リラクゼーション法(漸進的筋弛緩法)

 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、行動を大きく制限されたり、これまでと全く違った生活を余儀なくされたりすることで、ストレスを抱えている方が増えていることかと思います。当医院の医院便り9月号では、リラックス方法の一つとして腹式呼吸について紹介をしましたが、今回は漸進的筋弛緩法を紹介したいと思います。

 「リラックスをしてください」「体の力を抜いてください」と言われても、なかなか力を抜いてリラックスすることができません。力を抜いたつもりでも、実際には力が入ってしまっています。一番筋肉の緊張がとれやすいのは、筋肉を緊張させた直後です。これを利用した方法が漸進的筋弛緩法です。

漸進的筋弛緩法のやり方

1.できるだけ落ち着いた環境で行いましょう。部屋の明かりは薄暗くします。気持ちが落ち着くような音楽を流したり、アロマを焚いたりしてもよいです。

2.リラックスできる体勢になりましょう。アクセサリーやベルト、メガネ等の身に着けているものを外し、仰向けに寝転ぶか、椅子に座ります。椅子に座る場合は、背もたれに寄りかからず、浅く腰掛け、両足を肩幅まで広げて、足を床につけます。両手は膝の上に置きます。

3.腹式呼吸を数回行い、呼吸を整えましょう

4.頭からつま先、つま先から頭など、体の各部分に意識を向けていきましょう。息を吸いながら力を入れ、息をゆっくり吐きながら力を抜いていきます。力を抜くときに、筋肉が緩んで緊張が取れていく感覚を感じます。

各部位の力の入れ方

1.足:足先を下に向け、内側に縮めます。

2.ふくらはぎと足:つま先を手前に引いて、ふくらはぎの筋肉を縮めます。

3.足全体:1,2を行いながら、太ももの筋肉をしぼります。

4.手:こぶしを握ります。

5.腕:肘を曲げ、握りこぶしに力を入れて力こぶを作ります。

6.おしり:お尻に力をいれます。

7.お腹:お腹にぐっと力を入れて、へこませます。

8.首と肩:耳にまれ触れるようなイメージで肩を上げます。

9.口:口をできるだけ大きく広げます。

10.目:瞼をギュッと瞑ります。

11.頬:眉毛をできるだけ上まで上げます。

リラクゼーション法の効果

 自分の身体の緊張やリラックスの状態を意識することで、自分の身体に対する感覚が敏感になっていきます。また、リラクゼーション法を続けることによって、自分の身体が緊張しているということに気づくことができるようになっていきます。身体の力みがなくなり、不安感や不眠、肩こり等が改善されていきます。

 常に体が緊張している人は、自分自身では体が緊張していることに気づきにくく、力を抜いてリラックスすることが難しいと感じるかもしれません。今回紹介した方法を試してみてはいかがでしょうか。

カテゴリー: 202101, 心理室より, 病気・治療 パーマリンク