2007年11月心理室より

子どものうつ
今回からシリーズで子どものうつ病についてお届けします。

今、大人では6人に1人が生涯で1度はうつ病になると言われていますが、長い間子どものうつ病はないと考えられてきました。しかし、最近の研究では子どももうつ病になるということだけでなく、多くの子どもがうつ病や抑うつ状態にあることがわかってきています。

【小中学生のうつ傾向】
北海道の小中学生に行った調査で、全体の13.0%(小学生7.8%:中学生22.8%)がうつ傾向にあるという結果がでています。この結果は諸外国の報告と比べても高い値です。男子は中学1年から、女子は小学6年から増加し始め、女子が男子よりも急増することがわかっています。

この13%はいわゆる「うつ病予備軍」で、このうちうつ病と診断できるのは20~25%です。全体の2.6%(小学生1.6%:中学生4.6%)がうつ病であると推定されています。

ちなみにこの調査の時の大人の有病率(現時点でうつ病にかかっている人の割合)は約5%と考えられているので、中学生はほとんど大人と同じ割合でうつ病にかかっていると考えられます。

【発症年齢】
子どものうつ病の発症年齢の最年少は9歳2ヶ月という報告があります。その他の研究でも10歳という報告が多く、海外では7歳という報告もあります。現在の診断基準のもとでは10歳前後が発症の最年少であると思われますが、うつ病と診断されなくても幼児期・児童期に抑うつ的な子ども達はまだまだ存在するのではないでしょうか。

次回は、子どものうつ病にはどんな症状が出るのか考えたいと思います。

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