院長より

 2年に一度の診療報酬制度の改定がこの4月に行われました。相も変わらず4月から始まるのに大筋が決まるのが2月末、細かな点数設定が決まるのが3月はじめ、さらに運用詳細は4月になってから示され、あるいは変更されるというお粗末な状況でした。医療は消費税非課税ということになっていますが、医薬品や医療機器等の仕入れや購入には消費税がかかっており、その分が保険点数に上乗せされていることはご存知でしょうか。非課税のはずなのに定価に含まれていることになるのです。この矛盾を訴えてもなかなか制度変更にならず、今回も同様の方法で消費税増税への対応がなされました。来年、秋に予定されているさらなる増税の時にはどうなるのでしょう。きちんとした対応、つまりゼロ税率あるいは軽減税率として矛盾を解消して欲しいものです。
 また、一昨年にも書いた入院中の患者さんの診療に関わる制度の改悪は今回も変更してもらえませんでした。入院中に他医療機関を受診する際には必ず入院中の医療機関の主治医にそれを伝え、情報提供書を発行してもらうことを忘れないで下さい。
 日本の科学技術の信頼を損ないかねない事件が散見されます。一つはご存知STAP細胞の件です。何が真実かはまだ見えてきませんが、解明させるはずのこの分野の第一人者と言われている先生の論文にも問題が生じているようで、泥沼化しているようです。医療の分野でも血圧を下げる薬の論文にデータ改ざんの疑いがあるようです。発売前の臨床研究のデータの改ざんであり、また製薬会社の社員がそれに関係していた疑いが持たれています。その薬の信頼性はもちろん、そういうことが行える状況であったということで、すべての薬の信頼性にも関わってきてしまいます。科学者の1人として今の状況を憂い、患者さんのためになることのみを行い、ためにならないことは行わないという医療の原則を改めて思い起こしています。

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