【夜尿症とは…】
4~5歳以後に少なくとも月に1回以上のおねしょがあるものをいいます。夜尿は、5歳児で10~15%、10歳児で7%程度のみられ、どの年齢においても男児が2~3倍多いことが知られています。乳児期から引き続いている一次性と、一度みられなくなってから何らかのきっかけで再びみられるようになった二次性がありますが、80%以上が一次性の夜尿症です。
原因としては遺伝的因子、膀胱機能及び成熟の遅れ、精神的ストレス、器質的原因などがあげられています。
夜尿症は次の3つに分類されます
1.大量遺尿型
一晩尿量が250ml以上と多く、膀胱内の尿量が200ml以上あるもの。
さらに正常浸透圧(濃縮力正常)と低浸透圧(濃縮力低下)に分けられます。
2.排尿機能未熟型
夜間の尿量は200ml以下、濃縮力は正常、膀胱内の尿量は200ml以下。
3.混合型
1と2の合併したもの
【治療の三原則は『あせらない』・『怒らない』・『起こさない』】
『あせらない』
夜尿症はあせっても早く治るものではありません。義務教育が終了する頃までには、ほとんどのものが自然に治癒しますので、のんびりした大らかな気持ちで治ってくるのを待ちましょう。
『怒らない』
夜尿を叱ってしまうと、本人も気にしますので、劣等感を助長し、自主性や意欲を減退させることになりかねません。叱るのは逆効果ですので、優しい気持ちで接してあげて下さい。
『起こさない』
夜中に起こしてトイレに行かせることは、睡眠リズムを狂わせ、本来深い眠りが持っているおしっこを濃くするホルモンの分泌の高まりや排尿機能の発達を妨げる結果になってしまいます。トイレに起こすことでその夜おねしょをしないのは、「トイレおねしょ」といって、本当におねしょが治ったことにはなりません。
【具体的な治療として】
水分摂取のコントロール
水分の摂取が多いと尿量も増えますので、夕方からは水分の摂取を制限します。
この場合水分だけでなく塩分も控えめにすることが大切です。
膀胱機能訓練
日中、お休みの日などを利用して、おしっこをためる練習をします。
はじめは短時間でも叱らずにゆっくり我慢する時間を延ばしていきます。
おしっこを途中で止める練習も効果があります。
ストレスの対処
精神的なストレスがある場合、それが取り除ける場合には取り除いてあげます。
そうでない場合でも子どもさんの立場に立って一緒に考えたり、問題に取り組んだりしてあげましょう。
条件反射を利用した治療法
夜尿をしてしまったら、すぐに起こすという事を繰りかえすことで、おしっこをしそうになったら目が覚めるという条件反射を作っていくという治療法です。おしっこで布団がぬれたらブザーが鳴る装置と、ブザーが鳴ったら素早く起こすというご両親の根気強い協力が必要です。
薬物療法
通常抗うつ剤が夜尿症の治療には使われます。また、抗利尿ホルモンや漢方薬などを使うこともあります。いずれにしろ専門的な知識と経験が必要ですのでかかりつけの小児科の先生に相談してみましょう。