2004年1月心理室より

パーソナルスペース
 混み合った電車の中やエレベーターの中で不快感を覚えたことはありませんか?また、席がいくつも空いているところでは、わざわざ誰かの隣に座ることはありませんよね。これは人がパーソナルスペースというという空間を自分の周りに持っているからなのです。今回はそのパーソナルスペースについてお話ししたいと思います。

人が段々近づいてくる時、不快だと感じる時点がその人のパーソナルスペースの境界だと考えられます。パーソナルスペースは常に一定ではなく、異性、同性、知り合いかそうではないかによっても変化します。また、人が自分のパーソナルスペースに入ってくるのが嫌だと感じるのと同じように、自分が人のパーソナルスペースに入ることも嫌だと感じることがあります。
この人と人との距離をうまく使い分けることで、社会生活を円滑に営んでいけると考えられます。
では、人はどのような相手とどのくらいの距離で接しているのでしょうか。

【密接な人との距離】
0~15cm
恋人や夫婦などのかなり親しい人同士の距離。
視線を合わせる、身体的な接触ができる距離です。
15~45cm
どちらか一方の人が自分の手で相手の身体に触れることのできる距離。
親しい人同士の距離と言え、知らない人がこの距離に近づくと不快感を感じたり、緊張したりします。

【相手の表情が読み取れる距離】
45~75cm
どちらかが片手を伸ばし相手の身体に触れることのできる限界の距離。
相手の表情はよく分かります。
75~120cm
相手の表情から気持ちの変化が分かる距離。
友達同士が用いる距離だと言え、私的な交渉に利用されます。

【ビジネスに適した距離】
120~210cm
相手の微妙な表情の変化は見えない距離。
仕事をする時に仲間との間で使われ、また、初対面の人と接する時に適していると考えらています。
210~360cm
形式的な話をする時に利用される距離。
この距離では他人を気にせず自分の事ができ、他人にも迷惑のかからない距離だといえます。

【個人的な関係が希薄な距離】
360~750cm
相手の様子がわかりにくく個人的な関係が成立しにくい距離。
この距離では気楽にその場から離れることができます。
750cm以上
講演や演説に利用される距離。
個人的なやりとりは困難になり、言葉の細かいニュアンスは伝わりにくいため、身振り手振りが重要となってきます。

 文化や習慣によっても距離の使い方に違いはありますが、人は快適な個人空間を必要としており、人との付き合いの中では、相手との関係やその状況にふさわしい距離があるのではないでしょうか。相手のこころの境界も大切にし、適度の距離をもって接することでお互いに快適な関係を保てるのではないでしょうか。

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