2004年9月心理室より

ライフサイクル

前々回、前回に続き今回もライフサイクルについてお話ししたいと思います。
 今回は「成人期」、「中年期」、「老年期」についてです。

●「成人期」
 社会人として巣立ち、結婚、出産、育児を通して家庭を築く時期であり、社会的にも充実した時期であると考えられています。
 仕事上の責任や人間関係の葛藤が生じたり、女性の場合は妻として、嫁として、母として要求される事も多くあり、家族の間でも葛藤が生じたり、育児に悩み精神的に不安定になってしまう事も考えられます。

●「中年期」
 体力の衰えを感じたり、更年期障害や生活習慣病などの危険性が増し、子供が独立することで寂しさを感じる時期でもあります。子供にも手がかからなくなったり、自分が退職を迎えることで、自分自身の人生を振り返る時期でもあるでしょう。後悔や疑問を感じたり、これからは自分自身が楽しむこと、自分の人生を、と考える一方では、今まで一生懸命にやってきたことがなくなることで、逆に気力がなくなってしまったり、毎日繰り返される平凡な日々に喜びを感じられなくなってしまう場合もあります。

●「老年期」
 足腰が弱くなる、病気になりやすくなる、白髪、入れ歯、視力や聴力、記憶力の低下などの身体的な衰えが目立つようになります。また、親しくしてきた友人や兄弟、長年共に暮らしてきた配偶者の死を体験したり、家庭内での経済の中心や主婦の役割が子供世代に変わるなど多くの喪失体験をする時期であるといえます。しかし、長年の知識や経験、培ってきた人間関係を支えとし、精神的には穏やかになり、周りの人が丸くなったと感じるのはこの時期なのではないでしょうか。

 年齢を重ねるにつれ体力的な衰えを自覚し、若いときのように夢や希望を抱かなくなってしまうかもしれません。また、働き盛りであってもリストラの問題があったり、高齢になり介護が必要となることもあるでしょう。明るい第二の人生とは言い切れない部分も有ると思います。しかし、身体的な変化や、環境や家庭の変化を受け入れ、適応し、親しい人たちや社会との関係の中で、生き甲斐を感じたり、楽しいと思えたり、充実感を感じられるような何かを見つけることが課題となってくるのではないでしょうか。また、自分が中心となってやっていたことがそうではなくなる、一生懸命やってきたものがなくなる、死を体験する、ということで孤独感を感じたり、悲観的になったり、落ち込みがちになることも考えられ、周りの人たちのサポートも必要となってくるでしょう。

 3回にわたりライフサイクルについてお話ししましたが、それぞれの課程でストレスとなるものも、乗り越えなければならないものも変わってきます。順次達成していくことで”自分”ができていくのではないでしょうか。

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