糖尿病
【糖尿病合併症 糖尿病性神経障害】
糖尿病の合併症の中で、最も多く見られるのが、この神経障害といわれています。神経と言っても脳や脊髄からなる中枢神経と中枢神経から枝分かれしている末梢神経とに分けることができるのですが、糖尿病の方の場合、影響を受けるのは主に末梢神経です。
末梢神経は、身体中に網の目のように張り巡らされていて、脳からの指令を身体中に伝え、逆に身体からの指令を脳に伝えています。さらに、末梢神経を三つに区別することができます。
1)運動神経‥‥手足を動かすなどの働き
2)知覚神経‥‥痛さや冷たさ等を感じる働き
3)自律神経‥‥心臓や胃腸など、自分の意志では動かせない筋肉を調整する働き
では、なぜ神経障害が起きるのでしょうか?
高血糖の流れにくい血液は、神経に栄養を伝える毛細血管の中をスムーズに通ることができません。そのため、神経に必要な栄養がいかず、神経がその機能を果たすことができなくなってしまいます。また、神経の細胞内に余分な物質が溜まり、神経細胞の障害が起こるとも言われています。
末梢の知覚神経が侵されると、手足のしびれから始まり、ひどい痛みとなり、最終的には全く痛みを感じなくなります。靴に石ころが入っていても気付かず、靴を脱いでみると、靴の中が血だらけになっているということや、どこかにぶつけても痛みを感じにくいため、ぶつけたことすら気付かずに、ある日ふと足を見ると大きな潰瘍ができていたりすることもあります。
また、糖尿病の方は傷が治りにくく、感染し易い状態にあります。怪我をし、感染しても痛みがないために放置しがちで、ひどくなり、壊疽を起こして足を切断しなければならないということもあります。
自律神経の影響としては、心臓や胃腸がうまく働かなくなり、頑固な便秘、糖尿病性下痢、立つと血圧が下がりめまいがして倒れる起立性低血圧症、発汗障害、膀胱の機能障害、勃起障害などがあります。
●糖尿病性神経障害と診断されたら…
血糖のコントロールが大切です。その他にも、怪我をしても気付きにくいため、痛みだけに頼らず、自分の目で見て確認することが大切です。
毎日お風呂に入る時には全身をよく見て、どこかに怪我や火傷などがないか調べるようにしましょう。
タバコは特に体の隅々の血流を悪くしますから、糖尿病の神経障害を悪化させてしまいます。やはり禁煙が必要です。立ちくらみがひどい人は、急に起き上がらないように注意された方が良いでしょう。
痛みを年のせいと思って鎮痛剤を飲んでいたら、実は神経障害だった、痛みがなくなった、良かったと思っていたら実は悪化して痛みを感じなくなっていた…ということもあります。
症状が同じでも、原因が違うこともありますので、ご自分で判断されず、医師に相談しましょう。