2000年9月心理室より

心理室より 子どもシリーズ  指しゃぶり・爪噛み
 
子どもの気になる癖や症状、シリーズ3回目の今回は、【指しゃぶり・爪噛み】についてお話したいと思います。

  【赤ちゃんはどうして指をしゃぶるの?】

赤ちゃんは、頬や口の周りを触られると、反射的にその方向に顔を動かして、触れるものを捕まえようとしたり、口の中に入れられたものに吸い付く習性があります。お母さんのおっぱいを飲むという行動がまさにそれです。赤ちゃんは、授乳によって空腹感を満たし、おっぱいをしゃぶる快感を体験します。指しゃぶりはこの快感を再現するための代償行為だと考えられています。乳児期に見られる指しゃぶりは誰にでも見られる正常な行為なのです。

  【指しゃぶりが問題になるのはどんな時?】

通常、幼児期に入って対人関係や遊びが広がるにつれて、指しゃぶりは徐々に減少していくのですが、指に吸いダコができるくらいひどい場合や、友達と遊べずに引きこもって指をしゃぶっているような場合、4~5歳を過ぎても続いているような場合には問題視されることが多いようです。

  【指しゃぶりはやめさせたほうがいいの?】

指しゃぶりは欲求を満たすための行為であると同時に、苦しい気持ちや悲しい気持ちが出そうになるのを我慢するための行為でもあります。それをやめさせたところで、不満が解決されるわけではなく、子どもは何かそれに代わる方法を見つけ出さなければならなくなります。背景を考えずに表面的な癖だけをやめさせようとすると、タオルが離せないなどの別の癖が出て来たり、【チック(シリーズ①参照)】などに移行することもあります。無理にやめさせようとして叱ったり、厳しく干渉しすぎると、かえって固定・悪化する傾向があるようです。指にからしを塗ったり、包帯を塗って禁止しようとする方法もあまり効果はないとされており、あまり心配せずに【そのうちなくなるよ】という気持ちでゆったりと構えていた方が良いでしょう。

  【指しゃぶりと爪噛みは違うの?】

基本的なメカニズムは指しゃぶりも爪噛みも同様ですが、爪噛みは指しゃぶりよりも年長児に出現し、癖として長く残りやすいと言われています。

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