QOL(生活の質)と食事

 秋を感じる季節となりましたね。「読書の秋」「スポーツの秋」さまざまありますが皆さんは何が思いつくでしょうか?今回は「食欲の秋」ということで、食事に関するお話です。

 そもそも「食べる」という行為そのものは、「食べ物を認知する」→「食べたいと思う」→「食べ物を口に運ぶ」→「咀嚼する」→「飲み込む」といった連続の動作から成り立っています。しかしながら「食べる」ことは、単に「食物を摂取する」あるいは「栄養を摂る」という意味だけではありません。

 食生活はQOL(生活の質)にも関係があると言われています。本来人が健康的な日常生活を維持するためには、7つの健康習慣「朝食」・「睡眠」・「喫煙」・「間食」・「飲酒」・「運動」・「体重」のコントロールが必要だとされています。この7つの健康習慣を元に現在では、健康習慣の指標として、個人のライフスタイルにおける食習慣・環境・体質面等の改善を行い、QOL(生活の質)の向上を目指す取り組みがなされています。

「食べる」ことは精神的健康感にも大きく影響し、「美味しい」・「楽しい」といった充足感を得られます。また、食事を介しての家族や社会とのつながり等により、「自分自身を大切にしたい」、「自分自身が大切にされている」、という自尊感情を得ることもできます。このことは幼児期・学童期等では健全な発育の基本となり、高齢期では活動的な日常生活を支える生きがい感ともなり、活動的な高齢期(アクティブエイジング)を過ごすことが可能となります。

 「QOLを高める食事」としては、「五感を刺激する食事」として、盛り付けの美しさや香り、調和の取れた味や食材料、ならびに季節を楽しむといった文化的な要素も必要となってきます。例えば、コーヒーをドリップしてみて香りを楽しんんだり、いつもより味付けを薄くして食材の味を楽しんだり、11月は旬のマグロやサクラエビを食べたりといったことが考えられます。一方で偏った食事やインスタント食品ばかりでは「QOLを高める食事」には遠くなってしまいますので気を付けてください。

 また、食事を楽しむ中にも注意することもあります。食べすぎてしまったり、食べたいわけではないけど口に何か入れてしまったりと、食事だけに心の安定が偏り依存することで、生活習慣病や摂食障害などに繋がる可能性があるということです。食事も大切にしつつ「読書」や「運動」など心を満たす方法をいくつか持っておくことも意識して頂き「健康で楽しい秋」を過ごしてみてはいかがでしょうか?

参考:eヘルスネット「QOLと食事」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-019.html

カテゴリー: 202111, 心理室より, 病気・治療 パーマリンク