院長より
今回は来年4月より始まる介護保険制度についてお話ししたいと思います。社会の高齢化の進展に伴って、寝たきりや痴呆の高齢者が急増することが見込まれ、この制度が施行されようとしています。40歳以上の医療保険加入者、65歳以上のすべての方が対象となり、保険料が徴収されますが、基盤整備の遅れが指摘され、市町村によってそのサービスにも保険料にも差が生ずるなど問題点もあるようです。しかし、介護を必要としている人は介護保険に頼らなければならず、制度の欠陥を医療やほかの福祉制度で補いながら利用していくことも必要です。
私ども医師はこの制度にどのように関わっているのでしょうか。この介護保険制度には医師会も全面的に協力していくよう行政との話し合いを行っていますので、まずは安心してください。そして主治医意見書の作成、介護認定審査会、ケアプラン作成会議への参加等を通して関わっていくことになります。皆様方が介護保険を受けようと思われた時には、まずご相談ください。手続きとしてはお住まいの区の区役所に要介護認定の申請を行うことから始まります。申請を行いますと、専門の調査員が家庭を訪問し、食事や歩行、入浴など日常の生活動作を調査します。調査結果はコンピュータにより全国一律の基準で判定されます。区役所は申請のあった方のかかりつけ医に連絡し、主治医意見書を求めます。訪問調査の結果と主治医意見書を元に保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会で介護の必要な度合い【要介護度】を審査・判定します。ここにも私ども医師は審査委員として参加することになります。こうして決まった要介護度に応じてケアプランという介護サービス計画が作成され、介護サービスが開始されますが、このサービスが適正に
供給されているかのチェックも私どもがお手伝いする予定です。
実施は来年4月からでも準備はすでに始まっており、この9月から、訪問調査が、10月からは介護認定審査会が開始され、段々と見聞きする機会も増えてくると思いますが、良い制度になるよう一緒に考えていきたいと思いますので、
ご不明な点などは遠慮なくお聞きください。