1999年7月

痛風
痛風とは、体の中に尿酸と呼ばれる物質がたまることによって起こる病気のことです。
【尿酸】は、体の新陳代謝によって毎日一定量つくられ、腎臓から排泄されます。ところが、何らかの原因でこのバランスがくずれ、つくられ過ぎたり、腎臓からの排泄が減ったりすると、体の中に尿酸がたまってきて、高尿酸血症が起こってきます。高尿酸血症には、遺伝や食事、スポーツなどの因子が関係しているといわれています。痛風で一番怖いのは、体にたまった尿酸が内臓障害を起こしてくることです。例えば、【腎臓の障害】や、尿の通り道である尿管の結石の原因となったり、動脈硬化や心筋梗塞や脳梗塞などをしばしば合併します。すなわち、痛風では、痛みが出ないようにすること以上に、高尿酸血症を治療して、内臓の障害が起こらないようにすることが大切です。

痛風にかかるのはほとんどが男性。患者さん100人中女性は1、2名しかいません。
これほど男女差のはっきりした病気も少ないのですが、理由もはっきりしています。
痛風の原因である尿酸の血液中の濃度【血清尿酸値】が女性は男性より低いからです。
これは女性ホルモンに尿酸の排泄を促す働きがあるからです。

【痛風結晶】・・・医師が使う痛風の診断基準は次のようなものです。

1) 症状が出てから1日以内にピークに達する。
2) 以前にも同じような症状があった。
3) ひとつの関節だけに症状がある。
4) 関節の部位が赤くなる。
5) 関節が腫れている。
6) 足の親指の付け根の関節に激痛、腫れがある。
7) 片足の親指の付け根の関節に炎症がある。
8) 片足の足首の周りの関節の炎症がある。
9) 血液検査で尿酸値が高い(男7.0以上・女6.0以上)

9つの項目のうち6つ以上あてはまれば痛風である可能性があります。
いかがでしたでしょうか。次回は痛風の治療についてお話します。

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1999年5月号

院長からのお知らせ

先日皆様にお願いして署名をしていただきましたが、当院だけでも120名以上の尊い署名が集まり全国では600万以上の署名が集まったそうです。その効果か薬価制度改革は白紙に戻ったとニュースが聞こえて参りました。
世界的にみて高すぎる薬剤費をさらに高値安定に導くいわゆる日本型参照価格制度というのは薬剤メーカーの国際競争力を維持するための資金を患者さん方に負担してもらおうとするもので、 最悪の制度と考えら れたので皆様方にお願いをいたしました。
今回は白紙撤回されましたが、油断していると健康を維持したいと考える皆様方の負担が増えてしまう制度に変えられてしまいますので、そうならないよう今後も注意深くみていく必要があります。大切な医療費の無駄をなくし、世界的にみても優れた健康保険制度を維持していくために皆様方一人一人が気をつけなければいけないことがあります。

一つは生活 習慣病であるいわゆる成人病にならない、 または悪くしないための運動、食生活の改善に努めること。
定期的に検診を受け、早期発見に努めること。ストレスを貯めず、リラクゼーションに努めること。そして医師にちゃんと話を聞いて、正しい知識で病気と闘うことなどです。私ども職員一同はそれらの指導、治療が効率よく出来るように常に気を配っておりますので、疑問点がございましたら、ご遠慮なく質問してください。

何人かの方にも見ていただけたようですが、先日テレビ愛知の『健康ワンダフル』という番組で、心身症という病気についてお話をさせていただきました。その中でもストレスを貯めず、ストレスに気づくことが心身症にならないために気をつけることであると申しました。
心と体は密接に関与してますので両方のバランスを巧く保つことが健康の秘決だと思います。

当院はそういうことにも対応できる施設となっておりますので、是非利用してみてください。

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1999年5月号心理室より

心理室より  シリーズ不眠症3

不眠には大きく分けて5つの原因が考えられます。

【身体的原因】
・痛み、かゆみを伴う疾患があって、その為に眠れない場合。例えば椎間板ヘルニア・アトピー性皮膚炎 ・白癬症(俗にいう水虫)・老人性皮膚掻痒症(皮膚がカサカサして痒くなる)のような疾患がある場合です。

