2008年7月心理室より

色の話
 あなたは何色が好きですか? たとえば“青”と聞いて何をイメージしますか?ある一つの色に対しても、好きな色、嫌いな色、明るい色、暗い色など見る人によって様々な印象をいだきます。色彩には自分の行動や気分だけでなく、相手の気持ちも変化させてしまう不思議な魅力があります。
今回はそんな不思議な色のお話です。

 色彩の不思議

<部屋の色と時間>
 色は時間感覚を左右します。赤系統の部屋と青系統の部屋に1時間いた場合,赤や橙に囲まれた環境では,時間の経過は約2倍に感じられ,逆に水色や白色,青色に囲まれた環境では時間の経過は約1/2に感じられると言われています。これは人間の時間感覚に通じる呼吸や脈拍数,筋肉弛緩などに色彩が影響することをも表しています。応接間や会議室,そして自分の部屋など,その正確に応じた色とともにあれば,より一層その場所が使いやすく,心地よい空間になります。自分をとりまく環境に少し視線を向けることで,その場がかけがえのない空間に生まれ変わるからこそ,部屋を彩る専門家は,色と形を熱心に考えるのでしょう。

<虹の色は7色?それとも6色?>
 虹の色については日本では7色あると言われています。アメリカでは虹の色は,日本の7色から“藍”を抜いた6色だといわれているところもあるそうです。虹の色の覚え方について,日本では「赤,橙,黄,緑,青,藍,紫」(せきとうおうりょくせいらんし)とリズムで覚えたりしますが,アメリカでは「Read OutYour Good Book in Verse」(Red Orange Yellow Green Blue Violet)と頭文字をあてて覚えているそうです。
 虹は光の色として,グラデーションをもって出現します。すなわち,赤から紫までの連続した波長のものが虹であり,色は無数に存在しています。そんな無数の色の中から,日本では7つ,アメリカでは6つ,代表的な色の名前を呼んだ結果,7色か6色かの違いが生じました。いくつ色を取り上げて表現するかは,日本とアメリカの一宇に違いがあるように,個人個人でも違いがあるかもしれません。見えている虹が同じでも,捉え方は様々なのですね。昔から藍染めなどの染色法があるように,藍色と緑が深く,藍色を敏感に識別できることは日本人の特色のひとつと言えます。

<ブルーマンデー症候群とは?>

 青や海や空のように壮大で雄大な大自然のイメージを持ち合わせていますが,一方で,顔から血の気が引くと,青白い顔になることを「顔が青ざめる」と言い,「元気が無い,落胆した」という意味合いでも青い色が用いられています。そういった意味合いを持った,“2ブルーマンデー症候群”という言葉があります。
 楽しかった休日(日曜日)が終わり,月曜日の朝に「会社に行きたくないな」と思ったことは誰にでもあるかもしれません。その憂鬱な思いから,心身にまで不調が現れることがあり,目覚めが悪くなったり動悸や頭痛,吐き気などが症状として現れることがあるそうです。これを“ブルーマンデー症候群(月曜病)”と呼びます。どの色にも対極の性質が存在しますが,青色の一極の性質がこの“ブルーマンデー”には現れています。

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2008年7月

『日射病』と『熱射病』

『日射病』と『熱射病』どこが違うか知っていますか?
よく似ている名前なので同じ病気だと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの日射病と熱射病はまったく別の病気です。熱中症という大きな分類の中には含まれますが、その症状、対処法共に異なるものなので注意が必要です。

<日射病とは…>
 いわゆる、脱水状態のことを指します。炎天下に運動やスポーツなど汗をたくさんかいたりした時に、体中の水分が足りなくなってしまい、心臓へ戻ってくる血液が少なくなって心臓が空打ちをしてしまう状態のことです。夏になるとわりと良く耳にする病気の一つです。
 **症状**
 顔が赤くなって息遣いが荒く、皮膚は暑くてさらさらと乾いた状態で汗が出ない。
 目眩、頭痛、吐き気等。酷いと失神することもある。
                             

<熱射病とは…>
 体の中の熱を十分に外へ発散することができず、熱が体の中にこもってしまった状態や、大量の汗をかいたことにより、体内の塩分や水分が著しく不足している状態のことで、高温多湿の下、長時間作業等をした際に起こりやすい病気です。日差しの全く無い室内や炎天下の車内等でも起こるので
注意が必要です。
 **症状**
 顔は青白く大量の汗が出て、皮膚はじっとりとした感じで冷たく、体温は普通かやや低めで脈は弱くて早い状態。虚脱感と、目眩、吐き気が併発する。

