ライフサイクル
今回も前回に引き続きライフサイクルについてのお話しをしたいと思います。今回は「思春期」、「青年期」についてです。
●「思春期」
思春期は急速に身体が成長する時期です。またこの時期は心も大人になるために急速に発達します。「自分はどんな人間なのか」ということを考えて、社会や仲間の中で自分作りをするため、自分自身を意識するようになります。
例えば異性への関心が高まったり、周りの人の目を気にするようになったりします。誰にも干渉されることなく独立して何かをやりたいという気持ちが強くなるので(第二次反抗期)、両親や家族との結びつきより学校の仲間との結びつきが広がり、そちらの価値観を大事にするようになります。このような急激な発達は身体と気持ちのバランスを崩し、親に頼る気持ちと独立したいと思う気持ちがぶつかるなど、様々な心の動きが見られる時期だと考えられています。
このように思春期では、“大人の自分作り”を始めるために親以外の価値観を取り入れていきます。
●「青年期」
この時期は思春期に親密な友人関係ができて、社会の中で自分ができる事や役割がはっきりして、“自分”が見えてくる時期です。進路や仕事など自己決定の岐路に立ち、様々な試行錯誤を行いながら“他の誰でもない自分”を探し、環境や周りの人たちが変化しても“私は私”と思えるようになるなど、社会との関わりの中で生きていこうとする姿勢ができてくる時期であると言われています。
職業の選択や社会人としての知識や理解、態度を身につけていき、社会的な立場やライフスタイルが作られていきます。また、自分だけでなく大切な他者を守ろうという意識が高まり、結婚して新しい家族を築く準備をする時期でもあります。
自分と他者という関係がキーワードとなる思春期、青年期では、仲間の中の自分や、社会の中の自分をあまりに意識し過ぎてしまって対人緊張が強くなったり、自分の臭いや外見が気になって外出できなくなったり、あるいは体重をひどく気にして過剰なダイエットをしてしまう場合もあります。
自分の思うように周りの人たちと関われない時、「それは自分に何か欠点がありそのためにうまくいかない」と考えてしまうこともしばしばみられます。自分を獲得することに過剰になってしまうが為に、心理的な何らかの理由で学校を休みがちになったり、社会のルールに反発したり、激しい受験戦争を乗り越え大学に入学したが、無気力になり引きこもりがちになってしまうという特徴があります。また一人一人の性格特徴が明らかになってくる時期だからこそ、偏りが見えてきたりもします。
この時期の不安定さは誰もが経験する一時的な気持ちの変動と考えられますが、一方では、様々な心身の障害が引き起こされやすい時期であるとも考えられています。このように思春期、青年期は、様々な場面で大きな変化が要求され、それとともに心にも大きな変化のある時期ともいえます。
次回は「成人期」、「中年期」、「老年期」についてお話ししたいと思います。