2007年3月心理室より

パワーハラスメント

職場で、学校で、家庭で、あなたはストレスを抱えていませんか?それは、パワハラかもしれません。

【パワハラってなに?】
○パワーハラスメント 
力の強い立場の人が反抗することのできにくい力の弱い立場の人に対して行われます。会社で上司が部下に言葉や態度による暴力を振るったり、できもしない執拗な要求で精神的に苦痛を与えることです。

○あなたの職場で上司から以下のようなことをされたとしたら?
不当に評価を下げられる
お前が仕事ができないのが悪い
権限も無いのにクビをちらつかせる
身体的、精神的暴力を振るわれる
言葉の暴力によって体調を崩した
人権を無視した言動や扱いを受ける

また、会社だけなく身近で起こるパワーハラスメントは、家庭での「DV」(ドメスティック・バイオレンス)、学校では「いじめ」にあたります。

上司によるパワハラをきっかけに、心の病に発展するケースは珍しくありません。精神疾患の問題はうつだけではなく、そう病や心身症などもあります。心身症は、心の病が体の症状として出る病気で、代表的なものには、出勤や重要な会議の時間が近づくとトイレに行きたくなる過敏性大腸症候群などがあります。しかし、今の日本企業では、こうした被害で生じた病気に対して、ほとんど対策がとられていないのが実情です。このような被害には適切な相談場所が非常に少なく、「相談できずに悩んでしまう・相談した所で逆にいろいろ責められた」など、まだまだ被害の救済が及んでいないのが現状です。

では、このような被害にあった場合、どのように対処したら良いのでしょうか。セクハラやパワハラの被害者には自分自身を責めてしまう方が多く、「はっきりと拒絶できなかった」とか「自分にも少し悪い所があったのかもしれない」と必要以上に考え込んでしまうのです。「自分が望んでいないことをされた」それによって「損害を受けた」そのような場合には、泣き寝入りしないで、きちんと対処していきましょう。
 
【事実を記録に残しましょう】
事実はどうなっているのか冷静に記録し(いつ、どこで、だれに、どのように等)、書き出すことによって、何が起きているのかを客観的に把握しましょう。    
・上司から不条理だと思うことを言われたら、その言葉や行為を覚えておく。(これらは最終的に裁判になったときに証拠となり有効です。)
・ひとりで悩まず、職場内で相談できる人を作る。
・外部機関と相談する。
・自分の態度や方針を決める。
 つまり、感情的にならずに、事実を冷静に把握し、それに対して自分の意思を明確にして、職場内また職場外と相談し、解決に向けた行動をするということでしょう。

 セクハラは、今日概念が確立されているため、大手企業は特に敏感です。平成11年4月の改正男女雇用機会均等法の施行によって、企業に「セクハラ防止策」が義務づけられましたし、社会的にも広く認知されるようになりました。これに対して、パワハラは、何の対策もないどころか、概念がまだ認知されていないので、被害に遭っている本人も、それがパワハラだと認識していなかったり、加害者も通常の「指導」の範疇に過ぎないと感じていることが問題です。
 しかし時代は変わり人権意識が高まり、社内の暴力・いじめ・嫌がらせによる人権侵害や、うつ病・自殺が犯罪として告発されるようになりました。パワハラによるうつ病や自殺が労災と認定されるケースも報告されています。
 近年、パワハラがクローズアップされてきました。一人で悩みストレスを抱え込む前に、パワーハラスメントというものをよく知り、対処できると良いでしょう。

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