2004年3月

【糖尿病とは?】
 糖尿病は慢性の高血糖を特徴とする疾患群です。尿に糖が出ることから名付けられた病名ですが、これは血液中のブドウ糖が増えすぎて尿の中に糖が溢れてきた状態です。実際は血液中のブドウ糖の量(血糖値)をもとに診断します。
 病名の「糖尿」が問題なのではなく、「高血糖」が問題なのであり、本来なら「高血糖症候群」の方が適切なのかもしれません。原因はインスリン作用の不足、つまりインスリンの供給不足と、インスリン標的臓器での感受性の低下が関係します。

【インスリンとは?】
 膵臓で分泌されるホルモンの一種です。ホルモンとは、血液によって体中に運ばれ様々な生理機能を調整する微量のたんぱく質をいいます。インスリンの場合、食べ物の三大栄養素の一つである糖(ブドウ糖)を体の細胞が利用する際に重要な役割を果たします。細胞の表面にある特定の鍵穴にインスリンが結合すると、その細胞は血液中のブドウ糖を取込み、エネルギーとして利用したり、脂肪やグリコーゲンにして蓄えるのです。

糖尿病の病態を整理して考える上で、「インスリン分泌不全」、「インスリン抵抗性」、「ブドウ糖毒性」の三つが重要なキーワードになります。
○インスリン分泌不全…血糖を正常化するために必要なインスリンが充分に分泌されないこと。
○インスリン抵抗性…インスリンが効きにくくなった状態。
○ブドウ糖毒性…高血糖がもたらす障害のことで、高血糖自体がインスリン分泌不全やインスリン抵抗性を増悪させる一因となることが知られている。

 もちろんこれらが単独で糖尿病の原因となっていることはきわめて稀であり、ほとんどの場合3者が絡み合って糖尿病を形成しています。
 典型的な症状として口渇、多飲、多尿、体重減少などがあげられますが、大多数の症例でほとんど無症状ということは特筆すべきです。したがって健康診断などの機会に発見し治療を開始するべき疾患だと言えるでしょう。
 高血糖の持続は、急性あるいは慢性の合併症を発症し、日常生活に著しい障害をきたしますが、早期発見と厳格な血糖コントロールにより合併症の発症、進展阻止は十分に可能です。

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