保険料滞納世帯の子どもに保険証を
国民健康保険料を滞納し「無保険」状態となっている世帯の子どもが必要な医療を受けられるよう、中学生以下には短期の保険証を交付することを内容とする改正国保法が12月19日、参院本会議で全会一致で可決・成立したことはご存知ですか?
【無保険とは】
その名の通り、被保険者としての資格を喪失している状態のことを指します。
では、何故無保険となってしまうのか。社会保険と比べ、国民健康保険の保険料は割高です。その為、中々保険料が払えず滞納してしまい、無保険世帯となってしまうそうです。また、以前話題になった給食費滞納と同様に、払えるのに払いたくないという理由から無保険となっている世帯もあるそうです。
昨年11月の経済財政諮問会議において、麻生総理は「病気になるのは本人の不摂生のためであり、そういう人の為に健康体である自分は保険料を払いたくない」という意味合いにとれる発言をしましたが、これは社会保障を根底から否定するものです。保険制度は国民がお互いに医療費を助け合っていこうという考えからつくられました。自分は健康だから保険料なんて払う必要がない、払いたくないと思うのではなく、お互い様の気持ちを持って保険料を支払って頂きたいと思います。
【保険料を滞納すると】
保険料を滞納すると、まず最初に有効期間の短い短期被保険者証に切り替えられます。その後、さらに滞納が続くと(1年以上の滞納)短期被保険者証の返還を求められ、代わるものとして『被保険者資格証明書』が交付されます。通常、国民健康保険で病院にかかる場合、患者負担は3割。7割は保険が負担します。しかし、資格証明書になると、患者は病院窓口でいったん全額を払わなければなりません。その後、役所に請求すれば保険負担分が払い戻されるといいますが、現実は、返金分は保険料滞納分に充当され手元に返ってこない場合もあります。子どもの医療費無料制度があっても資格証明書の場合、病院窓口で全額支払わなければ適用されません。その為、資格証明書世帯の児童生徒が学校の保健室に駆け込むケースが増えているそうです。
【無保険世帯の子ども達は今後】
本年4月施行される改正国保法では、滞納世帯であっても、中学生以下の子どもには6カ月間有効な短期被保険者証を一律に交付するとされています。現行では、世帯主が保険料を1年以上滞納した場合には、保険証と引き換えに「資格証明書」が交付され、医療費全額をいったん医療機関の窓口で支払わなければならず、経済的な負担から子どもの受診抑制につながると指摘されていました。この度の改正案では子どもが医療機関で適切な治療を
受けられるようにと、滞納世帯であっても中学生以下の子どもは保険証を持てるようになるそうです。 保険料滞納は確かに問題であり、本来ならば誉められたことではありませんが、滞納する側にも様々な理由があると思います。滞納のしすぎで保険証の返還を求められたりして、無保険の状態になってしまう前に、減免制度など利用できないか、役所に相談に行かれると良い方法が見つかるかもしれませんね。