・喘息や呼吸器の疾患があって、咳や呼吸が苦しくて眠れない場合。

・夜間頻尿のため、夜中に何度も起きてトイレに行かなくては行けない場合。

・その他に、睡眠中に何回も呼吸が停止して息苦しくて目が覚めてしまう場合、足がつっ起きてしまう場合や足がムズムズして眠れない場合などがあります。

【生理学的原因】
・体内時計が急激な環境の変化についていけなくて眠れなくなってしまう場合。これは海外に行ったとき起こりやすく、いわゆる時差ボケや交代勤務で眠る時間がまちまちになってしまう人に多くみられます。

・年をとると共に睡眠が浅くなり、夜にまとまった睡眠がとれなくなり、昼間に眠たくなる場合。

【心理学的原因】
・生活する上での重大な変化やストレスによって眠れなくなってしまう場合。これは、おおむね3週間以内で治まる短期の不眠と、3週間以上続く長期の不眠に分けられます。

【精神医学的原因】
・うつ病やうつ状態・分裂病・躁病に伴って眠れない場合。

【薬理学的原因】
・嗜好品(お茶・コーヒー・たばこなど)や薬が原因となって眠れない場合。
不眠の原因となる5つの主な原因を挙げましたが、その他にも眠る時間が深夜になってしまい、眠るべき時間に眠れなくなってしまう場合などがあります。シリーズ不眠、最終回となります次回は、不眠の予防法と対策についてお話したいと思います。

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1999年5月号

糖尿病

今回は、糖尿病の予防と治療について取り上げていきます.。

治療方は運動療法・食事療法・薬物療法の主に3つに分けられます。

【運動療法】・・・運動は、食事から取ったエネルギーを効率よく消費し、ブドウ糖の利用を促す作用があります。最も適しているのは、体内に酸素を取りこんで脂肪を燃焼させる【有酸素運動】です。ジョギング、ハイキング、水泳などさまざまな運動がありますが、誰もがどこでもできるという点からお勧めしたいのが、歩行・歩くことです。脂肪を減らすには、少なくとも20~30分以上は歩きつづけるようにしましょう。

【食事療法】・・・糖分の摂取を減らして、インスリンの働きをよくします。糖尿病治療の基本となります。
・栄養をバランスよくとる。
・ビタミン・ミネラルを摂取する
・糖質・脂肪を減らす
・3食必ず取り、間食は避ける【果物の食べ過ぎに注意!!】

【薬物療法】・・・食事療法と運動療法を行ってもあまり効果がない場合は、合併症を予防する為に薬で血糖を下げます。
【血糖を下げる飲み薬を服用する方法】と、薬だけで効果がない場合には、
【インスリン注射といってインスリンそのものを注射し、血糖を下げる方法】の2種類があります。
インスリンはもともと人間の膵臓から分泌されるものなので、副作用はありません。
薬物療法で気をつけなければいけないのが【低血糖】です。低血糖とは血糖が下がり過ぎた状態のことで、飲み薬、インスリン注射のどちらでも起こる可能性があります。低血糖で意識がもうろうとしてきた時にはジュースのように糖分が早く吸収されるものを飲みます。また、空腹感が強くなってきた場合にアメやクラッカーなどを食べると、未然に低血糖を防ぐことができますが、低血糖を恐れて一度にたくさん食べ過ぎないように気をつけてください。

糖尿病を管理していく為に次の7か条をぜひ守ってほしいと思います。
1 栄養をバランスよく取る
2 夜食、間食をしない
3 アルコールはほどほどに
4 適正な体重の維持
5 毎日の食後に歩く
6 ストレスの解消
7 禁煙(節煙)

【一病息災】というように、糖尿病があるために自らの健康に気を配っていくことは、他の病気の予防にもつながります。第一号から今回まで糖尿病について取り上げて来ましたが、今回をもって糖尿病シリーズは最終回となります。次回からは、【痛風】について取り上げていきます。

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