障害者総合支援法

 平成25年4月1日より、“障害者自立支援法”が“障害者総合支援法”へと改正されました。

 平成18年に施行された障害者自立支援法は、それまで身体障害者、知的障害者、精神障害者がバラバラの制度体系であったものを、3障害の制度格差をなくす目的で一元化し、障害者が地域で暮らしやすい社会になることを目的として改革されました。当院でも多くの方が利用されている自立支援医療も、障害者自立支援法の下、実施されていた社会資源です。しかし、従来は利用者である障害者の負担能力に応じた応能負担であったものが、この法律により、負担能力に関わらず原則1割負担の応益負担へと変わり、特に重度の障害者ほど負担が重くなるという結果となってしました。利用者負担が重くなったとの声を受け、自立支援法は平成25年までに廃止することとなりました。

 そういった経緯で今回施行されたのが障害者総合支援法です。名称の変更はされましたが、今現在制度自体の大きな改変はなく、自己負担についても未だ見送られている状態です。ですが、今回の改正で障害者の範囲に難病患者が追加されることとなりました。例えば身体障害者の定義では“永続し、かつ一定以上の障害があるもの”と位置づけています。すると、症状の変動などにより身体障害者手帳を取得できないなど、難病患者等が障害福祉サービスの支援対象外となる場合がありました。その制度の谷間を埋めるべく、障害者の範囲に難病等が加えられたのです。

 今後、平成26年4月には、重度訪問介護の対象者拡大や、ケアホーム、グループホームの一元化などの実施が予定されています。

 また改正などがあれば、当院からもお知らせできればと思いますが、皆さんも今後の動向に注目してみて下さい。

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院長より

まだまだ寒い日が続いておりますが、徐々に日が伸び、日中温かいと感じる日が増えてきています。草木も芽吹き、いい季節を迎えようとしていますが、その一方で寒暖の差は自律神経のバランスを乱し、めまいや立ちくらみ、動悸などの症状が起こりやすく、風邪もひきやすい時期でもありますので、皆様ご自愛くださいますようお願いいたします。

 先日認知症サポート医フォローアップ研修という研修会に参加して来ました。認知症サポート医とは、今後急増すると予想される認知症患者さんを地域で支えるために国が考え、養成する資格の一つで、その役割はかかりつけ医を対象とした研修の企画立案、かかりつけ医やケアマネージャー、介護職員へのアドバイザーといきいき支援センターとの連携などとされています。名古屋市内には現在40名弱のサポート医が登録され、私も実際にいきいき支援センターに出向き、患者家族の方々からの相談を受けたりをしていますが、まだまだ十分活用されているとは言えない状況です。当院を受診されている皆様方の中にも私が認知症サポート医であることを、もしかすると認知症の診断治療を行なっていることさえご存じない方がいらっしゃるかもしれません。現在ある認知症治療薬は病気が進むことを遅らせる薬ですから、なるべく早期から服薬していただくことで、その方らしい良い状態を長続きさせることができます。そのためには認知症を早期発見することがとても重要ですし、発見し治療をしていくためには地域全体で支えあっていかなければなりません。地域の役員の方々、介護をされている方、ご家族の方、認知症に関してお困りのことがあれば遠慮なくご相談ください。

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精神科の病気の特徴

生まれもった体質と生活の中でのストレスがきっかけになり、脳(神経)の働きに不調が起こり、治療では、この不調を改善する為に薬の処方や混乱した思考や感情の整理としたカウンセリング等の方法が使われています。また、遺伝や性格、育った環境が影響する事もありますが、直接の原因とはいえません。特殊な病気ではなく、病気と体質の関係は、一般的な慢性の病気と似ています。なので、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のように、日々の行動や対処を工夫することで、よりよい生活をおくることが出来ます。

回復までの過程

病気や回復の経過には、個人差が大きく、一人ひとりが違うペースで回復に向かいます。また、回復はゆっくりと進み、時間がかかります。回復までの過程として、以下の4期に大きくわけられます。

・前兆期

症状が現れてくる前の段階です。疲れやストレスが溜まって休みたくてもゆっくり休めず、心と体のバランスが崩れた状態であり、はっきりとした症状が出なくても、眠れなくなったり、焦りの気持ちが酷くなり、辛く感じることもあります。これらの状態に早く気づくことができれば、じっくり休んだり、気分転換やストレスの解消等の対処が出来ます。

・急性期

はっきりとした症状が現れ、眠れなくなったり、音や気配に敏感になって起きたり、倦怠感を感じたり等、混乱した状態になります。休養と薬によって症状を抑える事が必要になってきます。

・休息期(消耗期)

休息期の後は、エネルギーが消耗した状態がしばらく続き、消耗したエネルギーを取り戻す為に休息が必要な時期です。充分な休養と睡眠等によって、規則正しい生活のリズムになってきたら、やがて回復へと向かっていきます。

