2010年1月

県民性とステレオタイプ
 一年の無事を祈り正月に食べる伝統的な日本料理、お雑煮皆さんも召し上がりましたか?

 餅は昔から日本人にとってお祝いごとや特別の日に食べる「ハレ」の食べ物だったため、新年を迎えるに当たり、餅をついて他の産物とともに歳神様にお供えをしました。そして元日にそのお供えをお下がりとしていただくのがお雑煮です。お雑煮を食べる際には旧年の収穫や無事に感謝し、新年の豊作や家内安全を祈ります。

 お雑煮は、室町時代の頃よりすでに食べられていたようです。武士の宴会では一番最初の酒の肴として振舞われる縁起の良い料理でした。この習わしをもとに、一年の始まりである元日に雑煮を食べるようになったといわれているそうです。

 お雑煮は日本各地で食べる風習がありますが、餅の形やだし、具の種類にいたるまで、地方や家庭ごとにさまざまにあるようです。東日本の広くでは、焼いた角餅をすまし汁に入れるところが多いようです。愛知県では、角餅を煮る風習がありますね。一方で、西日本では丸餅が多く、だしはすまし汁だけではなく、白味噌仕立てや赤味噌仕立て、小豆汁の地域もあるようです。めずらしいのは香川県や岡山県、煮たあん餅を白味噌仕立てのだしに入れるようです。具は、里芋、豆腐、鶏、塩ブリ、塩鮭といろいろあるようです。

 ところで、このようにお雑煮一つを取ってみても、県や地方によってさまざまであるように、食べるものや生活の仕方、人の気質にいたるまで、その県や地方に独特な特徴がみられるようです。テレビや出版物でも、“県民性”の話題はよく取り上げられ、他の県について知るのは楽しいものです。

 しかし、県民性を話題にする際、「~県人は~の傾向がある」という表現には誤解の生じやすさがあるということに注意することが大切です。県民性に関する説明が、統計的データに基づいて、「~県人の~%は・・・である」と数字のまま表現されているうちは正確な情報です。それが「~県人は~の傾向がある」と平易な言葉に置き換えられて表現されることもありますが、それは決して「~県人の全員がその性質を持っている」という意味ではないのに、そういった印象を持ちやすくなります。人間はもともと、ステレオタイプと言って、自分の属さない他の集団の人の性質について、過度に一般化する傾向を持っています。人間のこの性質を上記のようなあいまいな表現が手伝って、その県民は全員が同じ性質を持っているとの誤解が生じやすくなるのです。良いイメージならまだ良いですが、悪いイメージの場合、それは偏見となります。
 このような人間の性質や表現のあいまいさに気をつけて、県民性の話題も 楽しめると良いと思います。

                           参考文献・ウェブサイト日本文化いろは辞典

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