企業や学校、趣味の会など、どんな集団にもリーダーというものが存在しますが、集団の維持や発展は、リーダーがどのように集団全体を調整していくかが重要と言われています。
心理学において、リーダーシップとは「集団の目標達成における集団活動に影響を与える過程」と定義されており、また一般的には「集団のリーダーによって発揮される影響力」のことをいわれています。古くから「良いリーダーと悪いリーダーの違い」を、個人の特性から探ろうとする研究があり、優秀なリーダーは一般人と比べて優秀な資質(例えば、知能・素養・責任感・地位など)を持っていると考えられていました。しかし、特定の能力や性格の持ち主が必ずしも良いリーダーになるとは限らないことが判明し、リーダー個人の特徴と状況との適合性が強調されるようになりました。その中の一つに、リーダーシップの効果は状況によるという考え方があり、リーダーにとって力を発揮できるかどうか決まる3つの状況があるといわれています。
その状況とは、リーダーが他のメンバーに受け入れられる度合い、②仕事や課題の明確さ、③リーダーが部下をコントロールする権限の強さの3つで、これらが高ければ高いほどリーダーシップを発揮しやすくなると考えられています。また、リーダー個人の関心が①課題の遂行か、②集団内の人間関係の維持か、どちらに向けられているかでリーダーシップの効果が変わってくるという考え方もあります。①は集団が生産性を高めるような働きをする課題遂行機能(P機能)で、②は集団のチームワークを強める働きを集団維持機能(M機能)となります。この機能の強弱によって、リーダーがどのタイプかということを分類しています。
①Pm型(課題遂行が強く、集団維持が弱い):目標を明確に示し成果をあげるが、集団をまとめられない。成果は上げるが人望がないタイプ。
②pM型(課題遂行が弱く、集団維持が強い):集団をまとめる力はあるが、成果をあげられない。人望はあるが、仕事は今ひとつというタイプ。
③PM型(課題遂行も集団維持も強い):目標を明確に示し、成果もあげられるし集団もまとめられる。理想のリーダータイプ。
④pm型(課題遂行も集団維持も弱い):成果もあげられないし、集団もまとめられない。リーダー失格タイプ。
生産性、部下の意欲や満足度、職場のコミュニケーションや事故の低発生率を求める場合、短期間のグループではPM>Pm>pM>pm、長期間のグループではPM>pM>Pm>pmとなります。リーダーはP機能とM機能の両方を兼ね備えていることが理想ですが、長期に渡って1つのグループで何かをするという場合、リーダーにはM機能がより必要であると考えられます。