延ばしするというものです。法律を作り、決まったはずのことをこうも簡単に変えられるのかと驚きましたが、高齢者の方々にとっては良いことですね。これは衆議院と参議院の多数派が異なるねじれ現象の産物であり、選挙の結果といえます。自分たちの一票が日本の政治を変えたということです。近いうちにあると言われている衆議院選挙でも一人でも多く投票をし、政治に参加してくださるようお願いいたします。
 
 今進みつつある医療崩壊の原因の一つに、医師患者間の関係悪化もあると言われています。以前の医師はどんなに忙しくても、患者さんから感謝の気持ちを伝えられ、尊敬されていたからがんばってこれたのに、現在は一生懸命やっても患者さんの期待が大きすぎ、結果が期待したのと異なると罵声を浴びせられ、訴訟の恐怖に怯え、その結果、やる気が失せ、燃え尽きてしまっているそうです。その結果は医師にも患者さんにも不幸なことです。人の体は皆異なっており、神経や血管の走行、薬への反応の仕方、すべて個人差がありますから、結果は試してみないとわからないことが多く、不確実なものであることを理解していただき、一緒に病と闘っていきたいと思います。
 

カテゴリー: 200711, 院長より | 2007年11月院長より はコメントを受け付けていません

2007年11月心理室より

子どものうつ
今回からシリーズで子どものうつ病についてお届けします。

今、大人では6人に1人が生涯で1度はうつ病になると言われていますが、長い間子どものうつ病はないと考えられてきました。しかし、最近の研究では子どももうつ病になるということだけでなく、多くの子どもがうつ病や抑うつ状態にあることがわかってきています。

【小中学生のうつ傾向】
北海道の小中学生に行った調査で、全体の13.0%(小学生7.8%:中学生22.8%)がうつ傾向にあるという結果がでています。この結果は諸外国の報告と比べても高い値です。男子は中学1年から、女子は小学6年から増加し始め、女子が男子よりも急増することがわかっています。

この13%はいわゆる「うつ病予備軍」で、このうちうつ病と診断できるのは20~25%です。全体の2.6%(小学生1.6%:中学生4.6%)がうつ病であると推定されています。

ちなみにこの調査の時の大人の有病率(現時点でうつ病にかかっている人の割合)は約5%と考えられているので、中学生はほとんど大人と同じ割合でうつ病にかかっていると考えられます。

【発症年齢】
子どものうつ病の発症年齢の最年少は9歳2ヶ月という報告があります。その他の研究でも10歳という報告が多く、海外では7歳という報告もあります。現在の診断基準のもとでは10歳前後が発症の最年少であると思われますが、うつ病と診断されなくても幼児期・児童期に抑うつ的な子ども達はまだまだ存在するのではないでしょうか。

次回は、子どものうつ病にはどんな症状が出るのか考えたいと思います。

カテゴリー: 200711, 心理室より | 2007年11月心理室より はコメントを受け付けていません