コラージュ療法

心理士が行う心理療法には様々な種類があります。私達心理士のことを少しでも知っていただければと思い、今回はその中から絵や音楽を通して心の状態を改善する「芸術療法」に分類される、「コラージュ療法」を紹介します。

コラージュ療法とは
コラージュとはフランス語で「糊による貼付け」という意味があるのもので、雑誌や広告、新聞紙などの写真や絵などを切り抜き、台紙に貼って作品を作るものです。切り抜きの中から気に入ったものや気になったものを選び、それを台紙の上に好きなように貼るだけなので、比較的簡単に行えます。コラージュ療法は、このように一つの作品を作り上げることから、心理療法のうち、大きく分けると芸術療法というものに分類されます。コラージュ療法ではこの作成過程において、自己表現が可能になったり、カタルシス効果と呼ばれる癒やし効果が得られます。また、誰かと一緒に作成することによって親近感が湧き、信頼関係を築くことにも役立つと考えられています。とくにコラージュを何度も繰り返し実施していく中で、自己の内面を自ら振り返るようになり、自己の気づきにつながっていくことが最も重要な効果の一つだと言えます。

実施方法
 基本的には、「このようにしなければならない」というルールはなく、自由に行っていただけますが、代表的な実施方法を紹介させて頂きます。
・マガジンピクチャー・コラージュ法
 コラージュの作り手が雑誌や広告などから直接切抜きを選ぶ方法です。
・コラージュボックス法
 A4サイズ程度の切抜きをあらかじめ用意し、ハサミとのり、用紙などと一緒に箱の中に入れておき、そこからコラージュを作成する方法です。
・相互法
 参加者がそれぞれに作品を作るやり方です。
・合同法
 誰かと一緒になって一枚の作品を作るやり方です。
・裏コラージュ
 コラージュの制作過程で切り抜いたけれども貼り付ける際に使わなかった切抜きを裏に貼って残しておくことをいいます。

コラージュ療法の効果
 最初にも述べたように、コラージュ療法ではいくつかの効果が得られます。
・カタルシス効果(癒しの効果)
・ストレス発散
・美意識の満足・達成感
・一緒に作成することにより、参加者間での親近感がわき、信頼関係を構築するのに役立つ
・無意識的な自己に気づく

 以上のようにコラージュ療法では、様々な効果が得られますが、以下の2点に注意が必要です。

・気持ちが乗らない時は無理に作らないで下さい。作業の途中であっても、気持ちが乗らないと感じた時にはいつでもやめて下さい。無理してやっても効果が得られないだけでなく、心理的な不調に陥ることもあります。
・作品の上手い下手は重要ではありません。上手な作品を作ることが目的ではなく、心理的効果を得ることが目的なので、自分の思うように作り表現することが大切です。

 言葉を使わずに、比較的に自分の気持ちを表現することができるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

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