・回復期

回復の為には、気持ちの良い眠りとリラックスが必要です。徐々に気持ちにゆとりが出来てくれば、少しずつ何かに取り組める様になります。再発予防に薬を利用して、自分のやりたいことをゆっくりと広げていきます。

※自分の症状を今一度見直し、自分に必要な事や自分に出来る事を考える中で、症状の自己管理をしていく事が必要となってきます。

薬の役目

人はフィルターの様なものを通し、無意識のうちにたくさんの情報の中から必要なものを脳に取り入れ、いらない情報は除いています。病気になるとフィルターに破れ目が出来たようになり、いらない情報まで入ってきてしまいます。すると、脳に情報が溢れて、考えがまとまらなくなったり、混乱してしまいます。その為、薬は破れたフィルターの穴を塞いで、いらない情報が入らないようにする働きがあります。

薬との付き合い

薬をやめると再発の可能性が高くなります。

薬はさまざまな検査で安全性が確認されており、長い間薬を飲み続けていても中毒性はほとんどありません。また、主治医と相談しながら、自分に合った量の薬をコツコツ飲み続ける事が大切です。薬の置き場所や飲み忘れのない為の工夫をしましょう。

困った事、分からない事、悩んだ事等あれば、気軽にご相談下さい。

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うつ病セルフチェック

厚生労働省 労働基準局安全衛生部労働衛生課 平成16年6月制作「労働者本人による自己診断のためのチェックリスト」より

今年度もあと1ヶ月で終わり、新しい年度が始まる時期となりました。4月から新社会人になる方、転職や転勤で職場環境が変わる方、色んな変化があるかと思います。最近ストレスを抱えがちだなと感じているけれどなかなか病院に行く時間がなかったり、受診にはちょっと抵抗があるという方もみえるでしょう。今回は、厚生労働省が発表している自分で簡単にできるうつ病のチェック表を紹介したいと思います。

最近1ヶ月間の自覚症状について、各質問に対し、最も当てはまる項目にチェックを入れてください。

点数             0点       1点       3点
1.イライラする        ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
2.不安だ           ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
3.落ち着かない       ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
4.ゆううつだ         ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
5.よく眠れない        ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
6.体の調子が悪い       ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
7.物事に集中できない    ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
8.することに間違いが多い   ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
9.仕事中、強い眠気に襲われる ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
10.やる気が出ない      ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
11.へとへとだ(運動後を除く) ○ ほとんどない  ○ 時々ある  ○ よくある
12.朝、起きたとき、
ぐったりとした疲れを感じる  ○ ほとんどない  ○ 時々ある   ○ よくある
13.以前とくらべて、疲れやすい ○ ほとんどない ○ 時々ある ○ よくある

最近1ヶ月間の勤務状況について、各質問に対し、最も当てはまる項目にチェックを入れてください。
点数                   0点        1点       3点
1.1ヶ月の時間外労働           ○ ない又は適当  ○ 多い   ○ 非常に多い
2.不規則な勤務(予定変更、突然の仕事)だ ○ 少ない      ○ 多い
3.出張に伴う負担
(頻度・拘束時間・時差など)        ○ ない又は小さい  ○ 大きい
4.深夜勤務に伴う負担(★1)        ○ ない又は小さい ○ 大きい ○ 非常に大きい
5.休憩・仮眠の時間数および施設      ○ 適切である  ○ 不適切である
6.仕事についての精神的負担       ○ 小さい    ○ 大きい  ○ 非常に大きい
7.仕事についての身体的負担(★2)     ○ 小さい   ○ 大きい  ○ 非常に大きい
★1:深夜勤務の頻度や時間数などから総合的に判断してください。深夜勤務は、深夜時間帯(午後10時~午前5時)の一部または全 部を含む勤務を言います。
★2:肉体的作業や寒冷・暑熱作業などの身体的な面での負担

<自覚症状の評価>
合計   点
Ⅰ 0~4点 Ⅱ 5~10点 Ⅲ 11~20点 Ⅳ 21点以上

<勤務状況の評価>
合計   点
A 0点 B 1~2点 C 3~5点 D 6点以上

【仕事による負担度点数表】
勤務の状況
A  B  C  D
自 Ⅰ  0  0  2  4
覚 Ⅱ  0  1  3  5
症 Ⅲ  0  2  4  6
状  Ⅳ  1  3  5  7
※糖尿病や高血圧症等の疾病がある場合は判定が正しく行われない場合があります。
判定  
点数   仕事による負担度
0~1  低いと考えられる
2~3  やや高いと考えられる
4~5  高いと考えられる
6~7  非常に高いと考えられる

いかがでしたか?
これは現在ストレスを抱えているかどうかの簡単なチェックですが、結果がすごく悪かったからといってすぐに病院受診をしなくてはならないというものではありません。
自分の現在の状態がストレス過多だな、と思う結果であったならストレスを発散するように心掛けてみたり、と今後の生活の参考に役立てて頂ければと思います。
もちろん、病院でご相談頂いても構いません。どうしていけばいいのかわからない、など困ったことがあればお気軽にご相談ください。

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