 それぞれの対処法と予防法
<日射病>
 **対処法**
涼しい場所に連れて行き、頭を少し高くして寝かせ、上着のボタンなどをはずし呼吸を楽にできるようにする。
頭や体に水をかけ冷やしたり、塩分を含んだ飲み物(スポーツドリンク等が良い)で水分を摂る。
 **予防法**   
つばの大きめの帽子を被る。
首周りにタオルなどをいれて、後頭部と首に直射日光が当たらないようにする。
長時間野外にいる場合は、なるべく日陰で風通しの良い場所を選ぶようにすると良い。

<熱射病>                            
 **対処法**
涼しい木陰に頭を低く足を高くして寝かせ、体温が低いようなら体を暖める。
こまめに(15分おき程度)水や塩分の摂取をする。                                      
 **予防法**
高温多湿の所での作業などは長時間に及ばないようにする。
こまめに水分や塩分を補給することが大切。

 これからどんどん日差しも強くなり暑い日が続きます。正しい予防法、対処法で元気に夏を乗り切りましょう。         

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2008年5月院長より

4月から診療報酬の制度が改訂され、その心ない変更に憤りを感じ、心には冷たい風が吹き荒れているのに、実際の天気は良く、暖かい日が続いています。突然の様々な変更にとまどい、皆様にもご迷惑をかけていますが、よく言われるように悪法でも法は法ですから、違反するわけにはいきません。よりよい方法を模索しつつ、適切な医療を提供していきますので、ご支援のほどお願いします。
 ちょうど一年前の号にて、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の問題点について触れましたが、残念ながらそのまま決まってしまいました。しかし実際始まってから反対意見がわき上がり、一部凍結されている点や、再度見直そうとする機運が野党や与党の一部から出てきていることに望みをかけたいと思っております。いわゆる団塊の世代の方々が75歳を迎え始めるとその人数が多いため、現在のように若い世代の保険料で全体を支える医療保険制度は崩壊する危険性があったため、医師会は後期高齢者医療制度の創設を提案しましたが、それは公費で9割をまかなう保障制度にすべきという案でした。ところが現在始まろうとしているものは公費が5割で、残りを自己負担と若い世代の保険からの拠出金という保険制度で、従来の制度のもっていた危険性はそのままで、受けられる医療だけ制限を受けるというとんでもない制度です。絶対に廃止すべきものとなっている点をご理解ください。
 先日知人のご子息の結婚披露宴に招待され、出席してきました。奇をてらった派手な趣向は何もない落ち着いた披露宴でしたが、祝辞から新郎、新婦やご両家の謝辞に至るまで、慈愛と感謝に満ちた言葉の繰り返しであり、その場に居合わせた幸せに感謝しつつ、帰路につくことが出来ました。幸せかどうかは自分の心が決めることですが、その気持ちが伝染することを改めて感じました。そして今、この原稿を書きながら、院長として、この地で地域医療の一端を担えていることに喜びと幸せを感じ、生きる意義を与えられていることに改めて感謝しております。ありがとうございます。

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2008年5月心理室より

子どものうつ
今回がシリーズでお伝えしていた子どものうつ病の最終回になります。
最終回は予防するために家庭でできることについて考えたいと思います。

 子どものうつを予防するためには、家庭での親子のコミュニケーションがポイントになってきます。その際、どういった性格かによって親の働きかけ方が変わってきます。

 依存性の強い子には…
①一歩ひいた対応を心がけるようにする
②子どもが自分でやろうとする気持ちを大切にし、温かく見守り応援するようにする
③親に忠実であることが子どもに愛情を与えるバロメーターとなっていないか、親自身の対応を振り返る

 強迫性の強い子には…
①子ども本人のがんばり(結果よりもプロセス)に対して、その頑張りを心から誉め、自信を育てる
②もっともっとがんばる事のみを要求しない
③あなたが失敗しても、親にとってかけがえのない大切な子であるというメッセージを子どもに繰り返し伝える
④「ま、いっか」といった、ほどよいいいかげんさを、ユーモアを交えて日常会話に組み入れる

 過度の干渉や期待は、子ども達の心のバランスを崩してしまう事が少なくありません。「ほどほど」が親子の心の健康を保つ秘訣かもしれないですね。

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